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無脾症候群の私が“風邪対策”のためにしている服装の選び方

~「着すぎ!」と笑われることが多いけれど…

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2023.2.13

街中で、周囲よりも薄着であったり、厚着であったりする人を目にした時、好奇な視線を向ける人は少なくないように思う。
けれど、人によって気温や寒暖の感じ方はそれぞれ。その人にとっては、それがベストな服装なのかもしれない。
そんな視点を、これから話す私の体験談を参考に、持ってくれたら嬉しい。

執筆:古川 諭香 Yuka Furukawa

おしゃれよりも「体温調節できるか」がコーデの肝になってしまう

単心室・単心房症の私は「無脾症候群」という病気も持っている。簡単に言えば、脾臓がなく、免疫力が低いのだ。だから、私は健常者よりも風邪を引きやすく、こじらせやすい。

特に苦手なのは、春や秋といった季節の変わり目。急に気温が下がる日も、服装のチョイスミスなど、ささいなことから風邪を引いてしまうので、気が抜けない。風邪を引くと、スケジュールが全て崩れる。なぜなら、1週間ほど体調が戻らないからだ。

体調を崩さないため、いつも日々の服装を熟考する。出かける日はコーデを1度決めた後、実際に外へ出て、気温を確認。少しでも寒いと感じたら、再び服装を練り直す。

私は気温が20度以下だと寒いと感じてしまうので、トップスの下にヒートテックの肌着を2枚重ね着し、裏起毛のズボンを履き、靴下も裏起毛にし、カイロも貼る。

本当は厚めのアウターを着たいけれど、春先や秋口は服装が周囲から浮いていると、好奇の視線に向けられることも多い。それに耐えられないから、結局、カイロを何個も貼ってやりすごす。

だが、アウターのチョイスミスで風邪を引いてしまうことも少なくない。私は自分の体温に適した服を着ているのだと、堂々と着たいアウターを着られたら…。そもそも、体温調節を重視せず、おしゃれを純粋に楽しめたらいいのに。そう思い、毎年、自分を貫けない自身を責める。

「着すぎ」と笑われる就寝スタイル

外出時だけでなく、就寝時の服選びも私にとっては心が重くなる作業だ。私は幼少期から就寝中に風邪を引き、寝て起きると体調不良であることが多かった。だから、自分でも自覚があるほど、人よりも厚着をして寝ている。

冬は、裏起毛のヒートテックの上に、喉を冷やさないようにハイネックニットを着て、その上に分厚い裏起毛のトップスを着ている。下半身はモコモコのズボン。下には裏起毛のガードルを履く。

これだけ着こんでも、こたつは欠かせず、布団は3枚必要。正直、ダサくて着すぎにも見える私の就寝スタイルは人から笑われることが多い。

そんな反応をされると、やっぱり少し悲しくなる。相手に悪気がないと分かっていても、自分の体は他の人と同じようにはできていないのだと実感して、へこむ。

これまでで1番、胸に刺さったのは結婚していた頃、夫と義父母との旅行時に義母から「それは着すぎ」と、就寝時の服装を笑われたことだ。私の持病を知っている人であるからこそ、病気への理解があっても笑えるくらい変な恰好をしているんだ…と感じて、苦しくなった。

私は義母のことが好きだった。だから余計に、好きな人に対して言葉にできないモヤモヤを抱えてしまう自分が嫌になった。

私に限らず、様々な理由で夏でも長袖を着ていたり、一見、着すぎだと思えるほど厚着をしていたりする人は少なからずいる。そんな人たちが、自分にとって最適な服装で気持ちよく過ごせるよう、他人の服装に向けられる視線が変わっていってほしい。

猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。

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