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気分変調症がひどかったときの付き合い方(前編)

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2023.1.17

気分変調症の症状が最もひどかったとき、「もう、自分の人生は終わるのだろう…」と思っていました。それから約10年経った今、その頃より遥かに元気な状態で生きています。今回は、当時どのように病気と付き合ってきたかについて、お話していきます。

執筆:中田 るる r.nakata

みなさん、こんにちは。中田るるです。

前回の記事では、私が気分変調症と診断されるまでと、診断されてから考え方の転換をしたことについてお話しました。

今回の記事では、気分変調症の症状がひどかったとき、どのように病気と付き合ってきたかについて、お話していきます。

もし、今、病気の症状がひどく、何もできない、もしくは何もできることがないと悩んでいる方がいらっしゃったら、何らかのヒントになれば幸いです。

まずは、気分変調症がひどかったとき、私はどのような状況だったかをご説明します。

ほぼ毎日寝てばかり

気分変調症の症状が最もひどくなったのは、一人暮らしを始めて7年目の頃でした。その頃は、気分変調症というよりも、ほぼうつ状態だったと思います。

仕事だけでなく、一人暮らしもできなくなり、私は実家に帰らざるをえない状態になりました。

その頃の私は本当に生きる屍のようで、感情が無くなり、表情も消えていました。ただただ毎日虚しく、「なんで自分は生きているのだろう?」という感情しか湧かず、朝に顔を洗う気力すらありませんでした。

体はまるで見えない重りが乗っているかのように重く、高熱を出したときのような倦怠感が毎日続き、ただただ横になって寝ることしかできませんでした。

「もう、自分の人生は終わるのだろう…」と思っていたのですが、それから約10年経った今、その頃より遥かに元気な状態で生きています。

人生、何がどうなるかわからないものですね。

今、生きていられるのは、生きる屍状態だったときでも、そのときの自分ができる小さなことを続けてきたからだと思います。

ここからは、そんな状態のときに何をしていたかについてお話しします。

第1ステップ とにかく寝る、休む

まず、体がしんどくて何もできないときは、休むことを徹底しました。

正直、ただ寝て過ごすことしかできなかったとも言えますが、元気になってきた今振り返ると、一番しんどいときにしっかりと寝て休んだことは、大事なステップだったと思います。

なぜかというと、しっかりと寝ることで、体と心がリセットされていくと感じたからです。

何もできずに寝てばかりいると、「自分は何もしていない」「何もできないなら生きている意味がない」などの思考がぐるぐると頭の中をめぐり、心が苦しくなるときがよくありました。

そんなときは、「休む=充電している」と考えるようにしました。

これはスマホやパソコンに例えるとわかりやすいと思います。スマホやパソコンは不具合が起こると、一旦電源を落として再起動したり、充電し直したりして、正常に動くように対処をしますよね。

私は人間の体や心もそれに似ていると思うのです。

心や体に不具合が起こった場合、やはり何らかの対処をしなければなりません。体と心を休ませることによって、再起動させる。つまり、一旦フラットな状態に戻して、それからどうしていくかを考えたり動いていくほうが、良い未来に繋がりやすいと思うのです。


スマホやパソコンなら、「あれ?なんかおかしくなったぞ。再起動してみるか」と素直に対処できるのですが、不思議なことに自分の体となると無理を強いてしまいがちです。

「他のみんなは動いているのに、なんで自分だけ動けないんだ!」と躍起になって、無理やり動かしていては、根本的な解決や回復には繋がりにくくなってしまいます。

しんどいときや病気の状態が悪いときは、まず休む。

気持ちが焦って辛いときは、「自分は今、充電期間なんだ。」と思ってみるのをオススメします。

当時は私も焦ることが多く、なかなか元気になれずに辛い日々が続いたときもありました。しかし今はこの充電期間が、それからの人生の基盤になったんじゃないかと思えます。

だから「しんどくて何もできていない」と思われている方には、「あなたの今の時間は、実はとても大切なものなのですよ。」とお伝えしたいです。

第2ステップ 適切な治療を受ける

これは、第1ステップの休むことと並行してできるとなお良いと思います。

きちんと病院に通い、適切な治療を受ける。

基本中の基本と言われればそうなのですが、心と体が弱っていると、実はこのステップも難しくなる場合があるのです。

これは私の体験談であり、反省でもあるのですが、私は一人暮らしをしていた頃にも心療内科に通院したことがありました。

当時の私は自分が精神疾患だということがなかなか受け入れられず、病院に通うことに葛藤がありました。病院の先生が話す内容を不審に思ったり、何度も治療を投げ出してしまったり、飲んでいる薬を途中で勝手にやめてしまったり。調子が良いと通院をやめて、しんどくなるとまた新しい病院を探して通院を始める。そんなことを繰り返していると、状態はますます悪くなりました。

