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怖いけどやってみよう!全盲の私を動かすものとは?

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2022.5.10

全盲で好奇心旺盛な私は、何でもやってみたいタイプ。でも、根っからの小心者なのでなかなか行動を起こせない。そんなとき、やりたい自分の背中を押してくれるものとはいったい何なのか。言葉にしてみようと思う。

執筆:山田 菜深子

未知の世界に足を踏み入れるとき。怖さもあれば、ワクワク感もある。

全盲で好奇心旺盛な私は、何でもやってみたいタイプ。でも、根っからの小心者なのでなかなか行動を起こせない。逃げ出したい自分が、やりたい自分を力ずくで止めようとする。

そんなとき、やりたい自分の背中を押してくれるものの存在はとても大きい。

では、その「背中を押してくれるもの」とはいったい何なのか。言葉にしてみようと思う。


危なっかしい私

物心ついた頃から、私は好奇心のかたまりだった。何をしでかすかわからないところがあり、危険な少女と言ってもいいくらいだったと思う。

何と言っても、「触りたい願望」が尋常ではなかった。何かの音や気配を感じ取れば、それがどんな手触りなのか気になってしょうがないのだ。お店のレジだろうが、歯医者さんで使われている器具だろうが、ゴキブリだろうが、とにかく手を伸ばさずにはいられなかった。困ったものだ。ずいぶん周囲に迷惑をかけたことだろう。

大人になっても、その好奇心が身をひそめることはなかった。少しは落ち着いてもよさそうなものだが、どうやらそうはならなかったらしい。さすがに子ども時代のようなことはしなくなったけれど、やっぱり気になるものは気になってしまう。

この手で触れてみたいのだ。面白そうなことを見つけたらやってみたくてたまらないのだ。

やってみたいけど激しく躊躇

こういうふうに書くと、私のことを「何でもやっちゃう超アクティブガール」と想像される方もいらっしゃるだろうか。確かにそうなっているのが自然だろう。

残念ながら、そうではない。私のもう1つの特徴である「超小心者」という性格が邪魔をするからだ。

どの辺りが小心者なのかと言うと、私は積極的に話しかけるのが恐ろしく苦手なのである。話しかけるのが嫌すぎて、在宅勤務という働き方を選んでしまったくらいだ。

やりたいことを実行しようとするとき、目が見えないことで助けを求めなければならない場合は多くある。でも、うまく助けを求められない。外を歩いていて困ったとしても「すみません!」などと声を上げることはできない。「誰もこたえてくれなかったら……」と躊躇するばかり。

「目が見えない」と「小心者」、この性質は相性が悪い。

こんな調子だから、やりたい自分と逃げ出したい自分が激しい綱引きを繰り広げることになる。これはもう日常茶飯事。

チャレンジするなんて怖い。それでも簡単にあきらめたくはない。痛い思いをしそう。それでも「ここで思い切ったら絶対楽しい」と確信できるからどうにか行動を起こしたい。逃げ出したい、やりたい。逃げ出したい、やりたい……。なかなか決着がつかない。

私を動かすものは……

ここまで来て最終的に行動を起こすかどうかを判断するカギは、「どれくらいワクワクしているか」だ。

怖くて踏み出せず、悩んで悩んで、それでもワクワクする気持ちが充分にあれば、実行に移す。自分を楽しませるためなら勇気を出す。そうしてマイペースに、やりたいことをやっているのである。

このところ力を入れて取り組んでいるのは、YouTubeで喋ることだ。「小心者なのに?」と周囲から不思議がられながら。確かに自分でも不思議な気がするし、最初は少し迷いもあったけれど、この活動も「面白そう!」とワクワクが消えなかったから始めたことなのだ。

やってみたら、これが予想通り面白い。怖がりな性格なんて嘘みたいに、平気で顔も声も本音もさらすことができている。これでも目立つのは嫌いじゃないのかもしれない。

思えばYouTubeを始めたことで、「やりたい自分」は以前よりたくましくなり、勇気を持てるようになった。ブレーキをかけられてもあまり動じなくなったように感じられる。


きっと、初めて1人で撮影に挑戦したときの動画が私を変えてくれたのだ。

それは1年ほど前のこと。うまく撮影できるか心配だったけれど、公開したその動画にはちゃんと私が映っていた。みんなからお褒めの言葉をいただき、「初めてにしてはうまく撮れたんじゃないの?」と喜んだ。

ところが、である。映っていたのは私だけではなかった。私の後ろにある押入れの中までばっちり映っていたのだ。「何でもとりあえず放り込んでおく場所」であるゴチャゴチャした押入れが、あろうことか全開になっていたのだ!

カメラがそんなところまで捉えるものとは想像もしていなかった。だから、撮影時には全く意識を向けていなかった。何と恥ずかしいことか!

でも、そういう恥ずかしいものを全世界に向けて公開してしまった私。もうこれからは何をやらかしても大丈夫。そんなふうにも思えたのである。

というわけで私の好奇心、身をひそめるどころか、今後はさらに勢いを増すことだろう。危険な大人になってしまったものだ。

1987年生まれ。先天性全盲。「必死に頑張らない」がモットーであるが野望は大きく、世界を変えたい思いでライター活動を行っている。Amazon Kindleにてエッセイ集『全力でゆるく生きる~全盲女子のまったりDays~』を配信中。またブログやYouTubeで全盲当事者のリアルな日常を発信中。

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