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精神科に通ってみて感じたこと

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2022.5.7

私は現在、病気の治療のため、精神科に通院しています。今は症状が落ち着いていますが、ここまでくるのに、葛藤や不安など色々なことがありました。今回は、病院へ行くことになったきっかけ、統合失調症の診断、転院など、通院して感じたことについてお伝えしていきたいと思います。

執筆:大井 南 minami.o

病院への第一歩

私が心の変調に気付いたのは、社会人一年目です。仕事が忙しいことに加え、職場の人間関係も悪く、私は毎日会社に行くのが憂鬱でした。心労が積み重なり、気分が落ち込むことが多くなっていき、仕事にまったく集中できなくなってしまいました。

そんな私のことを心配した母親が、精神科への受診を勧めてくれました。ちなみに、心療内科と精神科はどちらも心の病気の専門家ですが、心療内科はストレスが原因で身体に現れる症状を扱い、精神科は心の病気の治療を扱います。



はじめて受診したときは、やはり抵抗がありました。世間の目が気になり、「レッテルを貼られるのではないか」という恐怖や、親への申し訳なさ、そして何より、「自分は精神の病を患っていると認めることになる」という怖さがありました。そうした様々な思いでごちゃごちゃになっていたのです。

母親の知り合いで、うつ病で通院している方の話を聞き、その方から病院を紹介してもらいました。まだ、受診への抵抗感はありましたが、知り合いも通っているという安心感が一歩前に踏み出す勇気をくれました。

緊張しながら、病院の中へ入ると穏やかなリズムの音楽が聞こえてきました。院内でかかっているBGMが、とても安心につながったのを覚えています。当時、気分の落ち込みがひどく、一人では受付の手続きもできない状態だったので、母親と一緒に行きました。

待合室のベンチには数人が座っていました。周りを見て、「私と同じように心の問題で苦しんでいる人がいるのか」と思い、少し気持ちが楽になりました。自分一人だけではないのだという安心感がうまれました。

しかし、待合室で名前を呼ばれるまでは「どんなことを聞かれるのだろう」や「重い病気だったらどうしよう」といった不安が、頭の中をぐるぐるしていました。

いざ、自分の番が来て、診察室に入ると、医師の先生が出迎えてくれました。穏やかな感じの先生です。私は高圧的な人が苦手なので、とりあえず一安心したのを覚えています。私の症状を一通り聞いた先生はこう仰いました。

「うつの症状がありますね。」

やはりこれはうつ状態なのか。私は現実をつきつけられましたが、まだ受け入れられない状態でした。

しかし、日が経つにつれて、心のもやもやがはれ、「自分は休んだ方が良いんだ」と思えるようになりました。

お医者さんの診察という、科学的な根拠が入ってくることにより、「私の症状は心の病から来るもので、他の病気と変わらない。」と思えるようになりました。そして私は仕事を退職し、しばらく休むことになります。


統合失調症の診断が下る

しばらく通院していたのですが、ある日突然先生が転院してしまいました。私は驚きとショックを隠せませんでしたが、薬の効果もあり、だいぶ元気になっていたのでそこで一旦通院を止めました。

その後も仕事で疲れ果ててしまい、退職してしばらく休んでは新しい仕事を始めるということを繰り返していました。その中で「自分はなぜこんなにも疲れやすいのだろう。」という悩みを抱えながら、耐え続けました。

会社では上司に怒られる日が続きます。それに加えて、職場では陰口を言われているような感覚におちいります。まったく仕事に集中できませんでした。音楽を聞いても、人のヒソヒソ声が聞こえてくるような気持ち悪さがあって、休憩室やトイレに駆け込んでは、心の中で「もう限界だ」と叫びました。

友人に相談したところ、受診を勧められ、私は行ってみることにしました。はじめての通院とはちがい、抵抗感はありませんでしたが、「私はやっぱり治ってなかったのかな。」と自分を責めてしまいました。

色々な思いを抱えながら、土日も診察を受け付けている病院に行きました。そこは清潔感のある病院で、穏やかで落ち着いた雰囲気でした。そのためか、少しほっとします。

最初にカウンセリングを受けました。カウンセリングの担当者は臨床心理士の男性の方でした。幼少期のころから現在までの私の話を丁寧に聞いてくださいました。一つ一つ、情報を整理していくにつれて、気持ちが楽になっていったのをよく覚えています。

医者の先生も、優しい方で、静かに私の話に耳を傾けてくれました。しかし、ショックな出来事が私を襲います。

「統合失調症の症状が出てますね。」

私は、そこで初めて「統合失調症」と診断されました。これから「自分はどうなってしまうのだろう」という不安が襲います。私は精神の病気を抱えた病人なんだ。その事実が重くのしかかります。

ショックは大きかったのですが、今までの仕事で疲れやすかった原因がはっきりしました。

「なぜ自分はこんなにもダメなのだろう。我慢が出来ないのだろう」という漠然とした不安の原因がわかり、気持ちの整理がつきました。

「自分は病気だから、人より疲れやすいのだ。苦手なことが多いのだ」と気持ちの整理がついた後は、前よりも落ち着いて物事が考えられるようになった気がします。



お医者さんは自分に合った人を選ぶように

引越しを機に、転院をしたのですが、その時のお話をします。

転院先の先生は、どこか高圧的に感じる物言いの方で、私は委縮してしまいました。最初に感じたのは違和感でした。しかし、家から病院が近かったこともあり、我慢して通院を続けました。

そんな、ある日、旦那さんからこんな一言がありました。

「あの先生、きつくない?」

旦那さんと一緒に診察室に入っていたのですが、「やっぱりそうなのか」と思いました。良い先生なのですが、気持ちが弱っている私には、口調がきつかったのです。私は我慢をやめ、転院することに決めました。

皆さんにお伝えしたいことは、絶対に無理はいけないということです。

人によって相性のいい先生と、そうでない先生がいるはずです。なので、自分と相性のいい先生を選んだほうがいいと思います。

病院を変えると、とても感じのいい優しい先生が担当となりました。物腰の柔らかな先生で、私たち患者に寄り添った診察をしてくれています。薬の変更などを経て、病状も改善していきました。

今ではテレワークでwebライターのお仕事ができるまでに回復しました。思い切って、転院していなければ、ここまで回復することはなかったと思います。

まとめ

通院して感じたことについてお伝えしました。様々な病院を転院してきましたが、今振り返ると「すべて意味があることだったな」と思えます。

カウンセリングをしてもらい、自分の気持ちを整理できたこと。
合わない先生と出会い、絶対に無理はいけないのだと理解できたこと。
良い先生に巡り合えたことによって病状が改善したこと。

良いことも悪いことも、すべてが今の自分の人生や仕事に役立っています。今後も自分のペースを保ちつつ、お仕事や趣味のボードゲームを楽しんでいきたいと思います。

統合失調症のwebライター。得意ジャンルはアニメ・漫画。ボードゲームが大好きで、ただいま自作のボードゲームを制作中。

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