「てんかん」という自分の障害を職場で打ち明けることに関して
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2022.12.24
私はてんかん障害を抱えていますが、職場で自分の障害を打ち明けられることには、内心不安があります。今回は自分の障害をなかなか打ち明けられないなど、私と同じ悩みを抱えている人の参考になればと思い、私のケースを考察してみました。
執筆:小泉 将史
職場で自分の障害を打ち明けられることには、内心不安があります。私は22歳のときにてんかん障害と診断されましたが、そこから15年近く自分の障害を家族以外には伝えずに生きてきました。
てんかん障害とは、突然意識を失って反応が無くなるなどの「てんかん発作」を繰り返す病気のこと。てんかん発作は一時的なもので、発作が終わると元通りの状態に回復するため、自分から伝えなければ、私が障害を抱えていることには気づかれません。
ただ、職場で意識を失ってしまうことが何度かあり、「てんかんを会社に伝えずに働くことは難しいのかもしれない」と知りました。
37歳のとき、自分がてんかん障害であることを伝えた上で、介護施設で働き始めました。今回は自分の障害をなかなか打ち明けられないなど、私と同じ悩みを抱えている人の参考になればと思い、私のケースを考察してみました。
私が自分の障害を伝えていった経緯
私の場合、障害者雇用で転職活動を進め、入社面接時に面接官(事業主)にてんかん障害を抱えている事を伝えました。後で「そんな話は聞いていない」と言われることを防ぐ為です。
さらに念を押して、自分のてんかん障害について記載した文書を履歴書と一緒に手渡しています。後日、職場からは労働に支障が無い事を証明する為の診断書の提出を求められました。
入社した後に気づいたことですが、面接官に伝えたことが職場全体に周知される訳ではありません。配属先の現場で理解をしてもらうためには自ら現場の上司や同僚に障害特性について伝える必要があります。
どのような同僚だと、自分の障害を伝えられやすいのか?
職場の全員に自分の障害について知ってもらいたいとしても、やはり自分の障害について打ち明けやすい人と、そうでない人がいます。
「どのような同僚だと、自分の障害を伝えられるか?」については、既に配属先の現場で何かしらの障害を抱えて働いている方がいれば、その方に相談するのもいいと思います。
私よりも以前からその方が働いているのですから、職場で人間関係をうまくやっていく為のコミュニケーションについてアドバイスしてもらえると思います。その人からすれば、あなたは同じ悩みを抱えている後輩という事になるので親身になって相談に乗ってくれるはずです。
次に(障害を抱えた)子供を育てている人、があげられます。子育てしている人は人を育てる難しさというのを知っていると思うからです。障害を抱えた子を育てているのであれば尚更です。
最後に障害について理解のある人があげれますが、これは話してみないとわかりません。
私の場合は配属先の部署に障害を抱えて働いている人はいませんでした。また、障害を抱えた子供を育てている人も(私が知る限り)いませんでした。ということで、障害について理解のある人を探していきました。
自分の障害を打ち明ける上で大切だと感じていること
私が自分の障害を打ち明ける上で大切だと感じていることは、まずは「何となく知ってもらう」ことです。詳しく知ってもらう前に、心の準備をしてもらうイメージです。
面接時に障害特性を事業主に伝えてある事を前提に、配属先の現場で先んじて自分の障害特性について伝えておいていただきます。これは合理的配慮を求める上で実施することです。ただ、相手にも感情や価値観があるので、私に対する印象が良い人もいれば悪い人もいるといった状況になります。
ただ、一人に話せば、そこから職場の全員に伝わっていくことが想像されます。アウティングという観点からのご意見もあるかもしれませんが、まずは現場の全職員に「何となく知ってもらう」ためのプロセスが必要だと考えています。
次に、求める具体的な配慮の内容について事業主に相談しました。本当は入社面接時に具体的な配慮の内容について事業主と話し合うべきなのかもしれませんが、事業主の考えと現場の考えが異なる場合があったり、実際に現場に入ってみないとわからなかったり、入社前に解決できないことも多い気がします。
したがって、求める具体的な配慮の内容については働き始めてから、相談するのがいいと思います。事業主から「現場と相談して」と言われたら現場の上司に具体的な配慮の内容について相談します。自分の障害を打ち明ける上で大切だと感じていることにおいて段階を踏むことは大切です。
私の場合、入社面接時に面接官(事業主)に障害特性について伝える→内定→配属先の部署で私の障害特性を「何となく」知ってもらう→厚生労働省のパンフレットと一緒に事業主に具体的に求める配慮の内容について相談する、でした。
障害者が求める合理的配慮は「合理的」なものであり、求めた配慮に対し、必ずしも自分の満足のいく配慮を受けられるとは限りません。
ただ、私の場合は「てんかん」という障害特性や困りごとが外部に伝わりづらい障害だったからという背景もあったかのように思います。
どのように相手に伝えるか(自分の障害をどう説明するのか)?
私の場合、介護施設での現場業務なので、その都度、他職員とコミュニケーションをとる時間を省くために、情報共有ノートというノートが用意されています。
毎朝出勤時、昼間、帰宅前など時間の空いている時にそれを読むことができるのですが、そこに事業主、あるいは現場の上司との話し合いで決まった具体的な配慮の内容について記入して全員に周知するという方法があります。
これは私の働く現場にあるコミュニケーションツールを活用したものですが、すべての職員が使う情報共有手段を有効利用することも大事かもしれません。
終わりに
職場で自分の障害を打ち明けることは不安なものです。これまで自分の障害をほとんど他の人に打ち明けたことない人であれば、なおさらでしょう。
今回は、障害者雇用枠で障害をオープンにして働いている私が実際にどのように、自分の障害について知ってもらったかについて、お伝えしました。
自分の障害を知られる事で嫌われたらどうしようとか、人間関係で問題が生じたらどうしようと、知られることを恐れていては前に進めません。他人に知ってもらわなければ配慮を受ける事はできないのです。
今回の私の記事が、同じ悩みを抱えている人の参考になると嬉しいです。