私にとっての幸せ
1
1
2022.10.4
自分の幸せは何だろうか?私は何のために創作活動をしているのか?これまでは、深く考えたことがありませんでした。今回は、「私にとっての幸せ」のテーマで書くにあたって、ヒントをもらえたボードゲームイベントの出来事についてです。
執筆:大井 南 minami.o
こんにちは。webライターの大井 南です。突然ですが私は精神の病である「統合失調症」を患っています。「統合失調症」は思考がうまくまとまらず、頭の中が混乱してしまう病気です。
日常生活でも、家事がうまくできなかったり、外出すると周りの情報量の多さにヘトヘトになってしまったりします。しかし、旦那さんや周りの人々に支えていただき、折り合いをつけながら、過ごしています。
今回は「私にとっての幸せ」についてお話したいと思います。
幸せという言葉は漠然としているので、このテーマで書くにあたって「私にとっての幸せは何だろうな~?」と色々考えました。
私にとっての幸せは「自分が作ったもので誰かと楽しい時間を共有できることだなあ」と思います。私は今までも演劇活動や小説執筆、ボードゲーム作りなど、創作活動を行ってきましたが、「何のために創作活動をしているのか」までは深く考えたことがありませんでした。
先日、趣味のボードゲーム制作の一環で即売会イベントに参加してきたのですが、そこで私は「なぜ創作活動をしているのか?自分の幸せは何だろうか?」という疑問に対するヒントをもらうことができました。この出来事について詳しくお話したいと思います。
6歳の男の子の満面の笑顔
私の趣味はオセロや人生ゲームなどに代表される、ボードゲームです。興味を持ったきっかけは旦那さんに連れて行ってもらったボードゲームカフェです。そこでボードゲームの魅力にハマり、自分たちでボードゲームを作るまでになりました。イベントでは自作のボードゲームの販売もしています。
先日も、都内でボードゲームのイベントがあり、出展者側として参加してきました。そのイベントでは出展者の出しているボードゲームをお客さんが自由に試遊することができます。私たちは、今制作中のハニワが主役のゲームを遊べるようにしていました。
イベントが開場し、「どんなお客さんが来てくれるかな~?」とドキドキしながら待っていると親子連れのお客さんが私たちのブースに遊びに来てくれました。
「この子、ハニワが大好きなんです。6歳の子でも遊べますか?」
小さな男の子がどこか不安そうな目でこちらをみつめています。ハニワのゲームの対象年齢は6歳からですが、実際に6歳のお子さんに遊んでもらったことはありませんでした。私たちもドキドキです。ちゃんと小さい子にもルールを理解して楽しんでもらえるだろうか?
サークルのメンバーが小さい子にも伝わりやすいように言葉を選びながら丁寧に説明をします。男の子は椅子にちょこんと座り、じっと私たちの話を聞いてくれました。
説明が終わり、ゲームが始まります。「わかってもらえたかな?」と不安な気持ちを抱えたまま、男の子の番が来ます。
このゲームの大まかな流れは素材を集めてハニワを作成し、自分の陣地に並べて豪族にプレゼントするというものです。その子は迷うことなく、素材を使ってハニワを作成、見事に陣地に配置してみせたのです。
正直、ほっとしました。6歳の子にもゲームのルールが問題なく伝わったんだ。
そして、ゲームが順調に進んでいきます。ルールは少し簡易版にしましたが、メインの部分はそのままです。時折、男の子は相手の手番を抜かしてプレイを進めてしまうこともありましたが、そこはご愛敬です。
ゲームが終わりました。なかなか良い勝負で、相手をしていた私も苦戦してしまうほどでした。このゲームでは、豪族のタイルが出てくるのですが、表面はむすっとしたどこか不機嫌そうな顔をしています。条件を満たすと、裏返ってコミカルな満面の笑みになります。
条件が満たされたので、豪族のタイルがひっくり返され、豪族が笑顔になります。それを見た男の子はにこっと笑ってくれたのです。その笑顔は無邪気で、とても温かな気持ちにさせてくれるものでした。
その笑顔を見た途端、今までゲーム作りで費やしてきた苦労が報われた気持ちがしました。
正直、ゲーム作りは楽しい面もありますが、苦しい面も多いです。うまくアイデアがかみ合わなかったり、テストプレイで他の方に辛辣なことを言われたり。傷つくこともありました。
