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発達障害当事者会って何? 家でも会社でもない、サードプレイスのすすめ

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2022.1.31

前回のコラムにおいて紹介した【発達障害当事者会】について、今回は当事者会とは、詳しくはどういうイベントなのか説明していこうと思います。

執筆:マーチン Martin

発達障害当事者会とは、その名の通り発達障害を持つ当事者同士が集まるコミュニティで、名称に決まりはないので、自助会やピアサポート等と名乗っている団体もあります。

本人以外にも親の会であったり、パートナーが発達障害当事者(または疑いあり)という団体もあるそうです。

当事者会でやることも明確な決まりはなく、

  • テーマとなる発達障害における問題に対して、参加者それぞれがどういう解決方法やアプローチをしているか持ち寄る【問題解決型】
  • 家族関係、人間関係、就職、就労関係等特定の分野に特化して、専門家も出席したセミナーなども行われたりする【専門分野型】
  • トークテーマを設定していることもあるが、基本的に参加者それぞれが話したいことを話して、聞きたいことを聞く【フリートーク型】

など様々な当事者会がある。

他には、レクリエーションを行うことで親睦を深めたり、リラックスを目的とする当事者会等も存在しているらしい。

どんどん新しい当事者会も各地で誕生しているので、ネットやSNSで、地域や開催日程、困り事、活動内容と自分に合った当事者会を見つけて、自分のペースで構わないので参加してみるといいと思う。

僕も自分の体調や家族との予定を調整しながら、コロナ禍前までは、約1か月半から2カ月に1回、日曜日午後に2時間の当事者会を開催していた(現在はオンラインで不定期に開催)。

主催している「発達ワークスぎふ」のタイプとしてはフリートーク型と問題解決型の間くらい。

本当は会の名前に含まれている「ワークス」にちなんで発達障害と仕事、就職について特化した当事者会にしたかったが、あまり最初から間口を狭めない様に、発達障害者やまたは発達グレーゾーン、家族、支援者誰でもOKなフリートーク型に落ち着いた。

仕事、就職にちなんだ当事者会は別で開催してみようかと考えている。

「発達ワークスぎふ」ではまず会の初めに、自己紹介と近況報告をそれぞれ順番にしてもらい、あとはトークテーマに沿って各々話す2時間になっている。

テーマは

  • 職場や日常での困りごとについて
  • 困りごとに対して役にたった道具や本について

などなど。

話すことが苦手な当事者もいるが、そこは無理に話してもらうことは無く、聞くだけでも構わない。

逆にエンジンが掛かって話が長くなりそうな時にはトーク番組のMCの様に、僕が間に入って話を一旦区切って、他の人にも話を振ってみたりする。当事者会の交通整理みたいな感じだ。

途中参加、途中退出もOK。

人の話した内容にケチや批判はしないことや、特殊なサービスや商品の紹介は禁止にしている。逆に100均や日用品店などで困りごとが改善できた事例なんかはどんどん紹介してほしい。

あとは各種ハラスメントは禁止等を記述した活動規約なんて作ってはみたけど、今のところ必要ないくらいに平和で良かった。

会を重ねるうちに参加者から、感謝の言葉を貰えたことはとても嬉しかった。

「気兼ねなく話せましたよ」

「話してスッキリしました!」

その中でも
「本当に開催してくれてありがとうございます!」
と強く感謝をしてくれた男性の方がいた。

その男性は仕事がかなり苦しく、深く悩んでいる真っ只中の状況にいた。しかし、当事者会で自分の辛い気持ちを心置きなく吐露出来たことで気持ちが少し楽になったという。

それから、何か月か経った当事者会に参加してくれた男性は、とても晴れやかな顔をして近況報告をしてくれた。

それは部署異動となり、異動先の上司が発達障害に理解のある方で、以前よりも格段に仕事がやりやすく精神的に安定しているという報告だった。

それを聴いてめちゃめちゃに嬉しかった。自分のことの様に嬉しかった。

でも、特段当事者会がその人に何かした訳でもなく、僕はただその人から仕事に苦しんでいる話を聞いただけだ。アドバイスをした訳でも無いし、環境が好転した部署異動であったが、全く当事者会が何か影響した訳じゃない。

本当にただその人から実情を聞いただけである。

でも、寄り添ったことでその人の心の負担を軽くして、仕事を続けて部署異動を引き寄せれた事に微力ながら力になれたんじゃないだろうか。

「寄り添う事しか出来ない」は事実かもしれない。

あれは発達障害と診断される前、仕事で苦しんでいる最中に参加した当事者会。終了後のちょっと物足りないあの腹六分目感。

でも、今なら少し分かる。

「寄り添う事が出来る」

当事者会は発達障害に悩む人の万能薬・特効薬にはなれない。しかし、当事者会はその人がいても良い居場所、心が楽になる居場所を提供出来る。

当事者会は家でも職場でもない第三の居場所「サードプレイス」として、参加してくれた人にとって大切な居場所の一つになっていることは、本当に立ち上げた甲斐があった。

しかし、コロナ渦において最後にリアルに顔を合わせての当事者会を開催してから1年半以上になる。度重なる緊急事態宣言で会場自体が使用不可も度々あり、当事者会を中止にせざるを得なかった。

オンライン開催は確かに便利ではあるけれど、直接顔を合わせてざっくばらんに話すあの感じの方が正直好きだし、コロナが落ち着いたら是非ともリアルで開催したいと思っている。

このコラムをきっかけに初めて当事者会に参加される方へ。

あなたの人生にとって発達当事者会の存在が是非ともプラスに働きます様に心から願っています!

お住まいが岐阜に近い方は是非とも「発達ワークスぎふ」に遊びに来てくださいね!!

さいごに…これは当事者会主催者のあるあるを一つ。

当事者会会場が公共施設だと、ネット予約が複雑で分かりづらいので、結局毎回受付まで行って予約やキャンセルした方がスムーズ。もちろん、僕の体験談(笑)。いつか、当事者会の主催者同士のつながりもできるといいなと思う。

1989年生まれの33歳、生粋の岐阜県民。社会人2年目の時に発達障害(ADHD/ASD)と診断され、障害者雇用にて再就職。8年間勤務後、障害者の就労支援職に従事している。2019年に居場所作りや情報共有の場として岐阜市にて発達障害当事者会「発達ワークスぎふ」を立ち上げ、私生活では二児の父として、色々しくじりながらも奮闘中!!

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