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イベントの情報保障(字幕や手話通訳)を依頼するには?

~聴覚障害の私が実践しているコツ

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2022.9.7

今回は、聴覚障害のある読者向けに、イベント・講演・講座などに参加するときの情報保障(字幕か手話通訳)をお願いするコツを共有したい。

聴者読者には、「なるほど、このような手間がかかるのだな」と認識いただける機会になればと思っています。

執筆:中川 夜 Yoru Nakagawa

多かれ少なかれ、聴覚障害者は、イベントや講習会などに参加するとき、事前に字幕か手話通訳の情報保障があるか確認するのが習慣になっているかもしれないですね。

聴者が何気なく参加しているイベント・講演会・講座には、聴覚障害者にとっては、一つの障壁があります。

それは「情報保障」です。

私たち聴覚障害者は、音や声が「きこえない・きこえにくい」ことで、「その場の情報」を「得られない・得られにくい」のです。

よって、情報を得るには、字幕または手話通訳が必要になります。

基本的には、字幕・手話通訳付きと書いてなければ、参加を諦める聴覚障害者の方が多いのではないかなと思います。

そういうとき、手間はかかるけども、試しに当事者から声を上げるということをおすすめしたいです。

「当事者の声で変わる未来がある」

これは最近、私が思うようになったことです。
私自身は、興味がある内容のイベントのときは、手話通訳や字幕保障があれば参加しています。そのたびに関係者に直接またはアンケートなどを通して、感謝を伝えるようにしています。

そうすると、
「なるほど、聴覚障害者にとって情報保障があれば参加しやすいのだな」と伝わるためか、次回のイベント・講演会・講座にも字幕や手話通訳がつきやすくなりそうな感覚がします。

本題に入りましょう。

かつて私も、あるイベント・講演会・講座などで情報保障をお願いしたくても、
「どんなメールを送ればいいんだろう…。どんな文面であれば、失礼なく、そして押し付けがましくなく情報保障がつくかつかないかを、尋ねられるのだろうか」
と悩んでいたことがありました。

そんなとき、その分野が得意な人が、一つひとつ丁寧に教えてくれ、次第に要領がつかめるようになりました。

一例として、テンプレートの文面を共有したく思います。


三つのパターンを考えてみました。

  • 1.大きなイベントでの手話通訳や字幕付けをお願いするとき
  • 2.中小ほどのイベントの場合で手話通訳や字幕付けをお願いするとき
  • 3.後日アーカイブなどで字幕保障をお願いするとき


ー 1.大きなイベントでの手話通訳や字幕付けをお願いするとき

〜〜事務局
〇〇さま

お世話になっております。
ろう者の中川と申します。

この度、〇月×日に開催される、
「〇◆▲(イベント名・講演会・講座)」に参加したく思うのですが、
本イベント・講演会・講座には手話通訳または字幕保障をつける予定はございますでしょうか?

あれば、前向きに参加を検討したく思います。
ご一考いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

中川夜

障害者やインクルーシブなどを掲げている大規模なイベントであれば、上の確認のメールに対して、前向きに検討してくれる可能性が大きい。
その他の聴者メインの大きなイベントとなると難しいかもしれないが、イベントのたびに連続して「確認だけのおうかがい」をしてみることで、近い将来、情報保障がつく可能性はあるかもしれないです。
当事者が「確認して聞いてみる」ことも社会が優しくなる改革のための行動の一歩でもあると個人的には思っています。


ー 2.中小ほどのイベントの場合で手話通訳や字幕付けをお願いするとき

まず、1のメールをお送りしてみます。
先方からの返答が、難しいという回答であれば、もう一つの手があります。
私がよく使う方法です。

フリーの手話通訳者に個人依頼し、手話通訳者と同行し、イベントなどに参加する方法です。

遠回りのような方法ですが、私は「どうしても!」というときだけに身銭を切って申し込んでいます。
以下が、手話通訳者との同行のご許可を得る目的のメールです。

〜〜事務局
〇〇さま

お世話になっております。
ろう者の中川と申します。

改めて、〇月×日に開催される、
「〇◆▲(イベント名・講演会・講座)」では、
こちらで手配した手話通訳者と同行しての参加を希望します。

ご認識くださいますようお願いいたします。

(また確実な手話通訳を受けるために、あらかじめ大まかな流れや専門用語などありましたら事前に共有するのが通例となっています。
当日使用する資料、スライド、進行表などありましたら手話通訳者用に事前共有していただけますでしょうか。)

引き続きよろしくお願いいたします。


中川夜

最終手段として、この方法で申し込んで断られたことは一度もないので「どうしても! 参加したい!」というときにおすすめしたいです。


ー 3.後日アーカイブなどで字幕保障をお願いするとき

〜〜事務局
〇〇さま

お世話になっております。
ろう者の中川と申します。

このたび、〇月×日に開催される、
「〇◆▲(イベント名・講演会・講座)」でのアーカイブに字幕付けしていただくことは可能でしょうか?

YouTubeなどで字幕の付け方の方法がありますので(実際にURLを入れる)、
お手数おかけしてしまい大変恐縮ですが、
内容を把握したく思うため、ご検討いただければ幸いです。

引き続きよろしくお願いいたします。


中川夜

こちらは障害者に理解あるところであれば、前向きにご検討いただいた上で、字幕をつけていただいたこともありました。

あなたの小さな声が周りの変革を起こせるかも

最近、身体・精神障害者に寛容な社会に変わりつつあると肌で感じる。
また、こちらのパラちゃんねるカフェの取り組みのおかげで、障害当事者としてのコラムを発信できる。

障害当事者の誰かが声を上げることで「気づいてくれる人」は一定数いる。なかには、その一定数以下の人に出会ってショックを受けるかもしれない。

しかし、「わかってくれる・気づいてくれる人」は必ずどこかにいるはずです。その存在を信じて、無理のない範囲で声を上げ続けてくれたら、嬉しいです。

私も引き続き、頑張ります。
あなたが聴者であれば、一緒に考えて相談に乗ってくれるだけでもありがたい。

この共有で、聴覚障害者の障壁が薄くなるきっかけになれば、と思います。
身近に「行きたいイベントがあるけど、情報保障がなくて参加しにくい」という聴覚障害者の知り合いがいたら、このコラムをぜひ紹介してほしい。

知って、行動し、小さくても、優しい社会への道が開かれればと思っています。

1991年生まれ。生まれつき耳が聴こえないが、教師両親から「聴者」のようにと教育される。中学生から不登校に。高校で学校に通えなくなると適応障害と診断される。のち統合失調症発症。
27歳にメンターと出会い、「これまで原因は貴方にあったのではなく背景に外的要因があったから」というくり返しの会話で深い心理的安全を得る。現在、ライターとして活動。

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