障害者になったからこそ気づく、福祉に関する情報収集や手続きの煩雑さ。
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2021.12.5
障害者になってからの生活を、障害を負う前と同じようなものにするために、さまざまな福祉制度や介護サービスを利用しました。ただ、それらの制度を利用するためには、情報収集や手続きがなかなか煩雑だったのです。
執筆:市川 潤一
前回は、私が障害者になってから、どのように生計を立てられるようになったのか、その動きについてまとめました。
障害者になってからの生活を、障害を負う前と同じようなものにするために(誤解を恐れずに言うならば人並みにしていくために)、さまざまな福祉制度や介護サービスを利用しました。
それらの制度を利用するために、どうやって情報収集したのか、どのように利用していったのか、今回は書きたいと思います。
まずは、さまざまなサービスを受ける上で私のような身体障害者にとって必要なのが、身体障害者手帳です。
私の場合は病気ですが、事故なども含め、社会生活を送っている中で障害を負ってしまった場合には、できれば治療後の退院時には手帳を受け取っておきたいものです。経験者は語る、というものです。
したがって、リハビリ病院等に入院している間に、主治医や担当のメディカルソーシャルワーカー(患者が退院後に適切なサービスや支援が受けられるように動いてくれる職員)などに手帳を申請したい旨の相談をしましょう。
それに合わせて、要介護認定の調査も行われます。福祉課や社会福祉協議会などから職員がやって来て、現状での体の動く様子などが調査されます。調査が終われば、数週間から数ヶ月で、調査結果に基づく、障害の等級や要介護度もしくは要支援度が通知されます。
要介護の場合は、社会福祉協議会や民間のケアプラン事業所と契約して、ケアマネージャーがその人に応じたケアプランを作成して、介護保険サービスを受けられるようになります。要支援の場合は、地域包括センターと契約し、ケアプランを作っていきます。
ただ、ほとんどの場合、自分が障害を負うなんて思ってもいませんし、そうなったとき、何をすればいいのかなんてわかりません。
私自身、どうやってデイサービスでのリハビリや訪問リハビリを利用すれば良いのか、最初はよくわかりませんでした。そんなときに力になっていただいたのが社会福祉協議会のソーシャルワーカーさんでした。
社会福祉協議会のソーシャルワーカーさんは、社会福祉に関する情報を豊富に持ち、困った人をどこに繋げば良いのかという道筋もきちんと持っていらっしゃいます。
「社会福祉協議会」という存在自体を知らない方もいると思いますが、こことのパイプを作っておくのは重要ですし、相談相手のひとつとしてこの存在を知っておいていただきたいです。
要支援の場合に出てきた「地域包括支援センター」ですが、「包括」と言っても、福祉や介護の全てを包括的に面倒を見てくれるわけではありません。
例えば、障害年金については社会保険事務所(年金事務所)が管轄ですし、就労支援については市町村の福祉課や相談支援サービスの事業所など、それぞれで相談場所が違っていることもあります。
どれかひとつの窓口に問い合わせれば、すべてを解決してくれるということは、今の日本の社会福祉制度ではありません。
制度側から見れば、それぞれの機関が連携を取り合い、それぞれのサービスをうまく組み合わせることになっているのですが、私たち側から見れば、制度が非常に煩雑でわかりにくい部分が多々あります。ひとつの窓口で解決してくれるわけでもありません。
だからこそ、それぞれの相談機関と密に関係を築き、サービスを円滑に利用できる仕組みを個人個人で作ることが重要です。市町村の福祉課や社会福祉協議会などで相談できるので、自身のことで何か悩みや不安がある方は、まず是非一度相談してみてはいかがでしょうか?自分が住む地域と、福祉課・社会福祉協議会などで検索してみることも大切です。
今の時代、福祉や介護のサービスについて調べたいことはネットで検索してみると、相当数の情報が出てきます。ここで大枠を知ることができます。
また、facebookなどのSNSで障害者・支援者のグループなどに参加することもおすすめです。その中には、就労支援事業所の相談員さんなどがおり、情報を持っていることも多いですし、相談支援事業所と密に連携しているグループ内のメンバー経由で相談できたり、情報を入手したりすることも方法の一つです。
障害者になったからこそ、福祉に関する情報収集や手続きの煩雑さに気づきました。