「自分でどうにかできるはず」と意地をはって、結局、仕事も一人暮らしもできない状態にまで追い込まれてしまったのです。もしそのとき、きちんと病院に通い治療を受けていれば、そこまで悪化することはなかったかもしれません。


心や精神の病気は、どれだけひどくなっていても患部が目に見えないため、自分がどういう状態なのかを冷静に判断することが難しいと思います。

自己判断でせっかくの自分からのSOSを見逃したままにしてしまうと、体は強制終了のように動かなくなり、心は何も感じなくなる日がやってきます。

これは経験者だからこそ声を大にして言いたいのですが、そうなると回復するまでに何年も何年もかかります。そして回復したとしても、残念ながら何もかも元通りとはなりません。

だからこそ、きちんと病院に通い、適切な治療を受けることをおすすめします。信頼できる病院を見つけるのは簡単なことではありませんが、他のことを後回しにしてでもやってみる価値はあると思います。

私は現在通院している病院で投薬治療とカウンセリングを受けるようになってから、本当に体と心の状態が良くなりました。

その経験もあり、信頼できる病院を見つけることと、自分に合った治療を受けることは何より大事だと実感しています。

第3ステップ その日できた小さなことを書く

第1ステップにも書きましたが、毎日休んでばかり、寝てばかりいると、「自分は何もできていない」「生きている意味がない」など、絶望感に襲われることがよくあります。

今とてもしんどくて、なかなか良くならないという状況にある方も、そういう否定的な気持ちになるときがあるのではないでしょうか?

そんなときに私が始めたことは、その日にできたことを手帳に書くことでした。

どんな小さなことでも構いません。昨日より今日できたこと、今日だからこそ良くなったこと、何でも自分で見つけたことを書いていきました。

内容は本当にささいなことです。

「いつもより30分早く起きられた。」
「昨日より沢山寝られた。」
「窓から綺麗な空を発見した。」
「ゴミを捨てられた。」
「一日中パジャマで過ごしていたけど、今日は着替えることができた。」

一日中寝てしまって、もし何も書くことが思いつかない日は、

「たくさん寝て充電した。」
「手帳に書く努力をした。」

なども書いていました。


私もそうだったのですが、人はできたことというと、つい周りから評価されるような大きなことを思い浮かべがちです。

「仕事で案件を獲得した。」
「恋人ができた。」
「転職して好きなことを仕事にした。」

などなど、人に話しても「へぇー!すごいね!それは良かったね!」と、言ってもらえるようなこと以外は、ついつい当たり前に思ってしまうのです。

私も長年、何かできていても、「他の人はこれぐらいできても普通だし。」と、大したことがないように思ってしまう癖がついていました。

しかし、本当は誰だって一日の中でできたことはたくさんあるはずです。それらに目を向けてあげることを忘れているだけで、実は沢山の「できた」を経験しながら生きています。

私は手帳を書き始めてから、「当たり前にできることなんてないんだ。」ということに気付きました。病気になってしんどい思いをした経験から、そう思えるようになったのもあるかもしれません。

だからぜひ、自分が毎日どんなことを感じ、どんなことができているのか、この機会にじっくり向き合ってみることをオススメします。

しんどいときは、自分と向き合える時間だと私は思います。そしてその時間が、未来の自分を良い方向へ導いてくれる大切な時間でもあると思うのです。

次回、後編に続きます!

後編では、前編に引き続き工夫したことを2つお話させていただく予定です。

私は今、一番しんどかったときより元気になりましたが、それでも調子が悪くなることも沢山あり、そのときは今回お話したような初心に戻るようにしています。

少し進んだかと思えば、また立ち止まったり、まるで振り出しに戻されたかのようになったり。そんなこんなを繰り返しながら、今も過ごしています。

きっと、私だけではなく、「自分もまさにそうだ。」という方もたくさんいらっしゃると思います。なかなか前に進んでいないと思ったり、はがゆい思いをしているのはあなただけではないですよ!だからこそ、お互いに自分のペースで諦めずにいきましょう。

それではまた次回、ここでお会いできますように!

中学生ぐらいから気分変調症になり、30歳のときに発達障害(自閉症スペクトラム)と診断される。自分の障害や病気を知るまでは大変生きづらい人生を送ってきた。考え方の転換や生活の工夫を知ることで、自分らしく生きる練習中。絵を描くこと、文章を書くこと、eスポーツ観戦が好き。

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