障害者雇用8年目になりました。
継続のコツは【短いゴール】と【見えない通貨】
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2022.7.15
正直言うと、今の職場でずっと働いていこうと思ってた訳じゃない。
転職活動をしてみたことも何度かある。
でも、ここまで働き続けた。
これまでの7年間の振り返りと、続けられたコツについて伝えたい。
執筆:マーチン Martin
去年の10月でめでたく障害者雇用勤続8年目に突入した。
いつまで続けられるか不安だった入社前を思えば、遠くまで来たもんだ。
障害者手帳を取得し、障害者雇用での就職活動を始めた2014年の初夏、とりあえず障害者雇用求人を片っ端から応募してみた。
その時はクローズ就労(手帳の存在を隠して一般求人に応募)で働くことは全く考えていなかった。
新卒で就職してボロボロになった前職と同じ轍を二度と踏むまい!と最初から障害者雇用一択で考えていた。
すぐに決まるかなーと初めは楽観視するも、中々内定が決まらず1ヵ月、2ヵ月と過ぎていく。
最終面接の結果が2通同時で来たと思えば、どっちも不採用でまた一からやり直し。
30社程不採用が続き、気持ちには焦りが増えていく。
採用試験がない日は午前からハローワークに通って、求人端末を確認する日々が続く。
気になる求人があれば、出力して障害者雇用相談窓口の担当者へ相談。
何十社と応募しているうちに、自然とハローワークの担当者とも仲良くなる。
僕の担当はバレーボール選手の大林素子が小さくなった感じの姐さん職員のYさん。
ポジティブで分かりやすく話しやすい職員さんで、求人票を持って行くと、いつも明るく迎えてくれる。否定や押しつけがましい物の言い方が無く、僕の就活の頼れる味方の一人だった。
そんなミニ大林素子のYさんから、紹介された求人が今の会社になる。
実は、自分も求人票でその求人の存在は知っていたが、応募するか迷って、結局見送っていた。
しかし、Yさんからの後押しで、応募に切り替えて、受付〆切ギリギリだったのを何とかエントリーにねじ込ませてもらった。
そして、書類・面接を経て、応募から1ヵ月後のお盆に10月からの入社が決まった。
そこから、7年半。
ここまで続けてこれた要因はなんだろうか?
何度も仕事を辞めたいなと思うことも実際あった。それでも踏みとどまれた。
大きな要因に
- 退勤後や休日に楽しみを設けて、【短いゴール】をたくさん作る
- 【見えない通貨】の支払いをきっちりする
この2点なのかなと思う。
1つ目の『退勤後や休日に楽しみを設けて、短いゴールをたくさん作る』については、これから先、僕らは学校を卒業後就職して年金暮らしをするまで40年から50年近く働く可能性がある。
とてもじゃないけど、年金暮らし(年金を貰えるかどうかの問題は一旦置いといて)になるまで遠すぎてくらくらする。
今でも働いててボロボロにミスする日だってあるのに、40代50代になった時にはどうなるの?
ミスをしても、今はまだ比較的若者扱いされることが多いから、大目に見てもらってるのかもしれないけど、中身と比例せずに外見だけ貫禄やベテラン感が出てしまって、年下の部下とかから「チッ、使えねーオッサンだな!」とか言われたりするんかな?(完全なる被害妄想だけど、不安すぎる)。
だから、長い職業人生をみじん切りにする感覚で1年、半年、1ヵ月、1週間、1日、半日と短いゴールというか、チェックポイントを設けて、とりあえずそこ目指して頑張ろうというもの。
例えば、
- 1年→沖縄旅行行こう!
- 半年→好きなアーティストのライブ行こう!
- 1ヵ月→新作ゲーム買おう!
- 1週間→土曜日パフェ食べに行こう!
- 1日→帰りに本屋かゲームセンター寄って帰ろう!
- 半日→ロッカーに保管してあるオヤツ食べよ!
自分にとって、モチベーションの上がる人生のログインボーナス(いわゆる自分へのご褒美)みたいな仕掛けを作ることで、目の前の期間に集中する。
そのログインボーナスがあれば、「とりあえずそこまでは頑張ろうか」と長い仕事人生からは目を逸らすことができる。
注意点としては、単価が高いログインボーナスが多いと家計がパンクしてしまうので、コスパの良いログインボーナスを探しておこう。
ちなみに、自分の場合は退勤後にウインドウショッピングや図書館に行くなど、短いゴールにはなるべくお金が掛からないイベントをログインボーナスにしていた。
2つ目は『見えない通貨の支払いをきっちりする』。
見えない通貨とは?これは発達障害当事者で作家の借金玉さんが提唱している概念。
たとえば、あなたは誰かにちょっとした親切をしてもらった。あなたは親切にしてくれた人を訪ねて「本当にありがとうございました。助かりました」とお礼をした。これはお金を介してはいませんが、ある種の取引が完了しているわけです。あなたは「お礼」という行動で「親切」という商品に対して対価を支払ったことになります。
僕の場合は前の職場で知らず知らずのウチに見えない通貨の未払いが重なり、信用がた落ちになってしまった。
- 自分だけではカバーしきれない量の伝票を手伝ってくれた
- 失くした書類を一緒に探してくれた
- 僕の退勤後に発覚した発注漏れを早急に対応してくれた
挙げ出せばキリがないほど、先輩や同僚に助けてもらっていたのに、当時の僕は、
・先輩に甘えていた
・無責任だった
・支払い(お礼を言う)ポイントだと気付けなかった
なんて理由で、十分な支払いが出来ていなかった。
それを気付いた時にはとてもじゃないが払いきれなくなり、あえなく自己破産(退職)となってしまった。
少なくとも、
・先輩に甘えていた
・無責任だった
に関しては、現職に就職するにおいて考えを改めて、積極的な支払いをするようにした。
たまに空回りして、別に支払う程でもない時に支払っても、見えない通貨なので損する訳じゃない。
しかし、支払いポイントを見逃してしまうのは、今でもあるので本当に厄介。
相手がムスッとしてたり、会話の様子がいつもと変だったり、後々トラブルとなっていたことに気付いた時点ですぐ支払うようにしている。
支払い遅れはかなりの痛手だが、それでも支払い忘れよりかは良いので、きっちり遅れを詫びつつ支払う。
ちなみに僕のよく使う見えない通貨は
「ありがとうございます」
「ごめんなさい/すみません」
「助かりました!」
特に「ありがとうございます」は1000円札並みに使いやすく絶対に切らしてはならない通貨。
感謝、挨拶、謙虚さ無くして、ここまで続けることは不可能だった。
いつまでこの会社で働き続けるのか分からないが、【短いゴール】と【見えない通貨】のこの2つを大切にしてきたから、今日の自分があるのだと思う。
Text by
Martin
マーチン
1989年生まれの33歳、生粋の岐阜県民。社会人2年目の時に発達障害(ADHD/ASD)と診断され、障害者雇用にて再就職。8年間勤務後、障害者の就労支援職に従事している。2019年に居場所作りや情報共有の場として岐阜市にて発達障害当事者会「発達ワークスぎふ」を立ち上げ、私生活では二児の父として、色々しくじりながらも奮闘中!!