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私が“自由”を手に入れるまで

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2022.8.12

はじめまして。鵜飼 洋子(うかい ようこ)と申します。どこにでもいるアラサー女性です。…嘘です。恐らく社会の歯車にはなれないタイプの、ちょっと変わった人だと自負しています。

ここでは私が自分を嫌いになった"過去"と、その嫌いな自分を少しだけ認めてあげられた"今"について触れていきたいと思います。

執筆:鵜飼 洋子 Yoko Ukai

会社に雇用されるという困難

「頑張っているのに、なぜかうまくいかない。」
私は生きていく中で、そのような経験を数えきれないほどしています。

社会人になってからは特に顕著に現れ、
・依頼された作業が納期までに終わらない
・どれだけチェックしても見積書の数字が間違っている
なんてことが続き、いよいよ上司から叱責を受けてしまいました。

「集中すれば終わる業務量なのに、なぜ間に合わないの?」
「本当に確認してる?そんなに毎回間違える?」

なぜ自分はできないのだろうか。もどかしい気持ちを抱えながら起こした行動が、私の人生を変えることになります。

『集中できない 病気』
そんなキーワードをGoogleで検索したときに表示されたのが、"ADHD"という見慣れない文字でした。

そこには問診票のようなものが記載されていて、そのほぼすべてが当てはまっていたことを覚えています。

ずっと心にかかっていた霧が、すっと消えていくような感覚でした。

すぐに心療内科を受診したところ、先生からは
「ほぼ間違いなくADHDだと思います。」
と伝えられました。

その帰り道にこれからのことを考えていたとき、そもそも私は会社員として雇用されるのが向いていないことに気付いたのです。

時間における"拘束"と"自由"のバランス

私は毎日同じ時間、同じ場所、同じデスクに拘束されるのが極端に苦手です。とにかく朝が弱いので、就業時間に間に合うように起きることも、通勤ラッシュも苦痛でしかありません。しかし、

「それはみんな同じでしょ?」

そう言われてしまえば反論できませんでした。私が"人より苦痛だ"と感じていることを言語化し、根拠を持って説明することができないので当然だと思います。

そんな私が選んだのがWebデザイナーとしての独立でした。
個人事業主であれば、家でも仕事ができる。時間に縛られることもない。
そして私はWebデザイナーとしての業務に必要な知識を蓄えた上で、最後の転職をしました。独立を目指すうえで、経験を積みたいと考えた結果の行動です。

しかし、転職先でもまた同じ壁にぶつかります。

会社に拘束されることの息苦しさは改善されず、パフォーマンスが発揮できません。
上司はADHDという障害を理解してくれましたが、会社としてはただの問題児なのです。

結局私は半年ほどで会社を退職し、独立をしました。

独立したことで私は自由を手に入れましたが、新たに困ることになったのが自己管理の甘さです。
時間の管理が困難なために納期に間に合わないなど、クライアントに迷惑をかけてしまうことがありました。それに罪悪感を抱いた私は、次第に仕事をするのが怖くなってしまったのです。

働きたい、でも働くのが怖い。そんな葛藤に苛まれた結果、いよいよベッドから起き上がることすらままならなくなりました。

苦しい日々が続きましたが、あるとき今まで臥せていた自分が信じられないくらいのパワーがみなぎってきたのです。
マリオがスターを取ったような、そんな感覚でした。

しかしその力も長くは続きません。ちょっとしたきっかけで自分に嫌気がさし、また起き上がることができなくなってしまいます。

そんな紆余曲折の末、私は双極性障害の診断を受けました。

会社員が嫌だった訳ではない

私は現在、フリーランスと会社員のパラレルワーカーとして働いています。
ADHDの不注意は相変わらずですが、双極性障害の症状については比較的落ち着いているところです。

前述の経験からフリーランス1本で働く自信がなくなった私は、改めて会社に雇用される運びとなりました。しかし、以前とは違い気持ちよく働くことができています。

そこで私は、「自分が求めていた自由は会社でも手に入れられるんだ」ということに気付きました。

たとえば、出社義務がなく、時間の縛りがないこと。成果物を重視するため、業務における裁量が大きいこと。堅苦しい上下関係がないこと。

独立することでしか得られないと思っていたことが、会社員として働く今、実現できています。
そのことに驚きながらも、結局は自分に合った環境を見つけることが何よりも大切なのだと学びました。

自分の「やりたくない」を大切に

ADHDの脳内は多動なため、人よりも疲れやすいと言われています。
また、やりたくないことに対しての拒否反応が強いという特性もあります。
私はとにかく、やりたくないことが多いです。

場所や時間に縛られたくない、単純作業が嫌い、疲れるから外回りもしたくない、かといっておしゃべりな自分にとって完全に引きこもることも苦痛である。

世間一般からすると、ただのわがままだと思います。それでも、私にとっては譲れない条件なのです。

さらに私はとても飽きっぽいです。今までの職場を続けられなかった理由として、仕事に飽きたからというのもあります。それが集中力の低下を招き、ミスを頻発する結果となっていました。

今は極力『やりたくないこと』から逃げて生きています。そして、それでいいと思っています。

ADHDは単語としての知名度は上がってきたものの、まだまだ理解を得ることは難しいと考えています。病気だから、治療さえすれば治せると思っている人も数多くいます。

しかし、無理に理解してもらう必要はありません。急がば回れで、自分が活躍できる環境を探すのが幸せの第一歩になると信じています。

偉そうに語っていますが、私もまだまだ自分を認めてあげている途中です。
皆さんと一緒に
『ADHDは個性だ』
と胸を張って言えるようになりたいと思っています。

Webデザイナー/キャリアスクール講師/義務教育におけるデジタル教育導入支援 などで活動中の、肩書が難しいフリーランス。現在は"スラッシュキャリア"と名乗っている。ADHDと双極性障害診断済み。目の前のことで精一杯なADHDの特性を活かして『明日1日を生きるための原動力』を発信することで、より多くの方と"共生"していきたいと考えている。

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