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カウンセリングってどんなところ?対人関係で悩んでいた私が2年間通ってみた感想

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2022.12.20

私はADHDの当事者で、3年前までの2年間カウンセリングに通っていました。今回は、私がカウンセリングに通うようになったきっかけや、通ってみた感想などについてお伝えしていきます。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

私はADHDの当事者で、3年前までの2年間、カウンセリングに通っていました。

日本では、カウンセリングに通った経験のある人はそこまで多くないかもしれません。カウンセリングに対する偏見もいまだに横たわっているようにも感じます。そのせいか、悩みを誰かに相談したいと思っても「カウンセリングに行こう」とはなかなかならないのではないでしょうか。

今回は、私がカウンセリングに通うようになったきっかけや、通ってみた感想などについてお伝えしていきます。


カウンセリングって何?

そもそも、カウンセリングとは何でしょうか。

もともとカウンセリングは、相談や助言のことを意味していました。アドバイスを受けたり、答えを出してもらったりするためのものではなく、自分の力で立ち直っていくために気持ちや考え方を整理するためのサポートを行うことです。

カウンセリングの手法には、認知行動療法や箱庭療法など色々あります。今は対面だけでなく、オンラインで受けられるカウンセリングサービスもあります。

初めてのときは違いや特色がよくわからない方が多いと思いますし、方法だけでなくカウンセラーの先生との相性もあるので、気になる方は何か所か試してみるのもおすすめです。

ちなみに、メンタルクリニックにはカウンセリングルームが併設されているところもあり、医師にカウンセリングが必要と診断されるなどいくつかの要件を満たすと、保険適用でカウンセリングを受けられます。気になる方は、お医者さんに相談してみてください。


カウンセリングを受けたきっかけ

私が初めてカウンセリングに行ったのは高校生のときでした。進路で悩んでいたときに知り合いに紹介してもらったことがきっかけです。そのときは継続というよりも、何回か行っただけで終わりました。

27歳のときにパニック障害で精神科を受診し、そのクリニックに併設されている認知行動療法のカウンセリングを受けましたが、「なんか、合わないな」と感じて初回で止めました。

その後、28歳のときに、漢方の治療を受けていたのですが、その先生に紹介してもらい今のカウンセリングルームに通い始めました。

初めて行ったとき「ここに通おう」と強く思ったことを覚えています。何が、とはうまく言えないのですが、安心して話せたことと「この人なら信じても大丈夫」と感じられたことが大きかったです。

私が通っているカウンセリングの特徴

私が通っているカウンセリングの料金は50分で1万2千円。保険適用外の全額自己負担のカウンセリングだとしても一般的な料金は1時間で6000円くらいのところが多いので、私の通っているところは高いほうです。

以前クリニックに併設されていたカウンセリングでは保険がきいたこともあり、1回3000円以下だったと記憶しています。大学の教授で書籍も出している方なので、そういった面でも料金が変わってくるのかもしれません。

頻度は人によってちがうのかもしれませんが、私は初回の面談に行ったら「あなたは週に一回は来てほしい」と言われました。最初の半年くらいは週1日、それから2週間に1回、月に1回と減らしていきました。2年くらい通い、一旦色々な問題が解決したこともあり、「何かあったら来て」という頓服の薬のような利用の仕方になっています。

カウンセリングの形式はやや変わっていて、表現療法と呼ばれる方法でした。最初の何回かは話ではなく、木や景色の絵を描くことが中心でした。5回目くらいでポツポツと話すようになり、それ以降は話をして聞いてもらう形に切り替わりました。


実際にカウンセリングを受けてみてどうだった?

私はかなり生きることが楽になりました。具体的には、心身の不調や周囲の人とのトラブルが減りました。以前は、日常生活や仕事中にフラッシュバックが起きて頭が真っ白になってしまうことがあったのですが、それは無くなりました。

当時は精神科にも通っていましたし、文章を書いて向き合ったりもしていたので、カウンセリングたけではありませんが、かなり効果はあったと感じています。

「話をして何が変わるのか」は、言葉にして伝えるのがかなり難しいのですが、私の場合、ずっと癒えずにいた過去の心の傷と向き合い、膿を出し切ったことで、一旦傷口がふさがったようなイメージです。

カウンセリングを受け始めたばかりの頃は、一時的に調子が悪くなりました。それまで蓋をして、心の隅に追いやっていた記憶が次から次へと溢れてきて混乱しました。

ただ、過去の出来事を丁寧に思い返し、語っていくにつれて、いきなり記憶がよみがえったり、引っ張られたりするようなことが減っていったのです。

自分にとっては悪夢のようだった記憶についても、捉え方が変わってきました。カウンセラーの先生が色々な質問をしてくれるおかげで、「そういえば、そんなこともあったな」といい思い出も蘇ったりしたのです。

私はこれまで合計するとカウンセリング代に100万円以上かけていますし、人生でもっとも高い買い物でしたが、生きていく上で必要だったと感じているので後悔はないです。

今は調子が悪くなったときに緊急でかけこむことはありますが、安定していれば、半年に一度くらい近況報告をしに行くだけになっています。


カウンセリングはどんな人におすすめ?

カウンセリングをおすすめしたいのは、丁寧に話を聞いてもらいたい、何か気になっていることがあるけれど自力で整理するのが苦手、相談する友達があまりいない人などです。最近、なんかモヤモヤしているし、自分がどうしたいのかわからないから行く、くらいでいいと思います。

短期的に、劇的な変化を期待していくと続かないかもしれません。たとえば眠れないとかなら、薬の方が即効性があるはずです。

私の通っていたカウンセリングは料金が高い上に頻度も多かったですが、もっと安いところもありますし、同じカウンセラーの先生でも短期で終わる人もいます。

カウンセリングは、何も精神疾患の症状が出てからしか行ってはいけない場所ではありません。気になる方は「話を聴くプロに会ってみる」くらいの気持ちで一度行ってみてはいかがでしょうか。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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