摂食障害から立ち直るためにした3つのこと
~「自分に価値がない」と思う人のための心の癒し方
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2023.1.20
以前の記事で紹介しましたが、発達障害のわたしは摂食障害でも悩んでいた時期がありました。
摂食障害の症状はもう1年以上なく、今となってはもうお別れした病気だと思っています。
今回はその症状から解放され立ち直った、より具体的な方法についてお伝えしたいと思います。
執筆:いりえ(北橋 玲実)
社会人1年目の冬、勤めていた会社が突然買収されるということを知り、それから社内の雰囲気が一変しました。
経営陣から厳しく絞られた上司が、わたちたち社員を責めることも増え、それまで感じていた仕事のやりがいは押し潰されました。その頃から、わたしもおかしくなっていったような気がします。
摂食障害の具体的な症状については以前の記事で詳しくお伝えしているので、今回はわたしがその症状から解放されるに至った経緯やわたしなりの方法をお伝えできればと思います。
当時の症状に苦しんでいたわたしは、友人も家族も近くにいない状況で、精神科の受診も難しい場所に住んでいたため、ネットや書籍で情報を揃えるくらいのことしかできませんでしたが、相手にしているのは精神疾患という目に見えない病気です。医療機関にかかることもなく、誰かに気持ちを打ち明けることもなく、その見えない病気と向き合い続けることは非常に苦しいものでした。
摂食障害やその症状の1つである過食嘔吐は、「大量に食べて吐く」という身体的な症状のようでいて、精神疾患の一種と言えます。持論ではありますが、うつ病などの他の精神疾患においても、症状の出方は個人差がありますが、その原因にあるのは当事者の「考え方」だとわたしは思っています。
他人はどのような存在だと思うか、あるいは自分はどんな存在で、どんな可能性や能力があると感じているのか。
意識することすらないような根本にある「考え方」が、日常的な思考や感情、あるいは病気を形作るのではないでしょうか。なぜなら、わたしの中にあった「考え方」の変化をきっかけとしてわたしの症状が急速に改善していったと感じたからです。
たとえば、書類作成時にミスをおかしてしまったときや集合時間に5分遅れてしまった、という場合。
「自分は何をやってもダメだ」と思うか、「そういうときもあるさ」と思うか。
これは、その人の根本の考えからなされるものであり、その「考え方」は10歳前後までで大方形成されると言われています。
以前のわたしはあらゆるできごとに対して前者の見方をしていました。
「そりゃ苦しいよね」と今では当たり前のように思いますが、当時はそんなことにも気づかず、ミスをなくすことや自分にもっと厳しくすることに必死になっていました。
当然ですが、そういった考え方では24時間ストレスとネガティブ感情にまみれます。
自分はいつもダメなヤツで、価値がないと思ってしまう。
その根本の思い込みや「考え方」こそが、日常の仕事や人間関係などの中で起こるあらゆるできごとから受ける感情をネガティブなものにしてしまうのです。
以前の記事ではそれを紐解いて心をほぐすための方法として「自分の気持ちを書く」ことを紹介しました。今回は、別の観点で3つご紹介したいと思います。
すべての人に当てはまるとは限りませんが、わたしやわたしのクライアントの方がとくに効果を感じた方法を紹介します。
ー 1 自分を大切にしてくれる人に感謝する
精神疾患で悩む人には、自分を大切にしてくれない人のために時間や労力を使ってしまう傾向があります。
それどころか、自分を大切にして見守ってくれる人に対して疑いの目を向け、ほめ言葉を否定してしまうことがあるのです。
ただ、わたしたちは生きている以上何かの助けや気づかいを得ているものです。そのことに気づき、自分が大切にされていることや大切にされる価値があることに気づくことが、その考え方を紐解く手段にもなります。
そこでいつもわたしがおすすめするのは「感謝する」ことです。
聞いたことがあるし、当たり前だと思うかもしれませんが、意識的に自分のことを助けてくれる人に感謝したり、それを一日の終わりに書き出すことを習慣化していくうちに楽になったという声はよくお聞きしますし、わたしもそれを継続しています。本当に効果がある方法だと思います。
ー 2 自分が達成できたことをほめる
これもよく聞くことかもしれませんが、「自分に価値はない」という思い込みを持つ人は自分ができることや能力に気づいていないことが非常に多くあります。
1と同じような手法かもしれませんが、自分ができたことを振り返り、それを一つずつ認めたり紙に書きまとめていくという地道な作業も、あなたの心を解放してくれる手段になるはずです。
ー 3 症状が出ても自分を責めない
とくに摂食障害について言えることです。わたし自身、過食嘔吐の症状が出るたびに自分の意志の弱さや情けなさや罪悪感に襲われていました。
当時のわたしにとって、「過食嘔吐をした」ことが自分に価値がないことの理由づけであり、そのたびに強いネガティブ感情を抱いていました。
でも実は、「過食嘔吐」の症状が出るのにはそれなりの理由があります。自分の心がそれ以上傷つかないための防衛手段がその症状というだけなのです。
ですからその症状が出たときに自分を責めることなく、「そのくらい辛い状況に今はいるのだ」ということを言い聞かせてあげてほしいと思います。
摂食障害に限らず、精神的なことは専門機関を受診してもなかなか解決するのが難しく、時間がかかることもしばしばです。
ですが、まずはここにご紹介したことを一つでも、実践して頂きたいと思います。
心が弱っているときというのは本当に世界が灰色に見えるものですが、そこから解放されるにしたがって内面も変化していきます。わたしもそうでした。そして、その喜びは言葉にしようのないものでした。
もしあなたが悩まれているとしたら、この記事がそのお役に立てればこれ以上ない幸せです。