ボードゲームが教えてくれたこと
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2022.9.13
私は精神の病である統合失調症を患っていますが、旦那さんや周りの人々に支えていただき、毎日楽しく過ごしています。今回は私の趣味でもあるボードゲームが教えてくれたことについてお話したいと思います。
執筆:大井 南 minami.o
こんにちは。webライターの大井 南です。
私は精神の病である統合失調症を患っていることもあり、思考がうまくまとまらず、頭の中が混乱してしまうことが多々あります。日常生活でも緊張してしまうと簡単な計算ができなくなったり、普段できていることが困難になったりしてしまいます。
しかし、旦那さんや周りの人々に支えていただき、毎日楽しく過ごしています。今回は私の趣味でもあるボードゲームが教えてくれたことについてお話したいと思います。
ボードゲームを始めたきっかけ
まずは、ボードゲームについて簡単にお話したいと思います。
ボードゲームは人生ゲームやオセロ、将棋などに代表されるアナログゲームです。最近ではテレビ番組でも大きく取り上げられ、SNSでも話題になりました。ユーチューバーの間でも遊んでいる動画が公開されるなど、ブームになっていますね。
そんなボードゲームにはまるきっかけになったのは、旦那さんにすすめられてボードゲームカフェに遊びに行ったことでした。右も左もわからずドキドキでしたが、棚にずらっと並ぶ面白そうなボードゲームの数々を見てワクワクしたのを覚えています。
旦那さんと2人で来たので、3人以上のゲームで遊ぶために初対面の方と相席することになりました。
元々人見知りということもあり、ちゃんと楽しめるかなと緊張感が高まります。それにルールを理解できるかも正直不安でした。病気の特性上、情報量が多いと混乱してしまう傾向があるからです。しかし、ゲームが始まる前に、店長さんが丁寧にルールを説明してくれて、それがとてもわかりやすかったため、安心できました。
いざゲームが始まると、それまでの不安がどこかへ吹き飛んでしまったかのように、ゲームの世界にのめり込んでいきました。相席の方ともまるで昔からの知り合いのように、ワイワイと賑やかにゲームを楽しむことができたのです。
「どうするかなあ」
「何でそこに駒を置いちゃうかなあ」
「それ取らないでくださいよ~」
会話をしながら、カードをめくったり、駒を動かしたりすることがこんなにも楽しいのかと驚きましたが、ボードゲームの魅力を存分に堪能することができました。
初対面の方とも楽しくコミュニケーションをとれたことが嬉しくて、家に帰っても、しばらく興奮が冷めやらない状態だったことをよく覚えています。
そこからどんどんボードゲームにはまっていき、家にはボードゲーム専用の棚ができるほどになりました。遊ぶだけではなく、旦那さんと一緒にサークルを立ち上げ、ボードゲームを自作するまでに。
近々ゲームマーケットというボードゲームの大きなイベントがあり、そこで自作のボードゲームを販売する予定です。
好きなボードゲームの紹介
どのボードゲームも個性豊かで大好きなのですが、私が特に好きなのがオインクゲームズさんの「海底探検」です。
すごろくのようにサイコロを振って自分の駒を進めながら、海底に潜って遺跡からお宝を手に入れるゲームです。
このゲームの特徴は普通のすごろくのようにゴールに一直線に向かうのではなく、ある程度お宝を集めたら、自分が乗ってきた潜水艦に戻らなければならないことです。
制限時間内に戻って来られなければ、潜水艦に乗り込めず、手にしたお宝はすべて海の藻屑に。どこまで進むか、どこで引き返すかで頭を悩ませる非常に面白いゲームとなっています。
さらに、このゲームの面白いところは、後半になるにつれて逆転の可能性が高まることです。実際に、友人と遊んだときは、2ラウンド目まで0点だった友人が、3ラウンド目で大量のお宝をゲットし、逆転勝利するというドラマが生まれました。
「ボードゲームはこうしたハラハラドキドキのドラマがあるからやめられないなあ」と改めて思う出来事でした。
