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学校や職場の制服や衣替えが辛かった

~体温調節が苦手な私は体調不良に…

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2023.3.8

学校や職場では、全員同じ服装が求められやすい。だが、体温は人によって差があり、心地いいと感じる服装も人それぞれ。だから、どの人も自分に適した服装で過ごせる社会であってほしい。

執筆:古川 諭香 Yuka Furukawa

気温に関係なく行われる衣替えが憂鬱だった

血液の循環が悪いからか、私は一般的な人よりも厚着ではないと寒くて、すぐに風邪を引いてしまう。10代の頃は、学校の制服が寒くて体調を崩してしまうことが多かった。

特に辛かったのが、季節の変わり目だ。学校では衣替えの日が決まっており、気温に関係なく、夏服へ移行する。薄手になった制服や半袖になった体操服が、すごく寒かった。

教師に言えば、もしかしたら、ひとりだけ衣替えを遅らせてもらうことはできたかもしれない。けれど、周囲の目がある中、ひとりだけ違う服装で堂々といる勇気が私にはなかった。

加えて、中高生の頃はスカートを折り曲げて、太ももが見えるほど短くするのが流行りだった。ひとりだけ長いスカートだと周囲から浮いてしまったり、クラスの女子から陰口を言われてしまったりするため、私も例にならってスカートを折り曲げていた。

「風邪を引きやすいから」という理由で長いスカートを貫く勇気が私にはなく、クラスで浮いて、いじめられるのが怖かった。

一度、寒さを我慢できずにストッキングを着用したことがある。もちろん、教師の許しを貰ってだ。だが、ひとりだけ輪を乱す行動をした時に向けられた視線は痛かった。クラスメイトから「ストッキングって、学校に履いてきちゃいけないんじゃないの?」と初日に突っ込まれ、事情を説明しても納得してもらえなかった。

その子は目立つ存在だったため、他のクラスの女子にも私がストッキングを履いてきていることが伝わった。すると、階段をすれ違う時、他クラスの女子に「この子だよ!ひとりだけストッキング履いてる子。綺麗だよね、足だけは。ストッキングのおかげで(笑)」と言われるようになり、悲しかった。

年頃だから、みんなと同じようにおしゃれも楽しみたいけれど、体調の悪化も防ぎたい。その気持ちは、笑って馬鹿にされるほど持ってはいけないものなのだろうかと悩んだ。

薄い事務服と20度以下の冷房で凍えた会社員時代

20代の頃、地元の会社で事務職をした際も与えられた服装に悩んだ。支給されたのは、お世辞にも分厚いとは言えない制服。私が仕事をする事務所は冷暖房が完備されていたが、ワンマン社長によって温度が変えられることが多かった。特に、夏は「俺が暑い」という社長の一言で、エアコンが20度以下に設定されることもあった。

当然、いち社員で一番の新参者である私がしゃしゃり出られるわけがない。制服の上にカーディガンを重ね着し、厚手のストッキングを履き、寒さ対策をした。

けれど、蒸し暑い外と寒い室内での温度差から体調不良となることが多かった。風邪を引き、有給を消化する時、なんだか理不尽だなと思った。

近年ではジェンダーに配慮して、学校の制服を自由に選べたり、自由な服装を認めている会社が多くなってきたりしている。こうした流れは、気温の変化によって体調を崩しやすい障害者だけでなく、寒がり・暑がりな健常者にとっても喜ばしいことだと思う。

人にはそれぞれの事情があり、体温や心地いいと感じる温度が違うからこそ、様々な場で服装を自由に選べるような社会になってほしい。単に制服を廃止するのではなく、制服を着たい人や着られる日は着ればいいし、様々な事情から着るのに抵抗がある人や気温などを踏まえて着るのが難しい日は他の服を身にまとえばいいと、柔軟な対応がなされていくことを願う。

猫の下僕のフリーライター。愛玩動物飼養管理士などの資格を活かしながら大手出版社が運営するウェブメディアにて猫に関する記事を執筆。共著作は『バズにゃん』。書籍レビューや生きづらさに関する記事も執筆しており、自身も生きづらさを感じてきたからこそ、知人と「合同会社Break Room」を設立。生きづらさを抱える人の支援を行っている。

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