障がい者雇用とマーケティング思考-STP分析を応用してみる｜多様性を推進するコラムサイト

障がい者雇用とマーケティング思考-STP分析を応用してみる

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2021.5.14

マーケティングの基本であるSTPと言われるフレームワークがある。今回は、マーケティングの基本フレームワークを障がい者雇用のプロジェクトに活かす方法をお伝えしていく。障がい者雇用のプロジェクトも戦略をもって取り組むことで、効率よく、さらに組織力強化につなげることができるはずだ。

執筆：黒澤友貴 Tomoki Kurosawa

STP分析とは

STP分析は、マーケティング戦略の土台を整えるために重要なフレームワークだ。

最初に、ターゲットと言われる「誰に価値を届けるのか」を決める。
次に、差別化と言われる「他の企業との違い」を特定する。

この2つを考えることがSTP分析のポイントとなる。

STP分析とは？
①セグメンテーション（Segmentation）
　どのように市場を分けるか？

②ターゲティング（Targeting）
　どの顧客層にアプローチするか？

③ポジショニング（Positioning）
　メイン顧客にどうイメージしてもらうか？

障がい者雇用をSTP分析で考える

《Step1》セグメンテーション

最初にセグメンテーションを考えていく。
ここでは、障がい者の採用市場がどのような市場になっているかを理解する。

基本的には、下記4つの要素で市場を区切ることが基本となる。

人口動態特性：年齢/性別や障がい種別による分布はどのようになっているか？
地理的特性：地域別にどのような傾向があるか？
心理的特性：どのようなものが
行動特性：どのようなものが得意・不得意な人が多いか？

ここでは基本統計データを当たってみよう。

例えば、現在、都内には身体障がい者手帳の交付を受けている人が約48万８千人、愛の手帳（知的障がい者・児を対象）の交付を受けている人が約９万１千人、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている人が約11万８千人いる（平成31年3月末現在）と統計データになる。

引用元：東京都保健福祉局　障害者の現状

《Step2》ターゲティング

続いて、どのような人が自社にマッチしやすいのかを考えてまとめる。

セグメンテーションで市場を分けた後に、どの顧客層をメインターゲットとするかを考えていくイメージだ。

ここではペルソナと言われる具体的な人物像やその人の採用後の働き方まで言語化をしてみることがオススメだ。

例えば、具体的な仕事のスキルや、経験なども考えながら、採用して働くまでのイメージを深めていく。

《Step3》ポジショニング

最後に、採用候補者からみて、自社がどのようにイメージされるかを2軸で表現する。

この表現されたものはポジショニングマップと呼ばれている。

障がい者雇用のプロジェクトであっても、企業は求職者から選ばれる側の存在であるということを忘れてはいけない。

求職者の視点で、なぜ自社が選ばれるのかを整理してみよう。

ポジショニングマップは下記の要素を抑えたものを作成する。

軸をチェックするポイントは、

ターゲットとした求職者の想起イメージが表現できているか？
自社の独自性(障がいのある求職者に対するアピールポイント)を表現することができているか？

対象とする障がい者が働く先を探すタイミングで、純粋想起として思い浮かぶような状態になることが理想だ。

このポジションに紐づいて、伝えるメッセージや出稿する媒体を決めていく。

このように、「誰に対して」、「どのように自社がイメージされ」、「そのために何をするべきか」のイメージを深めることがSTP分析の活用ポイントとなる。

障がい者雇用のプロジェクトも、「とりあえず媒体に広告出稿しよう」「とりあえずハローワークに相談をしよう」といった考え方に陥ると失敗しやすい。

マーケティング思考をもち、自社にあった採用ができる思考を磨いていきたい。

まとめ

ポイント①
マーケティングの基本フレームワークであるSTPを活用して採用戦略の土台を作る

ポイント②
外部の支援会社を入れる場合も、自分たちの採用戦略イメージを持っておくこと

自分たちで戦略を考えずに、外部の業者に丸投げすることは、会社にとっても求職者にとっても良い結果にはならないだろう。

今回お伝えしたのは、あくまで思考法であり、全ての障がい者雇用のプロジェクトに当てはまらない可能性は当然ある。

少しでも、戦略的な障がい者雇用のプロジェクトを増やすきっかけにして頂けると幸いである。

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