PARA CHANNEL Cage

結局、障がいのことって本人に聞いていいの?

1 1

2022.6.17

こんにちは!ライターの榎戸です。

健常者の方と会話していると、時々「障がいのことってふれていいのかな…」と躊躇(ちゅうちょ)されている場面に出会います。

今回は、障がいのことを本人に聞いて良いのか? そしてどのような聞き方ならば当事者が答えやすいのか?ということについて、私見を書かせてもらいました。

執筆:榎戸 篤 Atsushi Enokido

「ふれてはいけない」空気。

それはボクが大学で所属していた部活での出来事でした。

その日は先輩がケーキを買ってきてくれ、部室で食べようということになりました。

全員机を囲み、紙皿を並べました。

一斉に食べ始めようとしたとき、ボクは「あれ?」と思い、隣の同級生に声をかけました。

「ねえ、フォークどこ?」
すると、同級生は「これだよ」と笑い、紙皿の上を指さしました。

フォークは透明なプラスチック性のものだったため、ボクはよく見えなかったのでした。

「なんだよ~手づかみかと思ったよ~」と軽口をたたくボクに、「バカだな~」といつも通り笑う同級生。

その時です。横にいた先輩が同級生に向かって、ぴしゃりと言いました。

「そんなこと言っちゃダメでしょ!」

和やかな空気が、さっと凍り付きました。

ハッとした表情を浮かべる同級生を、ボクはすまない気持ちで見ていました。

ボクと友人との間では、いじることで障がいを受け入れ/受け入れられる関係が成り立っていました。しかし、外から見ると「そこ、ふれちゃダメでしょ!」と思う。

「いじる」まではいかなくても「質問したい」という方も、この空気があるため、躊躇してしまうのではないでしょうか?

結局、障がいのことは聞いてほしい。

しかし、障がいに関してボクは聞いてほしいなと感じています。

あくまで肌感覚ですが、同じように考える当事者は多いように思います。「腫れ物に触るように扱われたくない」「自分を理解してくれようとしている」と思うためです。

が、もちろん良い聞き方/悪い聞き方があります。

たとえば、初対面の人に「視力どれぐらい?」「どれぐらい見えんの?」と唐突に聞かれたら、面食らいます。

「どれぐらい体重あんの?」とか、「何歳?」とか、「結婚してんの?」と、初めて会った人に聞かれる感覚と同じだと思うんです。自分のプライバシーにいきなり踏み込まれる感じ。

では、どのように聞いてもらいたいのか?

【ズバリ!こんな風に聞いてほしい!】
ー 1~ワンクッションをうまく使う!

もう1つ過去の体験談を。

ボクは社会人になり、あるプロジェクトチームに配属になりました。

ボクは初対面の人と会う時、「視覚障がいのこと、受け入れてもらえるかな・・・?」と不安になります。その日も、恐る恐る指定された部屋へ向かいました。

部屋に着き準備をしていると、「何コレ?」とある方がボクの持ち物を指さしました。

それは音声読書機。本の朗読音声を聞くことができる専用の装置です。会議の録音もできるため、持参したのでした。

説明するボクに、その方はうなずき、さらに機械について質問。

ボクはうれしくなり、機器だけではなく、自分の見え方なども説明しました。周りの方も話に耳を傾けてくれたのでした。

なぜこの時ボクが話しやすかったのかと振り返ると、道具に対して質問されたことで、ボクは自分のことではなく持ち物に対する説明をすれば良いので、「自分のプライバシーに踏み込まれる感じ」がしませんでした。

そして、その感覚のまま障がいに関しても話せました。

このように、障がいに関して直接質問するのではなく、「その白杖、普段から使ってるの?」とか、「運動/読書って、どうしてるの?」と、ワンクッション置いて質問してもらえると、話しやすくなるのだと感じます。

【ズバリ!こんな風に聞いてほしい!】
ー 2~障がいのことを直接聞く時は…

とはいえ職務上、障がいのことを直接聞きたいことってありますよね?

その時は、「〇〇の仕事ができるかなと思って聞くんだけど、どれぐらいの文字なら見える?」とか、「法定雇用率の関係で聞くんだけど、障害者手帳は何級?」とか、しっかり理由を述べてもらえると良いのかなと思います。

「自分のプライバシーにいきなり踏み込まれる感じ」は、その質問をする必要がないのにされたと思う時に起こる感情です。

そのため、はっきりと聞く理由を述べてもらえると、意図が理解でき、話すことに抵抗が少なくなると思います。

おわりに――とはいえ、一番大切なのは…

今回は、障がいに関する質問をテーマに書かせてもらいました。

質問の仕方なども書かせてもらいましたが、とはいえ、一番大事にしていただきたいことは「ただの興味本位で聞く」のではなく「誠実に知りたいと思って聞く」ことです。

逆に言うと、誠実に知りたいと思って聞いてもらえれば、少し唐突な質問でも嫌な気持ちにはなりません。誠実さは伝わるので。

極端な例かもしれませんが、あまり話したことのない知り合いからいきなり告白されたら、その時はびっくりすると思うんです。ただ時間が経つと、良い思い出、うれしい思い出として残ります。それと同じような感覚だと思います。

なので、当事者を腫れ物に触る感じで扱うのではなく、ぜひ当事者に誠実に質問して、一歩踏み込んでいただけたらな…というのがボクの一番の願いです。

そのような方が一人でも増えればと思い、筆を執らせてもらいました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

1989年生まれ、東京都青梅市出身。
3歳の時のケガにより弱視に。視力は左0.04、右0。
現在は、テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターとして活動中。
▼執筆媒体
当事者向け旅行サイト「COTRAVEL」
障がい者ライフスタイルメディア「Media116」

このライターが描いた記事

関連記事

障がい者雇用特化型の求人サイト「パラちゃんねる」新規登録受付中!!

会員限定記事やコラムの裏側など、登録者限定の情報をお届けします!『多様性のある社会を実現する』ための一歩を踏み出そう。メルマガ登録して応援!