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杖を使っている人=足が悪い人?

人それぞれの理由を知ることで、優しい世界に

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2022.4.27

障害を補助する道具。
私も毎日、色々なものを使いこなして生活をしています。

その道具の1つ、歩くときに使用するのが片杖です。
片杖を使うまでの経緯や、使うことで得た『気付き』を私なりに言語化してみますね。

執筆:山口 真未 Mami Yamaguchi

街中で杖を使っている人、見かけたことありますか?

たぶん一度は、ありますよね。

ではその方は「なぜ使っているか」と考えたことは?

この疑問には、NOと答える方が多いかと思います。

考えたとしても、足が悪いのだろう、と思うだけ。

確かに足が悪いから、という理由もあります。

ただその理由は、もっと複雑な場合も多いことも。

杖を使っている人ってどんな人?

このコラムの執筆時、私は32歳ですが、杖の使用者の中でも若い人の部類に入るはず。

しかも私が使っているのは、「ロフストランドクラッチ」という、腕部分に輪っかのあるものです。

若い人だし、ちょっとケガでもしたのかな?と思いますよね。

もちろん私の病気は、パッと見ただけではわかりません。その疑問も、当然だと思っています。

杖を使っていることで、よくあるのが電車での声かけ。

「ここの席、どうぞ~」

優しい方なら、気付いてスグに声を掛けてくれます。とっても、ありがたいことです。

ただし私は、ほとんどの場合、お断りをします。理由はシンプルで、座ったら1人で立ち上がれないから。

私自身は、全身の筋力が弱い病気です。そのため椅子から立ち上がるために必要な、手や足、お尻等の筋力も弱い。

今の日常生活の中でも、机のように思い切り身体を預けるものが必要です。私は腕の筋力も弱いため、電車の手すり程度では、立ち上がることができません。

そのため本当に感謝の気持ちで一杯ですが、お断りします。なるべく笑顔で、感謝も添えて。

もちろん、詳しい事情なんて、お話はしません。ただただ感謝を笑顔で伝えるだけ。

言葉と表情には、私なりの想いもこめています。

これを嫌な思い出にしないで欲しい。声なんてかけなければ・・・と思ってほしくない。優しい声かけは、広がって欲しい。

あくまで私だけの特別な事情があって、お断りをしただけで、他の方にはありがたい申し出になるかもしれない。その大切な機会を奪いたくない、勇気のある声かけを次もしてほしいと、思っています。

そして杖を使うことに、色々な理由があることを知って欲しい、とも。

実は杖を使い始めたのは、最近のこと

「足元が不安定だから杖を使う」は事実ですが、更に奥深く人それぞれの理由があります。私自身も杖を使うようになったのは、20歳を超えてから。

足を骨折した時に「動かせない時間」があったことで、前より筋力の衰えが進み、また関節が硬くなりました。その分、歩行が不安定になったことで、補助的に利用しています。

骨折の前から人と比べれば歩くのも遅い、少しフラフラと歩き方が違う、と病気ゆえの症状はありました。ただ比較的、軽い部類だったので、よ~く歩く姿を見れば気付く程度です。

それこそ電車で「席をどうぞ」と、声かけをされた記憶は、ほとんどありません。

その経験があるからこそ、杖を使うことで葛藤があったことも事実です。やはりパッと見てわかる、は良い面も悪い面も。

私自身は少しぶつかるだけで転倒のリスクもあるので、杖が良い目印になります。また転んでも、最初から足が悪い人だ、と認識してもらえることで、その後の対応が変わったことも増えました。

その反面、若い人が杖を使っているからなのか、よく周りの視線を感じるようになりました。大人でも気になる方は、じーっと見てきますし、ご年配の方には「大変ねぇ」なんて言われることも。

さらに子供だと、本当にわかりやすい!保育園等のお散歩に出会えば、全員で凝視されることも多いです。

何となく物事がわかる年齢になると、疑問がわくのだろうな、と微笑ましい気持ちで見ています(笑)

車椅子も時には使う

普段の日常生活では、外出時に杖を使っていますが、ときどき車椅子も利用しています。

私は筋力が弱いため、人よりも疲れやすく、長距離を歩くことが一苦労。

あと単純に歩くスピードが遅いので、サクサクと行動が出来ないことも理由です。では長距離って、どれくらいかと言うと・・・

広いショッピングモールやアウトレット、テーマパーク系は、ほとんど利用しています。特にディズニーランドで1日遊ぶなんて、必須です(笑)

車椅子を使う時は、現地で借りるときもあれば、自前のものを持っていくことも。といっても、自前は簡単に折り畳みが出来る、シンプルなもの。

よくホームセンターやネットで、簡単に買えちゃうものです。それでも長距離の移動が難しい私には、ちょっとした相棒。

そしてこれも驚かれますが、車椅子を使っているのに、立てるし歩いてる!と。

杖を使うことも、車椅子を使うことも。私にとっては、使い分けの理由があって、当たり前のように使っています。

ただ周りから、驚かれることがあることも事実。

だからこそ、まずは知ってください。

杖を使うことも、車椅子を使うことも、人それぞれの理由があることを。

杖を使う=足が悪いだけではないことを。
車椅子=歩けない、は違うことを。

知るだけで視野が広がり、優しい世界に繋がることを。

人それぞれだからこそ、次も気軽に声をかけて

杖を使うことも、車椅子を使うことも。それぞれの理由があり、細かく使い分けることで、何とか日々の生活が成り立つこともあります。

まずはその事実を、知って欲しいと思っています。

そして声かけは、もし断られたとしても、次もして欲しいというのが切なる願いです。

断る人は、たまたまその人にとって、不要かもしれない。でも全員が不要か、は別問題です。

障害者にも色々なタイプがあり、声かけした内容が求めている手助けかは、なかなか難しいマッチング。

それでも「優しい声かけ」があるからこそ、「手助けを求められる」のも事実です。

このコラムで少しでも、優しさの波が起こることを願います。

1990年生まれ。障害者ファイナンシャルプランナー(FP)。生まれつき”筋ジスの仲間”と言われつつも、正式な「ベスレムミオパチー」の診断は大人になってから。高卒・障害者雇用で大手鉄道会社の事務で10年以上勤務したが、病気の悪化により退職。そこで改めて、お金の大切さに気付く。現在は、障害者だからあるお金の悩みと寄り添いたく、障害者FPとして活動中。

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