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親は「我が子の幸せ」があれば勝手に幸せになる

~健常な親もとに生まれた障害当事者の私

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2022.5.13

私は、健常の親のもとに生まれた、身体・精神障害者の子どもの当事者である。はじめは聴覚の身体障害のみだったが、20代で精神障害(統合失調症)を患った。

私は親との関係は、長い間、よくなかった。かといって、とても悪かったわけではないが、親から腫れ物扱いされているような気持ちはずっとしていた。

それが、あることをきっかけに、親との関係が幸せな方向へ変わるようになった。

執筆:中川 夜 Yoru Nakagawa

あるきっかけとは、私が親以外との人間関係を作ったことだ。

今回は、健常の親御さんと、その子ども、つまり、成人している障害者に向けてのコラムの内容である。

とくに、「実家暮らしをしていて、親との仲に悩んでいる障害当事者」の方に向けて書いた。


障害当事者のなかには、障害の重さによって経済的に自立が厳しい人もいる。

そのために、やむを得ず実家暮らしをしている方も多いのではないかと思う。「一人暮らしはしたいが何らかの事情で厳しい」、「親元から離れたいが経済的に難しい」など。

先述した通り、かつて、私は親との仲は良くなかった。

私は実家を出たいと思って、何度か家を出ようとグループホームに入ることも考えたが、そのたび心身の不調が起きて仕事ができない状態が続いた。

その上、身体や精神の障害を持つことで壁にぶつかる悩みを親には分かってもらえず、抱えている孤立感が強かった。

しかし、あるとき私は、親に理解されることを、期待することを完全にやめた。

自分で考えて「幸せになるため」の行動を実際に起こしたら、いつの間にか、孤立感はほとんどゼロに近くなった。

なぜ、私にこのような心境の変化が起きたのだろうか。

何億人もいる外へ向かって、親以外の人間関係を作った

もしも、親に期待するのをやめられなくて苦しんでいる人がいたら、外に向かって新しい人間関係を作ることも選択肢にいれておくことをすすめたい。

たった一人か二人しかいない親に分かってもらえないなら、代わりにその対象を何億人もいる外の世界に向けるのはどうだろうかと提案したい。

もしかしたら、その何億人のうちの誰かと出会ったことで変わる未来もあるかもしれない。私はそうして変わることができた。だから、その方法をおすすめしたい。

そのことがきっかけで自分らしく生きられる道を見つけることもあるかもしれない。

自分らしく生きられるということは、とても幸せなことだと私は思っている。

そして、大抵の親は、子どもが幸せであれば、幸せでいられるのだ。
これは人類が持つ普遍的な価値観の一つであると私は思う。

かつて、私は、親の期待に応えることが自分を幸せにし、親を幸せにすると思っていた。

しかし、違っていた。

順番を間違いやすいのだが、「子どもが親の期待通りに生きる」ことで親を幸せにするのではない。

「子どもが自分らしく生きることで幸せになる」のを見て、親は幸せになるのである、と私は今では思うようになった。

親は「我が子が幸せである」ことで満足する

大抵の親は、あれやこれやと言うが、「幸せである我が子」を見て、満足することができるのだ。

私が「幸せ」だと思う時間が長くなると、私の親も幸せそうになった。

私は「自分が幸せである」ことを、追求したら、自然と、「自分らしく生きる」ことを模索するようになった。

俗な例えだが、高い学歴、ハイスペックな結婚相手、大企業で働く、といった世間的な幸せを頑張って求めるのではない。

私は自分が「これが幸せだ」と感じることを追求した。

「そんな甘い話でやっていけるのか」という意見が、読者やその親御さんから出てくるかもしれない。

はじめは私も、両親から「世の中はそんなに甘くない」と言われた。

しかし、次第に両親は何も言わなくなった。

なぜ言わなくなったか、私が親に理由を尋ねると「あなたが幸せそうにしているから何も言えなくなった」と返ってきた。

これは一つの例ではあると思うが、子どもが「自分が自分らしく生きる道を選ぶ」のは有効な方法だと思う。

自分を親に置き換えたら、子どもの幸せそうな姿を見て幸せになるのは必然だと私は思うのだ。

よほどの自分のことしか考えてない親を除けば、ほとんどの親は、「生んだ子どもが幸せでいる」ことは、親も「生んだ甲斐があった」と思えるのではないだろうか。

シンプルに、子どもが幸せであって、それを見た親も幸せになる。「幸せでいる」ことは、「生きていることに感謝している」ことでもある。

よって子どもが「幸せ」でいれば、「生んだ」「生まれた」という親子関係の仲は、お互いに「生んでくれてありがとう」「生まれてきてありがとう」と感謝につながる。

それによって、親子との仲が良くなったケースが私の例である。

「親の期待に添う」のではなく、思いきって、「自分らしく生きれる道とは?」を模索するのも、親子関係を良くする一つの方法だと私は思うのだ。

次のコラムでは、私が見つけた「自分らしい生き方」について書こうと思う。

1991年生まれ。生まれつき耳が聴こえないが、教師両親から「聴者」のようにと教育される。中学生から不登校に。高校で学校に通えなくなると適応障害と診断される。のち統合失調症発症。
27歳にメンターと出会い、「これまで原因は貴方にあったのではなく背景に外的要因があったから」というくり返しの会話で深い心理的安全を得る。現在、ライターとして活動。

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