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「日本一パラを語れる女子アナ」のパラスポーツとの出会い

2021.2.24

こんにちは。「日本一パラを語れる女子アナ」こと、アナウンサーの久下真以子です。専門はパラスポーツの取材で、番組出演や記事の執筆、講演活動などをメインに日々活動しています。お仕事のおかげでパラスポーツ選手をはじめとした障害のある方と話す機会が増え、私自身の世界も広がりました。今では、日常生活においても障害のある方と過ごすことがほとんどです。

気が付けば、LINEをするのもご飯に行くのも、障害者のお友達ばかりです。このサイトでは、当事者ではないけれど”第2人称”の立場で、障害のことをお話しできればと思っています。

執筆:久下 真以子 Maiko Kuge


「環境を言い訳にしない」パラスポーツとの出会い

パラスポーツとの出会いは、突然でした。

2011年秋、高知県で地方局のアナウンサーをしていた25歳のころ(年齢がばれますね)。「番組内で何かスポーツ企画を作らねばならない、でもどうしたらいい…?」そんな時に紹介されて出会ったのが、現・車いすラグビー日本代表キャプテンで東京パラリンピックの金メダルを目指す、高知県在住の池透暢選手だったのです。

当時、池選手は車いすバスケットボールでロンドンパラリンピックを目指していました(ロンドンには行けなかったけれど、その後車いすラグビーに転向して、リオで銅メダルを獲得しています)。

座ったままシュートを打つ車いすバスケットボールは、ただでさえ健常者の私たちにとっては難しさが想像を超える競技。それに加え、池選手は交通事故の影響で左脚を切断し、左手にも障害を負っていたため、ほぼ片手一本でシュートを打つという離れ技を身に着けていたのです。

池選手のその当時の言葉が、胸に残っています。

「右手しか使えないからやらないのではなく、右手だけでもやってやる」

当時の私はハッとしました。

「置かれた環境は仕方ないから、その環境で最大限頑張る」というのは、アスリートに限らずみんなに言えることなんじゃないかと。それ以来、自分が苦しい状況になったときには、池選手のこの言葉を思い出して、自分を奮い立たせています。

生まれて池選手に出会うまでの25年間、障害者と話したことがなかったことも、逆に私の人生に影響を与えました。

スポーツだけじゃなく、どうやって生活しているの?結婚しているの?どうやって仕事しているの?いろんなクエスチョンが頭の中に沸いてきて、もっと障害者のみなさんのことを知りたい!と思ったのです。

私がパラスポーツを取材しているのは、ただスポーツを伝えるためだけではありません。いろいろな障害のあるアスリートを知ることによって、自分自身も視野を広げるためです。

ものすごく人見知りだった(アナウンサーなのに)私が、電車で席を譲る勇気を持てるようになったり、街を歩いていて段差がここにあるなって気づけるようになったり、少しは昔よりも成長したんです。きっかけを与えてくれたパラスポーツに、感謝しています。



自分自身が体の一部を失って、考え直したこと

おかげさまで、アナウンサー界ではパラスポーツの第一人者と呼ばれるようになってきました。でも2020年夏、私の考えを再び変える出来事がありました。

「境界悪性卵巣腫瘍」

良性じゃないけど、悪性でもない。命にかかわらないけど、転移するし、進行すれば抗がん剤が必要。

そんな病気にかかり、2回の入院。右の卵巣を摘出する手術を受けました。

私自身はいたって平気で、痛みも少なく、本当に楽な入院生活でした。半年以上たった今でも、病気をした実感がないくらいです。

「強がってるんじゃない?」「元気そうにふるまってて痛々しい」……そんなことも言われましたが、「治ってラッキー」。本当にそんな心境です。でも調べてみると、同じ病気でも、本当に苦しんでいる方、辛い思いをしている方がたくさんいらっしゃることを知りました。

同じ病気でも、こんなに感じ方の違う人がいる。だったら、障害も同じなのかな?(ですよね?)

今私が伝えたいのは、感じ方も生き方も、人によって本当に違うということです。

簡単に「障害は個性です!」なんて言っていた時代もあったけれど、そう感じる人も感じない人もいる。

もっともっと、この世に生きる全ての人の違いを感じて、伝えていける人でありたいです。

働き方も、きっとそう。

100人の障害者がいれば、100人の働き方があることを、改めてみんなで考えられる世の中にできたらいいですね。

1985年、大阪生まれ。アナウンサー、スポーツライター。パラスポーツの番組出演・記事執筆などを専門とし、「日本一パラを語れる女子アナ」として活動している。その他、野球、サッカーなどスポーツを中心に出演中。趣味は筋トレ、ランニング。猫と暮らしている。

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