ボードゲームからの学びや気づき
ボードゲームからの学びは非常に多いです。
先日行われたボードゲームのテストプレイ会で印象的な出来事がありました。テストプレイ会とはボードゲームを自作しているサークルさんたちが集まって互いに製作途中の自作のゲームを持ち寄り、実際に試してみるイベントのことです。
そこで、他のサークルさんのゲームを遊ばせていただいたのですが、それが私にはとても理解が難しく、頭が混乱してしまい、何も考えられなくなってしまいました。
ルール自体はシンプルで、線路をつなげていくゲームだったのですが、線路が複雑に入り乱れていて、線路の描かれたカード自体も回転するなど、私には苦手な要素が多く盛り込まれていました。
精一杯考えるのですが、思考がまとまりません。
「せっかくこうしてゲームを遊ばせていただく機会に恵まれたのに、役立つことができずに終わるのか」と申し訳なさでいっぱいでした。
結果、散々な得点にはなってしまいましたが、ひとまずゲームは終わりました。
その後、お互いにゲームの感想を言い合います。他の方は、「難しかったが、すごくよくできている。」「考える要素がたくさんあって楽しかった」とおっしゃっていましたが、私は「自分が病気でなかったならば、皆さんのようにもっと楽しめたかもしれない。私にはボードゲームはハードルが高いのか」と自分を追い詰めてしまいました。
「どうでしたか?」と製作者さんに感想を聞かれました。
「私には難しかったです。他の方よりも私は考えるのが苦手なので、あまりお役に立てずにすみません」と正直に伝えて謝りました。
すると、「自分が好きではない、得意ではないジャンルはやらない人も多いのに、挑戦してくれたことが嬉しかったです」と言っていただけました。加えて、「苦手な人の反応もゲーム作りに役に立ちます」とのことでした。
その言葉にとても安心しました。一緒にゲームをプレイした方々からもアドバイスや優しい言葉をかけていただき、嫌な顔一つせずに温かく見守っていただけたことが嬉しかったです。
「特性で困ったこと、できないことばかりに目を向けるのではなく、特性を持った立場だからこそできることがある」と感じました。「苦手」という立場からの意見もあるのだと思いました。
ボードゲームを通じて知り合った仲間
私たちのサークルはボードゲームを作っている他のサークルさんとも交流があります。
ボードゲームサークルの集まりがあり、そこで先輩サークルさんから自分たちのゲームの感想をもらったり、説明書の添削をしてもらったりしています。そのお陰で自作のゲームも完成し、今年の春のゲームマーケットでの販売にまでこぎつけることができました。
あるサークルさんとは合同でゲームマーケットにも出させてもらい、準備から当日の流れまで細やかなサポートを頂きました。そのサークルさんのお陰で、当日も多くのお客さんに恵まれ、楽しい時間を過ごすことができました。
支えてくださった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
他にもテストプレイ会で出会った方や、SNSなどで仲良くさせてもらっているサークルさんとの交流もあります。今度一緒に自作ボードゲームの体験会を開こうと盛り上がっています。
「色々な方とコミュニケーションを取れるのはこんなにも楽しいものなのか」と驚いています。自分のペースで黙々とやるのも好きですが、皆で協力しながら創作活動をしていくのは素敵なことだなと思っています。
まとめ
ボードゲームは私に色々なことを教えてくれました。
創作活動の楽しさ、特性を持っている立場だからこそ感じられること、周りの方への感謝など。どれも私にとって大切なことばかりです。
まさかボードゲームを作るまでボードゲームにはまるとは思っていませんでしたが、ボードゲームの世界に連れてきてくれた旦那さんには改めて感謝しています。
あと、ボードゲーム作りを支えてくださっているサークルさんたちにはいつか恩返しがしたいです。皆さんのお陰で今こうして楽しく活動できているので、日々感謝の気持ちを忘れずに、活動していきたいと思います。