しかし、この子の笑顔ですべてが吹き飛びました。私たちのやってきたことは無駄じゃなかったのだと。
温かい気持ちのまま、続々とお客さんや顔見知りのサークルさんが挨拶に来てくださり、のんびりする暇もなく、イベントは進んでいきました。
イベントも終盤に差し掛かってきたころ、再び、先ほどの親子が遊びにきてくれました。
「この子が、またハニワで遊びたいって言ってるんですが、大丈夫ですか?」
嬉しい言葉に、イベントの疲れが吹き飛ぶのを感じました。ちょうど別のお客さんがテストプレイをしていたので、時間を置いて、また遊んでくれることに。男の子はニコニコしながら、椅子にちょこんと座ります。ゲームが始まり、また楽しい時間を過ごすことが出来ました。
イベントの終わり際にも、わざわざ丁寧にごあいさつに来てくださり、心温まる交流ができたことが嬉しくて仕方ありませんでした。
イベントが終わり、帰りの電車の中で色々なことを考えていました。
私はハニワの不思議な表情が好きです。そして、ハニワのボードゲームを作ろうと言い出したのは私です。
先述したようにここまで平坦な道ではありませんでした。ルールを急遽大幅に修正しなければならないこともありました。正直、「私が言い出さなければこんなに苦しむこともなかったのに」と後悔したこともあります。
しかし、ハニワのゲームを作らなければ、今日こうして、男の子の笑顔を見ることもできなかったはずです。「すべての物事に無駄はないんだなあ」と改めて感じました。
私にとっての幸せ
このテーマでパラちゃんねるカフェの記事を書いてほしいと言われたとき、一瞬戸惑いました。「私に書けるだろうか」と悩んでしまったのです。
しかし、私の心には、先日のイベントでの男の子の笑顔が浮かびました。
「ああ、そういうことか」と納得したのです。私にとっての幸せとはなにか。それは自分が作ったもので誰かと楽しい時間を共有できることだと。
私は今までの創作活動をざっと振り返ってみました。高校、大学と演劇を続けてきたのはなぜだろうと。
やはり、お客さんに楽しんでもらいたいという気持ちが強かったように思います。私の場合はお笑いが好きなので、どちらかというと笑ってほしいという面が大きかったかもしれません。実際に本番で笑いが取れたときは、やはり嬉しかったです。
社会人になってからは仕事の傍らで、小説を書いて投稿サイトで連載していました。つたない文章ではありましたが、「笑わせてもらいました」とか、「伏線がすごい」などの感想をもらえて、「少しでも楽しんでもらえたのだ」と充実した日々を過ごしていたことを思い出します。
そして、最近ではボードゲーム作りです。前作のカッパのゲームでは、知り合いの方の小学2年生のお子さんが気に入ってくれて、何度も遊んでくれました。遊んでいるところの動画も送ってくださり、その子の笑顔がまぶしかったです。
ハニワも男の子に喜んでもらえました。最近では、ボードゲームを作っているサークルさん同士のテストプレイ会にも持ち込んでいますが、そこでもみなさんに楽しんでもらえています。
こうして今までの私の創作活動を振り返ってみると、「自分の作り出したもので、誰かと楽しい時間を共有したい」という思いが無意識のうちに原動力になっていたのだと思います。そして、その瞬間が何ものにも代え難い、幸せを感じる瞬間です。
まとめ
「私にとっての幸せ」についてお話ししてきました。
私にとっての幸せは自分の作り出したもので、誰かと楽しい時間を共有することです。そのためには一緒に楽しい時間を過ごす「誰か」が大切になってきます。「やはり人との出会いが大切だなあ」と感じます。
先日もテストプレイ会に参加してきましたが、そこではゲームを通じて仲良くなったサークルさんがいらっしゃったり、賞を受賞されているような有名なサークルさんとお知り合いになれたり、貴重な経験を多くさせてもらっています。
病気の特性上、テストプレイ会は大変ではあります。人混みでは過剰に情報が入ってきてしまうので、疲れてしまいますし、難しいゲームのルールは理解が大変です。ですので、テストプレイ時は、段階を踏んでルールの確認をさせてもらうなどしています。
皆さん、快く教えてくださるので、恩返しではないですが、テストプレイでは精一杯楽しませてもらっています。
今後も、人との縁を大切に、ボードゲーム作りを始めとした創作活動を楽しんでいきたいと思います。