PARA CHANNEL Cage

障がいのある社員の可能性を信じて、適性を見極める。トヨタすまいるライフ株式会社、障がい者雇用インタビュー。

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2021.2.16

「地域に住まう方々のライフ(人生)をすまいる(笑顔)に」を掲げ、住まいと暮らしのトータルサポートを行う、トヨタすまいるライフ株式会社。障がい者雇用にも積極的に取り組んでおり、さまざまな部門で障がいのある社員が活躍しています。
『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用を進める企業インタビュー。今回は、総務人事部人事室室長の伊藤史章さんにお話を伺いました。障がい者雇用を進めている企業やこれから働こうとしている障がい者の皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

執筆:トヨタすまいるライフ株式会社

さまざまな部門で活躍する障がい者社員たち。

―まずは、トヨタすまいるライフ様の会社概要について教えてください。

当社は、約50年前の1969年にトヨタ自動車株式会社の人事部から独立して設立されました。主に、トヨタ自動車株式会社に勤務する従業員に対する戸建・マンションの販売や不動産流通、賃貸などの住まいに関わる事業や介護事業について、豊田市など西三河地方を中心に展開しています。また、トヨタ自動車株式会社の社員寮や社宅管理、人材派遣、業務請負など企業へのサポートも行っています。


―障がい者雇用をスタートしたきっかけは?

社歴は50年ほどですが、従業員数が飛躍的に増えてきたのは2000年に入ってからなんです。2005年には1,000人を超え、法定雇用のルールを果たすためにも、体制を整え、障がい者雇用を始めました。


―障がいのある社員の方々の仕事内容を教えてください。

今ではさまざまな部門に配属されていますが、最初は車いすや杖を使っている身体に障がいのある方々を事務職として雇用しました。また、2009年にベーカリー事業を立ち上げて5名ほど採用し、手作業が得意な方、ものづくりが好きな方を中心に、知的障がいや精神障がいのある方々に活躍していただいております。


―事務作業とベーカリー事業以外では、どのような仕事の現場があるのでしょうか。

2年前から社内の軽作業も担当してもらっています。豊田市大林町にあります「すまいる館」という本社では、いろいろな部署の軽作業を集約しており、例えば、チラシの封入やデータ入力・スキャンなどの作業が主な業務になっています。今後は、さらに郵便物の仕分けなども任せていく予定です。


―今は何名ほどの障がい者社員が働いているのですか。

合計で20名ほどです。4月にも高校卒業予定の方を新しく2名受け入れる予定で、最近は、新卒もしくは新卒に近い方を積極的に採用していることは、ひとつの特徴かもしれません。


ベーカリー職場で作業している様子


丁寧に適性を見極めることが、戦力化の決め手。

―障がいのある方々を雇用していく中で、工夫している点を教えてください。

障がいのある社員の中でも、配慮が必要となる社員には、4人に対して1人の支援員を配置するという工夫をしていて、そこでは、こまめにコミュニケーションをとることがポイントです。また、当社では「自分で考えて行動をすること」を大事にしており、職場に「1年後の目標」や「現状の改善テーマ」などを見えるところに貼って、意識づけを行っています。


―印象的なエピソードがあれば教えてもらえますか。

パラカヌーでパラリンピックを目指す加藤隆典さんは、社内でも目立つ存在です。4年くらい前からパラカヌーを始め、最初は仕事をしながら、勤務後や休日に練習やトレーニングを行っていました。元々は大工で建築の知識があり、職場でも欠かせない戦力だったのですが、「東京パラリンピックに向けて力を注ぎたい」と本人から申し出があり、会社として支援するようになりました。パラアスリート採用ではなく、社業からジャンプアップした形です。


パラカヌーでパラリンピックを目指す加藤隆典さん


―他の部門で活躍されている方はいかがでしょうか。

障がいのある方が5人働いているベーカリー事業は立ち上げから10年以上経過し、そのうちの一人はリーダーのように働いてもらっています。作業を他の人に教えたり、仕事が終わった後の清掃も率先して行ってくれます。


―障がい者雇用をこれまで取り組んできて、マネジメントのコツや秘訣のようなものはありますか。

それぞれの人の適性を見極めるには、時間がかかります。ただ、適性を見極め、それが業務内容にマッチすると、健常者と同じような戦力になることもあります。例えば、新しく購入したパソコンのセットアップなどは、従来までシステム担当が行っていましたが、今ではパソコンが得意な障がい者社員の役割となっています。彼がいることで、業務の時短や効率化が進んでいます。


すまいる館内で軽作業を行っている様子


仕事は仕事。自分の可能性を信じて、働いてほしい。

―採用についてお伺いします。障がいのある方々を採用する際に重視している点を教えてもらえますか。

会って話してみないとわからないことが多いのは事実ですが、当社はトライアル雇用の期間を設けているので、実際に働く前に、お願いする仕事がどこまでできるかを確認しています。働こうとする皆さんにとっても、事前に経験ができることはプラスかなと感じています。


―実際に体験してもらった上で、仕事を続けられるか、活躍できるかを判断しているのですね。

その通りです。また、ご家族が仕事内容や職場の雰囲気などを気にかける場合もありますので、採用にあたり必要に応じて、面接時にご家族とも顔合わせをして、当社の状況を説明しています。


―採用のお話を伺うと、割と若い方の採用が多い印象を受けます。

そうですね。知的障がいや精神障がいの方は、若いメンバーが多いです。先輩・後輩のような関係性で組織を構成していこうという考えのもと、現在のような採用になりました。実際のところ、このような組織構成で良い相乗効果が生まれるのではないかと期待しています。


―では、最後に伊藤さんから、これから社会に出ていく障がいのある方へメッセージをいただけますか。

やはり仕事なので、時には厳しく接するときもありますが、分からないことがあれば、周りのみんなが何でも教えるので安心して業務に取り組んでほしいと思います。お伝えしたい想いは「自分はやれるんだという可能性を信じて働いてほしい」ということです。


社内には、障がい者の社員だけでなく、健常者の社員もたくさんいます。そういった方々ともコミュニケーションをとって、社会と触れ合ってください。「いち社会人として、一緒に働こう」とお伝えしています。


ーありがとうございました!


トヨタすまいるライフ株式会社 総務人事部人事室室長 伊藤史章さん


取材後記

伊藤さんのお話を伺っていると、本人の可能性を信じて、時間をかけて適性を見極めていくことは、障がいの有無に関係なく、社員育成の本質であることを実感しました。

すぐに一人前になる社員もいれば、時間をかけてゆっくりと階段を上がっていく社員もいます。ただ、長期的なスパンでみたとき、仕事での実績は同等レベルということもよくある話です。

障がい者雇用を別枠で考えるのではなく「雇うのが障がい者であるだけ」と考えてみると、普段のマネジメントや社員教育がそのまま活かせるかもしれません。

愛知県豊田市を中心に西三河地方でトヨタホーム・マンションの販売や不動産賃貸、介護事業、人材派遣、トヨタ自動車㈱の寮・社宅管理、業務請負などに従事する会社。障害者雇用では、一般事務補助やベーカリーにてクッキー製造のスタッフを採用し、雇用促進に取り組んでいる
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