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男性ホルモンの分泌異常の難病になると、どうなるのか?

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2022.7.2

私は難病の影響で合計で4つのホルモンがうまく分泌されていません。男性ホルモンの分泌異常があると、どうなるのか。男性ホルモンは身体的な変化だけでなく、精神にも影響を及ぼすのです。

執筆:たに りゅうた

私は国の指定難病「下垂体性ADH分泌異常症」と「下垂体前葉機能低下症」の当事者です。簡単に説明すると、ホルモンが分泌されない病気です。 

過去のコラムでは、2つのホルモン分泌異常の症状や治療法についてお伝えしました。

合計で4つのホルモンがうまく分泌されていません。

今回は、3つ目のホルモン、男性ホルモンについてのお話をします。


私が男性ホルモンの分泌異常の治療を開始したのは14歳の時でした。

もともと、9歳のころから2種類のホルモンの分泌がうまくいかない難病の症状が現れて、大学病院へ通っていました。検査で男性ホルモンの分泌もかなり低下しているということがわかったのです。

男性ホルモンはいわゆる二次性徴、10歳から13歳ごろの男子が大人の体に変化していくときに必要なホルモンです。

しかし、男性ホルモンは身体的な変化だけでなく、精神面にも影響があります。ここからは、科学的というよりはあくまで私の体験談としてお伝えします。

一つは、集中力や記憶力についてです。

今思い返そうとしてみると、病気を発症してからの記憶がとても薄いのです。当時は勉強や運動にもかなり集中力がなかったように思います。

調べてみたところ、男性ホルモンは記憶力や集中力を高める効果があるそうです。

当時のことを、友人や親と話をしていても、わからないことや覚えていないことが多くありました。そもそも集中できていなかったのでスルーしてしまったのか、忘れてしまったのかはわからないのですが、どちらにしても記憶にないのでこれ以上、当時のことを書くこともできませんが。

もう一つは、闘争心や積極性です。

もともと、人と競ったり、争ったりすることが好きではありませんでした。

私は中学時代にバスケットボール部に所属していたのですが、オフェンスとディフェンスがぶつかるなど、相手と衝突する場面が少し苦手でした。必然的にプレイスタイルも消極的になっていました。

スポーツだけでなく、異性に対してもかなり消極的でした。異性に興味が無かったわけではありませんが、女性とは意識的に距離を置いていました。

思春期ならではの性への興味はほぼ無かったので、友人たちと話をしていて性の話題が出ると、話についていけないことが多かったように思います。


私は思春期前から男性ホルモン分泌低下がありました。当時はいろいろと戸惑うこともありましたが、今は週一回のホルモン投与で生活の質を保つことができて助かっています。

治療を始めてから日常のさまざまな場面で気持ちも明るく積極的になったと自覚しています。

男性ホルモンの疾患のない人は、男性ホルモンについて意識をすることはあまりないかと思います。ほとんどの人にとって、男性ホルモンは自動的に分泌されるもの、あって当たり前のものだからです。

私にとって男性ホルモンは人工的に分泌させるもの、投与するものなので、その働きがいかに自分に影響を及ぼしているのかを意識します。ホルモン治療から1週間くらい経過すると、集中力がかなり低下してきて、疲労感におそわれます。

この疲れやすさや集中力の無さは、周囲からの目には怠惰に映ることもあれば、「誰にでもあること」と健常な人の疲れや集中力切れと同じようにとらえられることもあります。

私の場合、他のホルモンの分泌低下もあるので、原因を特定することはむずかしいです。

ただ、疲れやすさ一つをとっても原因は人によってちがいます。原因によって、しんどさは変わることを知っていただければと思います。

三重県出身。9歳で下垂体性ADH分泌異常症/下体前葉機能低下症を発症。日々の投薬や週に一度通院する生活を送っている。愛知みずほ大学卒。患者団体、三重県下垂体友の会会長、NPO法人三重難病連の理事も務める。社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師として障害福祉の仕事に従事。

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