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身体性表現障害だとわかったときの心模様

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2022.9.10

原因不明の痛みがある線維筋痛症と診断されて療養生活を送ってから5年。診断名が身体性表現障害に変わりました。とはいえ、どちらも原因不明の痛みがあって、治療法がないことは同じ。今回は、診断を受けたときの心境についてです。

執筆:ゆめみがち

こんにちは、ゆめみがちです。

私はゆめみがちというペンネームで活動している29歳の、ADHDと自閉症スペクトラムを持つものです。普段は推し活についての情報を発信するライターをしています。

発達障害の診断を受けたばかりで、今までは身体性表現障害(メンタルの不調が身体症状として表れるもの)により8年間ニート状態で過ごしていました。ただ、身体性表現障害だと診断されるまで5年ほどかかりました。

今回は身体性表現障害だと診断されたときの心境についてお話しようと思います。

痛みが出た時

もともと肩こりなどの身体の痛みがひどく、中学も高校も不登校になっていたこともあり、いつから痛み始めたのか、その起源が曖昧なのですが、1番大きく痛みが出てしまったのは、実家を出て神奈川県の小田急線沿いで一人暮らしをしていた大学2年生のときです。

少し前屈みになった時に首の筋に痛みが走り、首を動かせなくなりました。ぎっくり腰の首バージョンみたいな感じで、どんどん痛みが増していき、身体中へ広がり、何日経っても何ヶ月経っても治らず。

寝転んでいても腰が痛く、ろくに寝れない地獄のような状況に陥りました。

そこから大学にも全く行けなくなり(講義の時間、座っていられない)病院に行くと「線維筋痛症」と診断されました。原因不明の疼痛が現れる「線維筋痛症」にはこれといった治療はなく、とにかく実家に戻って療養することに。

しかし、5年ほど経っても全く良くなりませんでした。むしろ、ゆっくりできる時間はいくらでもあったのに、良くならないどころか悪化。原因不明の胃腸炎まで繰り返すハメになりました。

診断

新たに胃腸の検査をしても異常なし。念の為、定期的に撮影するMRIだかCTだかもお金が飛ぶだけで異常なし。

たくさん検査をしても異常がなく、ゆっくりと過ごしているのに症状が悪化していく経過を見た主治医から「線維筋痛症というより、身体性表現障害ではないか?」と診断されました。

「今更、病名変わるんかーい!」と思いました。

ただ「身体性表現障害」という病状を聞いたときは、どういう病気かというより、「お、病名が変わったということは、何か新しい対処法や治療があるのかな」と期待したんです。

しかし、実際は全く変わらない。

身体に異常がないのに痛みや不調が出るのが身体性表現障害なので、何もできることはない。「病名を変える必要があったんだろうか?」と思いました。

自分で調べても「原因不明の痛みや不調の症状が出て」と線維筋痛症とも身体性表現障害どっちにも常套句のような説明がついています。例えば「貧血の人が鉄分を摂取すれば幾分マシになる!」というような、はっきりした対処なんてものはないです。

身体性表現障害の内容を説明されると「痛くないのに痛いって言ってるようなもん」と言われているように感じて、非常に不快になりました。

診断された時の心の動き


身体性表現障害と診断されて「身体は正常なのに痛みを感じるのは私の心がおかしくなってるんだな」っていうことを改めて、理解しました。

「心のせいでここまで身体が異常をきたすのか」とびっくり。

しかし、「その原因が心の悩みと言われても、その心の悩みがわからないから困っているんだよ!そこを教えてよ!」とさらにキレたんです。

5年以上ずっとニートで一日中家におり、仕事や人間関係に追われるという悩みとは無縁な環境のはず。なにがストレスやねん。このぬくぬくとした療養環境で、心が原因とは一体どうしたらいいのか?

