障害との付き合い方~「読解困難」編
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2022.12.9
私は大人になってから発達障害の診断がつきましたが、発達特性の症状だけでなく、他の障害の症状も入り混じっているそうです。
今回は、そんな私の症状のひとつでもある、『読解困難』について紹介します。
執筆:愛
発達障害の診断がついたのは大人になってからですが、私は子供の頃から学習面、生活面共に困り事やできないことが多く、周りとの違いに劣等感を抱いて生きてきました。
現在は障害を受け入れ、自分なりの付き合い方(対処法)を探しながら過ごしています。
私自身、自分の発達障害の「原因」を純粋に知りたいという気持ちがあったので、いろんな検査をしましたが、特定することはできませんでした。
ですが、脳神経内科の先生と心理の先生からは、「虐待の影響は考えられる」とのお話がありました。
子供の頃の大切な成長時期に要因となるもの(たとえば虐待)が起こってしまうと、頭の中に何層も蓋をし続けてしまい、発達障害のような症状が出ることがあるそうです。
その蓋は、子供の時期に塞がってしまうと、大人の時期に起こるよりも剥がしていくのがとても大変なのだそう。
ですが、自分自身を安心できる環境下に置くことによって、症状が改善されたり、回復することもあるというお話がありました。
そのお話は、私にとってはひとつの希望となったのと同時に、自分にしてあげなくてはいけないことを自覚する転機となりました。
現在は、安全な環境下に自分を置くために、環境や心を整えることをしたり、変わらず治療も続けています。
以前は、発達障害への薬物療法も行いましたが、薬の副作用が人よりも強く出過ぎてしまう体質のため、お薬が身体に合わず、主治医と相談をして対処法でやっていきましょう、ということになりました。
私の場合は、発達特性の症状と他の障害の症状も入り混じっているということもあり、それぞれ対処すると共に、それぞれ治療をしていくことが必要になりました。
困難な症状も、一定して出てしまうものから、体調によって強く出たり、和らいだりするものがあります。そんな中で、日々出てくる症状に対してどうしたら過ごしやすくなるかを見つけていくようにしています。
今回は、特に日によって症状のムラが大きい『読解困難』について紹介します。
本を読むのも難しくて、文字ばかりの本を最後まで読み切ったのは、生涯で5冊ほどしかありません。
漫画は文字と文字の間が空き、絵があることで、いくらか読むことができます。
ちなみに数字も読むのが苦手で、万以上は、一、十、百、千、万…と数えないと読めなかったり、そもそも数字というだけで頭が固まって読み取れなくなってしまいます。
計算もごく簡単なものしかできず、9以上の数字が出てくると難しくなります。
続いて、読解困難への対処法です。
薄目で見ると、文字の動きが多少弱まり、若干ではありますが読みやすくなります。
仕事の大事な資料は、読みやすいように打ち直したり、フォントの違う資料を2パターン用意しています。
体調によっていつ読みやすくなっているかが分からないので、大事な手紙類はいつでも目にできるように壁やテーブルに貼り付けています。
文字だけを読むよりも、耳で聞き取りながら文を追う方が、読む時のズレが少なくなります。
中にはあまり対処法とは言えないものもあるかもしれませんが、こればっかりは日々、自分に合うやり方を探すしかありません。
スマホの文字よりもお手紙類の方が読みづらいので、こうしてコラムは書けていても、書類の山が…(助けてください笑)
日々の生活では、自分なりに対処をしていますが、どの対処法も効かなくなるとどうにもなりません。
なので、少しでも文字に慣れるために、下記のような練習をしています。
文字を視界に入れることに慣れさせ、違う場所に目の動きが飛ばないようにする訓練。
言葉を理解できるように、言葉を紡ぐ練習。
そして読む時の集中力も鍛えています。
嫌々やっても続かないので、少しでも楽しんでできるようにスマホツールを利用しています。
症状以前の苦手意識は、さらに症状を強くしていると感じることもあるので、練習によってその部分も解消できたら良いなぁと思っています。
感覚的なものにはなりますが、個人的には練習を始める前よりも改善したように思います。
文字をたくさん書くこのコラムのお仕事も、自分にとっては訓練のひとつになっています。
どうしても体調によって見え方も変わるので、運営の方にアドバイスをしていただきながらコラムを書いています(いつもありがとうございます)。
見え方が変わることで困ることも多いのですが、「体調によって変わる」というのは、ある意味自分でも気づいていない体調の変化を教えてくれるというメリットもあります。
が、やはり文字を読むことは大変で苦痛です。
相手を困らせてしまうことなどがあるたびに、またやっちゃった…という落ち込みと、申し訳なさも生まれます。
そういったことを少しでも減らせるように、先程のような練習を続けていますが、最近は、あらかじめ伝えられる方には、自分の難しい部分をお伝えするようにしています。
特に、私の症状はどうしても子供の学校生活でも影響してしまうことがあるので、そのため現在は、毎年、新年度に渡される書類と共に、私自身の状況とそこから起こり得ることなども一通り記入して提出するようにしています。
最初の個人面談でもお話をしています。
ちなみに私の子供の話になりますが、LD(学習障害:Learning Disability)傾向があり「LDと同じ配慮が必要」と診断されています。
子供も、昔は読み書きや理解が難しく、音読もできませんでした。
色々な方法を試す中で、「漫画」が良いという情報を得てからは、子供が好きそうな漫画を読ませてみることにしました。
最初は付録ばかりで、読むことも全くしませんでしたが、しばらくすると自分の好きな漫画をひとつ見つけて、自ら読み始めました。
子供の興味が読むことに結びついてくれて、少しずつ、少しずつ…が積み重なっていき、
『文字・文章を読む』
『漢字を覚える』
『内容を理解する』
『読む時の集中力』
などを漫画で鍛えていくことができました。
その後、他の漫画も読み始め、教科書も読めなかった子供が、数年後、文字だけの長い小説も読めるようになっていました。
ただおそらく大きな要因のひとつとして、年齢ごとに内面の落ち着きも変わってくるため、読み方や内容などの自分の中への入っていき方が、少しずつ変わっていったのだろう、というのが子供自身の体感として大きくあるそうです。
また、本人が難しいことは学校にも伝え、無理をさせなかったことは心理的拗れにもつながらず、自ら読むことを選ぶことができたのかもしれません。
純粋にできないものなのか、特性なのか、内面の落ち着きなのか、環境なのか、成長なのか…
同じ診断がついていても、中身が微妙に違うこともあるのだと思います。
そして、それぞれの相互作用的な成長の結果…難しいものは難しいけれど、中には症状が和らいだり、成長したり、できるようになることもあるのかもしれません。
このような子供の体験も踏まえ、私はまず、安心の中に自分を居させてあげることが大切。改善するしないにかかわらず、落ち着いて過ごせるようにすることは、自分と仲良く生きていく上でも、大事なことなのだと思います。
その中で、自分なりの「できたら嬉しいな」を無理せず大切にしていく。
成長と夢は無限。
温かい目で自分を育てていきたいと思います。