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全盲の私が思う「無意識の障害者差別」をなくすためにできること

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2022.7.5

実は身近なところに潜んでいる障害者差別。自分の中にも、差別意識はあるかもしれない。差別はなぜ生まれるのか。なくすためにできることは何なのか。視覚障害者の私自身の体験をもとに考えてみる。

執筆:山田 菜深子

障害者差別。それは、実は身近なところに潜んでいるもの。私も視覚障害者として生きてきて、「ん?これってもしかして……」という対応を受けたことが何度かある。

そしてそういう自分の中にも、差別意識はあるかもしれない。自分ではなかなか気づけないけれど。

差別はなぜ生まれるのか。なくすためにできることは何なのか。私自身の体験をもとに考えてみる。


問題は「私に対してだけ」ということ

20代の頃、とある団体の活動に参加したことがある。そこには同年代の仲間たちが集まっていた。

目が見えないのは私だけ。何かと大変だったけれど、みんなとても優しくて、丁寧にサポートしてくれた。感謝感謝である。

ただ、1つだけどうも違和感の拭えないことがあった。「どこから来たの?」「歩くスピード、これぐらいで大丈夫?」などと、めちゃくちゃフレンドリーに接してくれる人が多いのだ。

私に対しては当たり前のように敬語を使わない。私のほうが年上であっても、初対面であっても。

敬語を使ってくれ、と言いたいわけではない。むしろ「大して年齢変わらないんだし、敬語なんかいいよいいよ」と言ってもいい。フレンドリーなほうが嬉しい。だから「私は誰に対してもここでは敬語を使いません」ということならそれは歓迎する。

ところがそうではないようなのだ。年上の相手、まだそれほど親しくない相手に対しては敬語を使う。その文化はその団体にも根付いていた。年齢や距離感にかかわらず砕けた口調で話しかけるのは「私に対してだけ」なのである。

私に対してだけ。ここがどうしても受け入れられなかった。

私は何とも言えない居心地の悪さを感じた。「見下されているようだった」とまでは、まあ言わない。でも、何か寂しい気持ちになった。

「どうしよう」が悲劇を招く

どうして私にだけそんな対応になるのか。超ポジティブに捉えるなら、私がものすごく若く見えるからかもしれない。マスコット的存在でものすごく親しみやすいからかもしれない。もしそうなのだとしたら万歳してもいいところだ(20代で若く見えると言われても微妙な気分ではあるけれど)。

でも、そうは感じられない。彼らは、目の見えない私との関わり方に迷っていたのではないだろうか。

何かしてあげなきゃいけない、失礼なことを言ってはいけない。それでもどうにか距離を縮めなければいけない。どうしよう。ここは特別な対応が必要になるに違いない。彼らの中でそういう意識が働いたのではないか。そんな気がするのだ。

彼らに悪意はなかったと思う。むしろ気遣ってくれていたのだろう。でも私の頭には浮かんでしまったのだった。「差別」の2文字が。

差別をなくすためにできることは?

自分は障害者差別なんて絶対しない。多くの人はそう考えているのではないかと思う。

でも、誰にだって、差別してしまう可能性は充分にある。もちろん私にだって。

私自身も障害者同士の人間関係で、「どう接したらいいんだろう」などと悩むことがある。相手を不快にさせないためにといろいろ気をもむ。失礼な話ではあるけれど、時には勝手な思い込みで「関わりづらい」と判断して一歩引いてしまうこともある。これが「無意識の差別」の始まりになるかもしれないのだ。

そうなるのを防ぐためにできることは何か。私が心がけていることを1つ挙げるとすれば、「相手を深く知ろうとすること」だ。

これ、大切だけどなかなか難しいこと。充分な注意が必要になる。

例えば相手が障害のある方なら、まずその障害についての知識に触れてみるというのは意味のあることだ。ただそのときに、知識を得ただけで相手のことがすべてわかったような気になってはいけない。

同じ視覚障害者であったとしても、性格や考え方はさまざま。コミュニケーションが大好きな人もいれば、そうでない人もいる。方向音痴な人もいれば、そうでない人もいる。

「視覚障害者にはこういう接し方が望ましい」という大体のマニュアルは存在するけれど、それは手がかりの1つでしかない。目の前の相手をちゃんと見なければ、深く知ることはできないのだ。


もし、相手と接する中で「これってどうなんだろう?」などと疑問を持つことがあったら、そのときは本人に直接聞いてみるのが一番だと私は思う。中には「そんなこと聞いてくるなんて失礼」と感じる人もいるかもしれないけれど、私ならどんどん質問してほしい。

私たちには、知らないことがたくさんある。まだ触れたことのないものがたくさんある。知らない、触れたことがないというのは、時には差別につながることもある。

まずはそのことにちゃんと気づく。それが、差別をなくす第一歩になるのではないか。私はそう思っている。

1987年生まれ。先天性全盲。「必死に頑張らない」がモットーであるが野望は大きく、世界を変えたい思いでライター活動を行っている。Amazon Kindleにてエッセイ集『全力でゆるく生きる~全盲女子のまったりDays~』を配信中。またブログやYouTubeで全盲当事者のリアルな日常を発信中。

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