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雑誌作りや広告業に20年以上携わってきた私にとってのライター業や編集業の魅力

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2022.9.3

障害を負う前に20年以上携わっていたライター、編集の仕事。今回は、私にとってのライターや編集業の魅力を書いていきたいと思います。

執筆:市川 潤一

私はこれまで、自分が左半身麻痺の身体障害者になってからのことを、その都度の気持ちも盛り込みながら書いてきました。

記事の中で何度か障害を負う前に20年以上していたライター、編集業について触れてきました。

私は周りからもワーカホリックと言われるほど仕事が楽しくて、好きで続けていました。取材に行けない身体になってしまった今も「病気前にやっていたライターや編集者の仕事に未練がましくこだわっているなぁ」と感じることもあります。

今回は、私にとってのライターや編集業の魅力を書いていきたいと思います。


私がライターや編集業をするきっかけになったのは、大学卒業後、就職浪人していたときに見つけた地元のフリーペーパーの会社に入社したことでした。

大学時代のゼミの卒論で、フィールドワークとして様々な人に取材をして話をまとめた経験があり、それが地域の情報を扱うフリーペーパーでもいかせるのではないか、と思っていました。

フリーペーパーは無料で配る一方、広告費によって成り立っている事情もあり、入社したばかりの私には誌面作りをするよりも、新規の広告を取ってくることが使命であり、役割でした。

当時の会社は、「新しく入ったやつはつべこべ言わずに広告取ってこい!」という社風だったのですが、せっかくこういう会社に入ったのであれば、誌面作りにも関わりたいですし、自分のお客さんから誌面作りのためにもらった情報も反映させたい、と思うものです。

当時の上司にも自分たちは誌面作りに参加できないのか質問したら、「金がとれる誌面ならOKだけど、そうでないのなら許可できないし、うちの会社はそういうのは認めていない。」と返ってきました。

「自分で記事の作成をできる環境に身を置きたい」と思っていたときに、大学時代の友人が愛媛にある出版社で働いていたのを頼って、愛媛に移住しました。友人の会社が使っていた編集プロダクションを紹介してもらって、そこに入社したのです。

主に観光やグルメの情報誌に特化した編集プロダクションだったので、ライターや編集、撮影まで修業をさせてもらいました。

記事や写真も含め、「自分が取材したお店や対象が、どのように表現すれば、記事をチェックする当時の上司や読者に伝わるのか、反響をもらえるのか」と試行錯誤をしているうちにライターや編集の仕事が面白く、楽しく感じられてきました。

そのさなかに、とある情報誌の立ち上げに誘われたのです。メディアのコンセプトも含め雑誌を一から考えることに非常に面白みを感じて、編集ページだけでなく営業の企画も自分で考え、メディアを運営していくことに非常にやりがいを覚えました。

「できればこの仕事を一生やり続けていこう」と思ったのもこの頃でした。

市内で配布していたフリーペーパーだったので、手に取って見ている人もそれなりにいました。自分で考えた特集企画や、記事などに反応があったり、配布数が伸びて、設置しているところの本が無くなったりすると、非常に手応えを感じたものです。

特集を組むと、その号の担当者の趣味嗜好が出てきます。非常にニッチな部分でもあるのですが、そこにハガキやメールで反応が返ってきたり、取材したお店や対象からお礼を言われたり、褒められたりすると、次への励みにもなります。「自分のセンスや考えが受け入れられた」という満足感も得ることができます。


きっと私は病気をしてネガティブになって、仕事をしていた頃に味わっていた充実感や喜びを見つけられなくなり、ライター業や編集業にこだわっているのではないかと思います。いろんな人や場所で話を聞き、自分の中に知識や経験などのインプットを増やして、楽しみながら仕事をしていた頃の感覚を取り戻したいのです。

退院した後は、一時期「自分で『俺の新聞』的なA3二つ折りくらいのミニコミ誌でも作ろうか」と思っていたこともありました。

左手が使えないので、よく使うキーボードの左下のキーが押せなくて諦めていましたが、今の仕事をしながら、左手の動作を補う道具やキーボードの機能なども把握してきました。以前ほどではなくとも、イラストレーターを使って多少の細かい作業はできるのではないか、と思っています。

できれば、将来的にはそういうミニコミ誌やウェブメディアなどもできたらいいなと考えています。以前も自分のメディアでの取材を通じて人脈などができたので、そういうものを作り、本当の意味で社会復帰できればとも思っています。

1975年生まれ。長崎県佐世保市出身・在住。愛媛県でライター・編集者・カメラマンなどとして活動していたときに脳梗塞になり、左半身麻痺の身体障害者となる。取材活動ができなくなり、ライターを廃業。障害者雇用の在宅ワーカーとなり現在に至る。障害者の仕事の仕方や見つけ方など自分の経験を紹介していきたいと思います。

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