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障害者雇用のキャリアアップについて考えた

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2022.4.11

障害者雇用として採用が決まった時は、素直に嬉しく、内定が出ない苦しさから解放されたことを喜んでいた。

それから数年、安定して働けていることは良いことだけど、将来の自分のキャリアはどうなっちゃうんだろうか?

執筆:マーチン Martin

2014年5月、当時24歳の僕は精神福祉手帳を取得し、障害者雇用での就職を目指して、人生2度目の就職活動を始めた。

地元のJAに新卒で就職するものの、出るわ出るわのケアレスミスの嵐に、追い付かないどころか溢れかえっているタスク管理で心身ボロボロとなって、1年8か月であえなく退職。

辞める直前に発達障害(ADHD/ASD)と診断を受け、「今の仕事は辞めて障害者手帳を取得して、障害者手帳で心機一転出直そう!」と決意したのが退職の決め手だった。

手帳が交付されるまでは、地元の障害者職業センターで研修を積み、職務経歴書や面接の練習やリワークプログラムにも参加をして、転職活動までのウォーミングアップに努めていた。

いざ、手帳が交付されてから就職活動を初めてみると、一般の就職活動との違いを数多く目の当たりにすることになった。

(以下は、僕個人で感じた2014年当時の印象ですが、現在になっても、改善とは程遠く感じることもある…)

  • 1 一般求人に比べ、かなり絞られた求人数
  • 2 極端に都市部へ偏る
  • 3 時給が最低賃金のパート求人が多数
  • 4 前例が無い&配慮が必要のためか、昇進・昇給・賞与についての記載なしが多数
  • 5 障害者雇用の専門家にカウンセリングするも、発達障害への知識が皆無

1、2に関しては既に、
「地方での障害者雇用~地域格差の壁について」で触れているので、3、4について、ここでは書いていきたい。(5については8年近くも前の事だし、転職イベントで聞いた人が悪かったと信じたい…)

まず、最低賃金のパートの求人が多いことについて。岐阜県はありがたいことに名古屋経済圏のおかげで最低賃金は全国都道府県の15番目の880円とわりと高い方ではある。

それでも、8時間勤務×880円×22日=154,880円
バリバリフルタイムで欠勤なく働いて月15万ちょっと。

ここから税金やらが引かれて手元に残る額では、人生の選択肢を大幅に考え直さないといけなくなってしまう。パートナーとバリバリ共働きをすれば金額ではマイホームに手が届くことも可能ではあるが、障害のある僕らは心身に無理が利きにくい。

マイホームどころか、一人暮らしをするにはカツカツで心許なく、実家暮らしがベターとなる。

僕も初めてハローワークで障害者雇用窓口で相談した際に、「まずはパートから始めてみてはどうでしょうか?」と言われたことを思い出す。

言われた時は、「おいおいおいおい、ちょっと待ってよ。体力面では何の心配も無いし、ちょっとウッカリが多いのが弱みではあるけど、努力や対策もするから正社員で働かしてくれよ!」と、反発したい気持ちにもなった。

一方で、パート求人が多いのも、データを見ると納得せざるを得ない。

それは、厚生労働省が5年毎に発表している障害者雇用実態調査の各障害者の勤続年数についてだ。

データによると、
身体障害者の平均勤続年数が10年2ヵ月
知的障害者7年5ヵ月に対して、

発達障害者は3年4ヵ月、
精神障害者は3年2ヵ月と一気にガクッと落ち込んでしまう。

(引用元: 厚生労働省 平成30年度障害者雇用実態調査)

支援者の立場で考えると、障害者がフルタイム勤務をすることによって、疲れやストレスから、うつ病や睡眠障害、不安障害といった二次障害を併発してリタイアしてしまうよりは、「まずはパート勤務から徐々に働く手ごたえを掴んでいこう」と、パート求人を勧めたくなるのも分からなくもない。

企業としても、上記のデータも踏まえた上で、「まずはパートで採用」ということになるだろう。3年続けられるかわからないのでは、昇進や正社員登用の話までに至らないのも納得できてしまう。

それも分かる。しかし、簡単に飲み込むわけにはいかないのだ。昇進や昇給も諦めたくない。

このように、キャリアの選択肢や賃金環境がまだまだ厳しい現状の障害者雇用だと、二の足を踏んでクローズ就労(手帳や障害を隠して、一般雇用で働く)を選ばざるを得ない。

そして、その苦しみの声を伝えるSNSの投稿や、困窮を訴える当事者のインタビュー記事は後を絶たない。

今、自分に出来ることは2つ

  • 障害者雇用で働く当事者として、会社での仕事や責任を全うする。
  • 障害者雇用に対しての啓蒙や働く当事者の声を積極的に発信する。

出来ることは限られているが、自分のためにも、もがき苦しんでる当事者のためにも、道を切り開くしかないんだ。

社会も変わろうしている。本気で障害者雇用を変えようしている企業や経営者や支援者がいる。

情熱を持って、お互いが歩み寄った先には、きっと希望ある未来が生まれるはずだ。

1989年生まれの31歳生粋の岐阜県民。社会人2年目の時に発達障害(ADHD/ASD)と診断され、その後障害者雇用にて再就職を果たす。(7年目)2019年より、居場所作りや情報共有の場として岐阜市にて発達障害当事者会「発達ワークスぎふ」を立ち上げ、Twitterでは障害者雇用を中心に積極的に情報発信中。私生活では一児の父として、色々しくじりながらも奮闘中!!

このライターが描いた記事

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