音楽を「ただ聴く」だけで済ましていませんか?
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2022.9.26
あなたは、音楽を聴いていますか?音楽にはたくさんのいい効果がありますが、日常的に音楽を聴く人こそ、その恩恵をたくさん受けてほしいと思います。
執筆:いりえ(北橋 玲実)
わたしは親がピアノの講師だったことから、家の中では何かしらの音楽が流れ、わたし自身も楽器を早くから始めて、それが今も続いています。何なら産まれる前からモーツァルトを聴かせていたという話も聞いたくらいです。
そのくらい音楽に触れ、また自分自身の聴覚過敏という特性からも、音楽を聴くことがわたし自身に与えてきた影響の大きさは計り知れないものだと思います。
そこまでではなくても、多くの人が日々音楽に触れながら生活をしていると思います。スマホやPCからイヤホンで聴いたり、商店街やお店の中では何かしらのBGMが流ていたりして、それが自然に耳に入ってくることも少なくありません。
さらに言えば、家事をしている時の洗濯機の稼働音、鳥のさえずり、風で木々のこすれる音も、音楽ではありませんが同じように音としてわたしたちの身体に入ってきます。
音楽を意図的に治療の目的で使う「音楽療法」は、アメリカやヨーロッパでは盛んに取り入れられる治療法の一つです。国内でも、高齢者の認知症や末期患者の緩和ケアに用いられています。音楽療法を行うことのできる音楽療法士の資格取得者は年々増加傾向にあり、音楽の人体への影響を測る研究も以前よりも盛んに行われるようになってきました。
モーツァルト療法など、研究者によって意見が分かれる療法もありますが、音楽が人体に影響を与えるという点においては、ほぼ同意がされているようです。
この20年間においては音楽療法に関する研究の数は非常に増加しており、全般的に肯定的な結果に終わっているようです。
出典:フロンティア|過去 20 年間の音楽療法研究の状況:計量文献分析
音楽を聴くことによる効果は、おもに以下のものがあげられます。
- 気分を盛り上げる
- 集中力を高める
- 不安を和らげる
- 怒りを鎮める
- 痛みを緩和する
- 脳の働きを活発にする
- 感情を発散しストレスを解消する
- 自信を取り戻す
以上のような効果は、今のこの時代に必要なものがだいたい揃っている、とわたしは思います。
例えば多くの人が悩みがちな仕事のトラブルというと、上司に怒られたことやプレゼンがうまくいかなかったことなどがあげられます。
上司に怒られても、音楽を使ってその時に自分の気分を和らげてもう一度上司との関係を築く自信をつけることができます。プレゼンで失敗しても同じですし、失敗しないように自信や集中力を高める力もあります。
また、やむを得ず会社から離れねばならなくなった時も、「働けなくなるかもしれない」という状況を冷静に捉えて正しい行動を続けるのを助けてくれることもあります。
家族やパートナーシップといった人間関係の問題はもっと複雑で予測のできないものですが、お互いが分かり合えなかったり、意図せず相手を傷つけてしまったり、張り合わなくていいことで張り合って関係がこじれてしまった時、すぐに素直に謝ったり思いを伝えるのは難しいかもしれません。
それでも音楽を聴いて心を静めたり素晴らしい歌詞に触れたりして、相手や自分に対する理解を深めることができれば状況は変わるかもしれません。
日本人の8割以上が週に1回以上音楽を聴く習慣があるそうです。
(参照:楽天インサイト|音楽に関する調査)
一方で、みなさんもよくご存じの通り精神的に追い詰められながら生きている人も一定以上いるのが事実です。
もしあなたが日常的に音楽に触れながらも、将来の不安や過去の自分の言動に後悔を重ねたり、自分を追い詰めたりしている、という自覚があるのだとしたら、音楽を聴くという行為をもっと「自分のため」と思って聴いてみてほしいと思います。
疲れたり感情が乱れたりしている時に音楽を聴く人は多いと思います。ただ、怒りを感じている時にリラクゼーションの曲を聴くことが必ずしも効果があるとは限らず、時には逆効果となることさえあります。
大事なことは、「自分の状態に合った曲」を聞くということ。いつもと同じ曲を習慣的に聴く人は多いかもしれませんが、それを聴くことが本当に自分に合っているのか、ということを振り返ってみてほしいのです。
音楽を聴くことは何かしらの影響をわたしたちの身体に与えます。だからこそ、その効果をいかに自分のために使えるかどうかを考えることは想像以上に重要です。
そのためにもぜひ、「『今の自分自身』がどんな状態なのかに意識を向け、音楽を選んで聴く」ことや、自分を大切にすることをぜひ習慣化してみてください。きっと日常の心のゆとりや人と話すこと、仕事をすることがより楽に感じられるはずですよ。