PARA CHANNEL Cage

コラムを書き始めて1年経って考えたこと

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2022.9.22

昨年の9月に私がパラちゃんねるカフェと出会ってから、ちょうど1年が経ちました。この1年間で私の書かせてもらった原稿は計15本。今回は、この1年間に感じていたことや、経験を記事として書く中で自分が変化したことについて少し振り返ってみたいと思います。

執筆:とくら じゅん

こんにちは、とくらです。

昨年の9月に私がパラちゃんねるカフェと出会ってから、ちょうど1年が経ちました。最初に私が書いた記事の公開日は2021年9月23日です。

(第1回は「出産したらADHDでした。」というタイトルで、私が診断を受けたきっかけなどを書いておりますのでよろしければ併せてお読みいただければ幸いです)

この1年間で書いた原稿は計15本。拙文を編集して記事を公開してくださった運営の皆様、また読んでくださった方々に本当に感謝しています。

パラちゃんねるカフェと出会うまで、自分が障害にまつわる体験を文章にして誰かに見せることがあるとはまったく思っていませんでした。

しかし、当時偶然Twitterで見かけたライター募集になぜか「これだ」と感じてしまったのです。過去の選択って、後で考えると不思議なものですよね。

今回は、この1年間に記事を書いていく中で自分が変化したことについて少し振り返ってみたいと思います。

自分のことが分かるようになった


私は仕事や子育て、人とのかかわり方や家族の話など、毎回異なるテーマで15本の原稿を書いてきました。

原稿を書くときには、テーマごとに具体的なエピソードを思い出しながら文字に起こしていくため、どんな体験があったのか、その時に自分はどう感じていたのか、ということを振り返る必要があります。

おそらく当事者ライターになっていなければ、こうした作業をすることはなかったでしょう。

2021年11月に公開された「産院で起こったショックな話」という第2子を出産したときのエピソードを書いた記事があります。

「出産」というテーマで原稿を作成することになったため、出産当時の様子の詳細を振り返る必要がありました。

改めて思い返してみると「これは大変だった」「実は発達障害というものに関連があった体験だ」「こんなことをしてもらった」という、忘れていたことや、いくつかの発見があったのです。

そのときには気付いていなかったことでも、後で考えてみると「こういうことか」と得心がいくこともあり、自分の行動や思考を整理するとても良いきっかけになりました。

自分の体験を後から整理することは実際の生活の中でも活かされる場面が多くありました。

例えば、私は今年に入ってから転職をしたのですが、現在の職場で自分の働き方を相談する際に、原稿を書くために振り返ってきたエピソードたちが役立ちました。「この時はこうだった」と既に一度言語化していたので非常に話しやすかったのです。

また、「どんな工夫をしているのか?」というテーマの記事もいくつか書いていたため、その工夫の良し悪しを考えることにもつながりました。

行動や思考を整理したことで、何気なくやっていたことを改善可能なものに切り出すことができたのです。

以前は、「自分が実際に困っている事象」自体にフォーカスして障害と向き合っていましたが、このコラムを書き始めてからはその中で生まれた「感情」や、困りごとに「どう対処していくのか」に意識が向くようになりました。

今、目の前で起こっている「できごと」よりも、自分の行動や対処法など「自分」を主体にした向き合い方に変化したように思います。

診断を受けた当初に陥っていた「本には発達障害の人はこれができないと書かれていたから、私もできないに違いない」という、過度な一般化とも言える状態から、「障害は障害として存在しているが、それで自分はどうなのか?」という、一歩踏み込んだフェーズに進むことができました。

似た状況の人が居たとしても、本当は本人たちにとっては全く異なる経験であるはずです。

他者の経験や一般的な言説は参考になりますが、それとは別に自分自身と向き合うこともまた必要なことだと感じます。

世界が広がる


ADHDの診断を受けてから、発達障害について調べるようにはなりましたが、自分と近しい特性についての情報を取り入れるばかりでした。

パラちゃんねるカフェでコラムを書き始めてからは、他の当事者ライターさんの記事を読んだり、その障害について調べたりと、少しずつ知る範囲を広げていくことになりました。

街中を歩いたり、施設を利用したり、WEBサービスを使ったり、いろいろな場面で「こんなことに困る人もいるのではないだろうか?」という視点を持って見ることができるようになり、この視点は仕事にも活かされていると感じます。

「自分はマイノリティでもあり、マジョリティでもある」ということを改めて知るきっかけとなったのです。

自分が困っていないことについて、少し立ち止まって「自分は問題なく使えるが、誰かが困っているかもしれない」と考えることは、難しいですが大切なことです。困りごとを抱えている当事者が声を上げることも大切ですが、その目線を共有している人が多くいた方が社会が良くなるスピードは速いのではないでしょうか。

コラムを通して、多くの人が一緒に生きている社会の中において非常に重要な気付きを得ることができたように思います。

ライターというよりも、一読者としての視点ですが、これは私にとってとても大きな変化でした。

まとめ

この1年間、過去に遡って自分と周囲の人々について考える時間をたくさん持つことができました。

その中で自分と周囲だけでなく、もっと広い世界への考え方も少し変わってきたのです。

「障害を持っている」という事実は変わらなくても、障害だけが人の構成要素ではない以上、どう感じるかは人それぞれです。

「この時自分はどう感じた?」という疑問を自分に投げかけ続けることで、他者の感じ方にも考えを巡らせやすくなるのではないでしょうか。

これからも、パラちゃんねるカフェをきっかけに、当事者が実際に感じたことに触れて変化を感じてくださる方が一人でも多く生まれることを切に願っています。

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。出産後ADHDの診断を受ける。様々な立場の生きづらさを考えていきたい人。

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