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離職を防ぐ救世主!?ジョブコーチとは

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2022.8.24

こんにちは、ライターの榎戸(えのきど)です。

働く障がい者を支援するジョブコーチが最近、視覚障がい当事者団体、当事者向けメディアなどで話題になっています。

そこで今回は、当事者から見たジョブコーチのメリット、企業がどのような対応をしてくれたらもっと使いやすくなるのか?などを書かせてもらいます。

企業にとっても、活用することで当事者の離職を予防できたり、当事者の能力をより活用できるようになる制度だと思うので、ぜひご覧ください。

執筆:榎戸 篤 Atsushi Enokido

そもそも、ジョブコーチとは?

ジョブコーチ(職場適応援助者)とは・・・

障がい者が職場に定着できるよう、

  • 当事者に対しては、仕事のこなし方・支援機器の使い方などのアドバイス
  • 職場に対しては、どのような仕事を当事者に任せればよいかなどの提言

を行います。

種類としては、

  • 各企業を訪問する「訪問型ジョブコーチ」
  • 企業に直接雇われる「企業在籍型ジョブコーチ」

などがあります。

助成金を活用すれば企業・当事者ともに無料で利用できることが多いようです。

※参考:厚生労働省|職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について

ジョブコーチがいなかったら、会社を辞めていた

「私、ジョブコーチさんが来てくれなかったら、今の会社辞めていると思います」―――

ボクがジョブコーチに関心を持ったのは、友人Aさんのこの言葉がきっかけでした。

視覚に障がいがあるAさんは、PCの文字を音声で読み上げてくれる「スクリーンリーダー」を使いながら企業で働いています。

苦労もありましたが、入社してから数年間は順調に仕事をこなしていました。
しかしある時、システムが新しくなると状況が一変。スクリーンリーダーで読めない部分が激増し、仕事を思うようにできなくなりました。

スクリーンリーダー自体の問題なのか、方法を知らない自分の問題なのかがわからないため、うまく上司に説明もできず、一人で抱え込んだといいます。同じ環境で働く人が職場におらず、スクリーンリーダーについて相談する相手もいなかったそうです。

Aさんは読み上げができないたびに「どうして読めないのか?」「自分のせいなのでは?」と自らを追い詰めていきました。

膨大な時間を費やし、あてどもなく方法を探す毎日。
Aさんは退職も考えるようになりました。

そのような時、知人からジョブコーチの話を耳にします。
「この状態から抜け出せるかも。」
半ば会社を辞める決意をしていたAさんは、どうせならと思い切って導入を会社に要望。すると見事、会社から承諾を得ることができました。

ジョブコーチに見てもらうと、そもそも新しいシステムとスクリーンリーダーの相性が悪く、ほとんどがシステムの問題だったと判明しました。

「システム自体の問題だとわかり、本当に精神的に救われました。私、ジョブコーチさんが来てくれなかったら、今の会社辞めていると思います」Aさんは、こう振り返ります。

その後、Aさんはジョブコーチに仲介してもらいながら、新しい仕事の切り出しについて会社と相談を重ねた結果、異動をし、現在はチームを引っ張る存在となって活躍しています。

ジョブコーチを使わない理由

一方で、ジョブコーチを「使いたいけれど使えない」という当事者も多いようです。
知人Bさんもその一人。

Bさんには2つの懸念があり、会社に言い出せないそうです。

まず一つ目が、Bさんが勤める会社は大企業の下請けに当たり、そのことが気になるといいます。
グループ会社で共通のシステムを使っているため、ジョブコーチをお願いするとなると、会社とグループ全体でシステムや守秘義務に関して相談・合意してもらう必要があるそうです。

「自分一人のために会社全体を巻き込みたくない。だから、苦労してでも自分で解決した方が良い」Bさんは語ります。

もう一つは、人事評価の懸念です。
「一時的とはいえジョブコーチと面談するために仕事をストップしたり、第三者を社内に入れたりすることで、会社にどう評価されるか気になる」といいます。

同じように、申し出をためらっている当事者も多いのではないかと感じます。

おわりに 企業の方へのお願い

Aさんのケースでは、ジョブコーチを活用することで、Aさんにとってはシステム的・精神的なサポートを受けられ、会社にとってはAさんが活躍できる環境の助言を受け、今大きな戦力となっているAさんの離職を防げました。

このようにジョブコーチは当事者・企業、双方にとってメリットが大きい制度ですが、Bさんのように申し出をためらう当事者も多く存在します。

そのため、ボク個人から企業の方にお願いしたいのは、

  • 企業側から当事者にジョブコーチ制度の案内をしていただきたい。
  • 申し出があった場合、できる限り導入していただきたい。

ということです。

申し出を躊躇する当事者、制度を知らず一人で悩む当事者にとって、企業側からジョブコーチの案内をしてもらえれば、「使っても良いんだ!」「こんな制度あるんだ!」と当事者が考えられるようになり、制度を活用する当事者が増えると思います。
ひいては、企業の離職率ダウン、戦力アップにつながります。

企業の方にはぜひご検討していただければ・・・
と思いつつ、今回はここで筆をおかせてもらいます。

1989年生まれ、東京都青梅市出身。
3歳の時のケガにより弱視に。視力は左0.04、右0。
現在は、テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターとして活動中。
▼執筆媒体
当事者向け旅行サイト「COTRAVEL」
障がい者ライフスタイルメディア「Media116」

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