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病気が悪化して2年。一度も再発しなかった働き方とは。

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2022.4.1

高校2年生で難病「全身性エリテマトーデス」を発症したわたし。高校卒業後は、公務員浪人を経て、一般企業に就職。それまでは体調の変動はあったけど、ひどく悪化することもなく、順調な日々を過ごしていました。

ですが、健常者と同じように仕事は激務。市内を一日中営業で駆けずり回り、夜は営業を兼ねての他社との交流会で生活リズムは乱れ、いつの間にか溜まったストレスと疲労で病気が悪化。職場復帰をしても、数カ月後には体調を崩してしまい、職を転々とせざるを得ない状況になりました。

そして、感染症の影響もあり仕事がなくなったわたしは、フリーランスという働き方を選びました。

最後に病気が悪化してから2年。線維筋痛症という病気も抱え、今日もわたしは生きています。

執筆:xu

カレンダーを見ると、最後に病気が悪化してから2年経っていることに気が付きました。ふと、前の職場のことが思い浮かびます。

往復2時間の通勤、職場での嫌がらせ、クタクタになった身体でおこなう家事や自分のお世話。
ストレスや疲労が限界になったわたしは、病気を悪化させてしまいました。

突然蕁麻疹が出たと思ったら、高熱で動けなくなる日々。わたしの病気はどうしてもさまざまな可能性を排除しなくては特定ができない病気なので、数々の検査を受けた結果、全身性エリテマトーデスが悪化してしまったとのことでした。

幸い、彼と一緒に暮らしていたので、看病をしてもらえる状況だったのが救いでした。そこから、病気は快方へと向かい、派遣先は契約を終了してもらうことにしました。


大変だったのはそこからでした。働き方の改善を会社に打診しても、まともに取り合ってもらえません。

「病気が完治するまでは働かせられない」「うちは慈善事業ではない」

そんな言葉を何回も聞かされました。

バイトを探して働くも、体調が悪化して働けない。傷病手当金は給付していましたが、気持ちが落ち着くことはありませんでした。

このままでは、まともに働くことも、生活することもできない。
会社に合わせてもらうのではなく、わたしが社会に合わせるしかないんだ。

そう思ったわたしは、これまでの人生で一番楽しいと感じた仕事「ライター」として生きていくことを決めました。

わたしらしく働くために

傷病手当金の給付期間満期までは、準備期間としてさまざまな案件に着手しました。もちろん、最初は稼げたものではありません。実績づくり・基盤づくりと称して、コツコツ修行を続けました。

傷病手当金を受け取りながらの生活は、良い療養期間になったと思います。全身性エリテマトーデスが悪化することはなく、1年無事に過ごすことができました。

そして、全身性エリテマトーデスが快方に向かう中、体調不良が拭えないとのことで検査を続けていましたが、線維筋痛症だと発覚しました。
数値は良いのにずっと体調が悪かったので、診断された時は肩の荷が降りる思いだったのを覚えています。

傷病手当金の給付満期を迎えたわたしは、会社を退職。その後すぐにフリーライターとして開業しました。

実際、フリーランスとしての働き方は、わたしに合っていたと感じています。適宜休憩を取りながら、作業を進める。通院のために有給を申請する必要もなく、過度な疲労やストレスを感じることも少なくなりました。

去年は小さな病気をいくつかしましたが、最後に悪化してから再発することなく、無事に2年目を迎えることができています。

フルタイムで働くことは難しい

このことからわかったのは、無理にフルタイムで働くと身体に障るということです。
日々の体調の変化に怯えつつ、今は感染症のリスクもある。そんな中、難病患者が通勤して仕事をするというのは、なかなかハードルが高いことだと言えるでしょう。

もちろん、一人暮らしだったらこんなに気持ち的にも金銭的にも余裕はないと思います。

わたし自身、フリーランスとして独立したものの、月収は5万円程度。余裕がある時は食費を全額負担していますが、家賃・光熱費はすべて彼が負担してくれているのが現状です。(ほんとはこんなこと、あってはならないんですけどね…)

実家暮らしやわたしのように同棲・ルームシェアをしていると、いくぶんか生活はしやすくなりますが、そのぶん相手にも負担をかけてしまいますし、気持ち的にも申し訳ない気持ちで暮らしていくことになります。

そう考えると、難病患者がフルタイムで生活が可能なほど働くということがどれだけ難しいかがありありとわかりました。



しかし、現状一人暮らしができるほど稼いでる方は、そんなに多くないのかな、というのがわたしの所見です。SNSを見ていても、家族と一緒に暮らされている方がほとんどのように感じています。

どうにか、難病患者も独立して生活できるような方法があれば。たとえば、難病患者にも手帳を配布することで、就業先が見つかるかもしれないし、障害年金が受給しやすくなれば、今よりも心の余裕が生まれるのではないでしょうか。

働けないのであれば生活保護を受ければ良い、という考えではなく、難病患者が働けるような制度や雇用のあり方が改善されることを願って、難病患者でも一人の自立した人間として生活できればいいなぁ、と常々思っています。

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1998年生まれ。17歳の時に全身性エリテマトーデスを発症、22歳の時に線維筋痛症を併発した。高校卒業後は広告代理店でライターとして勤務し、その後フリーのライターとして独立。
趣味はゲームをすること。noteではコラム未満の病気の話やエッセイなどを執筆している。

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