そう聞くと、主治医やカウンセラー心理士やお坊さんや相談員やいろんな人(どんだけ病気治そうと通ってんねん)は

「身体に異常をきたすくらい心がしんどくなっちゃってるんです。まあ、あなたはうつ病とか心の病ではないけど。」と口を揃えるわけです。

「心の病ではないのに心が原因で痛いって何なのだろう?それはやっぱり遠回しに仮病って言ってるよね?」と思いました。

診断されてからしばらくの私の心の動き


そして結局、

「あたしって働きたくないから身体に異常をきたしているんだね。もう一生病的にニートです」とかなりこじらせた精神状態になってしまいました。

実際、身体がしんどくても働いている人はたくさんいます。私より痛みがひどそうな方も杖をついて職場に通っていました。

私自身も「フルタイムとは言わずとも!1日だけでも!自立支援施設で週に3日通うだけでも!」と就労に向けてかなり支援されても、嫌すぎてどこもちゃんと行くことはなく、自立支援施設にも行っても全身が痺れてしまい、二日で辞めました。

働くこと、頑張ることを拒否をする超ダラケの無能なのかなと思って自己肯定感も下がりました。

「自分って本当にダメ人間。もう一生ニートなんだなあ。完。来世に期待。」と、落ち込みました。

ニートは遊ぶ時間があっても、お金が入ってこない不安は尋常じゃないですし、罪悪感もあります。身体性表現障害と診断が変わってから3年弱くらいはずーっとそんな感じ。徐々に吹っ切れてきましたが、心はモヤモヤしていて症状は改善されずという感じでした。

1個だけ良かったのは、改めて身体に症状がないとわかったからこそ「どんどん減薬していっても平気」というお墨付きをもらえたことです。

線維筋痛症と診断されていたころは薬を最大量処方されていました。減薬すると痛みが襲ってきそうで不安で仕方なかったのだけれど、「いや、薬代もったいないな」という気持ちが強く出たタイミングで減薬に成功しました。

今の向き合い方


ちなみに、ずっとわからなくてモヤモヤしていた私の身体性表現障害の原因は発達障害の二次障害だったと思っています。

身体表現性障害としか診断されなかったころは「ニートで一日中家にいる生活を送っているのに、心が原因ってどういうこと?」と対処ができず、ずっと立ち止まってメソメソしたままでした。

発達障害と知ってからは「自分は一つのことに集中しすぎるし、脳内でグルグル考え続けているんだ」という特性に気づきました。

好きなことなら過集中になって困るくらいなのに、興味のないことだと頑張っても集中力が途切れてしまうんです。無理やり取り組もうとすると疼痛が出てしまうこともわかりました。

自分の中で「発達障害だから仕方ない。でも、できるところまでは頑張ろう」と、納得できるので、少しずつ働いたり、ほんのちょっと前に進むことはできています。後退はしていません。

過度にモヤモヤ、イライラしなくなったこともとても救いです。もちろん「なんでこんなにできないの!」と突発的に泣いちゃうことも最近あったんですが、前進していく中でのハプニングなので良いのかなと思っています。

診断の勧め

身体性表現障害だと診断されたときは自分が発達障害だなんてわからなかったので、迷走してしまったんでしょう。

「発達障害というヒントがあればかなりちがっていたのになあ」と、後悔しています。

身体性表現障害でストレスの原因がピンとこない方はもしかしたら発達障害かも、なんて絶対に言えません。きっと、他の原因があって身体性表現障害になっている人もいるはずだからです。

でも「心の病は絶対ない」と言われた私でもバリバリなADHDで、ストレス過多だったわけなので、「もし、自分の苦しんでいる症状にピンと来てない人がいたら、いろんな角度から調べてみてね!」と言いたいです。

身体性表現障害で8年の無職ひきこもりから、推し活のおかげで社会復帰に成功。しかし会社に就職するもクビになり、直後にADHDとASDスペクトラムが発覚した。現在は自身の発達障害に向き合いながら、推し活の素晴らしさを様々な角度から発信している。

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