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【弱視のボクの就活奮闘記~2】障がい種別で内定率に差が出るか?

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2023.2.3

こんにちは!ライターの榎戸(えのきど)です。

今回も私の就活体験記を書かせてもらいます。
少しでも就活生、就活生の関係者のお役に立てればと思い書きましたので、ぜひご覧ください!

【弱視のボクの就活奮闘記~1】「障がい者の就職フェス」初参加で感じた企業側のニーズ>>


※本コラムは、特定の企業や特定の企業の面接方法、採用方法を非難する意図はありません。

執筆:榎戸 篤 Atsushi Enokido

大学3年の冬、初めて障がい者専門の就職合同面接会に行った私。
その数日後、私は新宿のとある居酒屋を訪れた。
高校時代に通っていた盲学校の同級生A君に会うためだ。

彼は秀才タイプで、都内の有名私立大学に通っている。私と同じ弱視ということもあり、就活の情報交換もできるだろうと思った。

着席していた私の元にスーツ姿、メガネをかけたA君がやってきた。「大学の友達とオールしてたからツライ」というA君。もともとひ弱で、ほっそりした体格のA君の顔は、いつも以上に青白く見えた。

20歳前後まで盲学校の同級生の間には、大学で健常者の友達ができず、視覚障がい者の友達とばかり遊ぶことを恥ずかしく感じる風潮が一部にあったように思う。

そのため、あえて盲学校時代の友人と会わない者もいた。A君もどちらかというと、盲学校時代の友人と会わないタイプで、久しぶりの再会となった。

さっそくA君と乾杯。

皆さんご想像の通り、「視覚障がい者×酔っ払い」が組み合わさると、さまざまなハプニングが起こる。しかし、この日はお手洗いから席に戻る私が見ず知らずのテーブルに座り、見ず知らずのお姉さんにドン引きされるハプニングだけで済んだ。よかった、よかった。

そんな楽しい飲み会の話題が就職活動のことに及んだ。

私が障がい者専門の就職面接会で、「企業などによって求める障がい種別が違う」と気づいたことを話した。
すでに参加していたA君も自分の体験を話してくれた。

「そうだね、『うちは肢体不自由がほしい』とか『うちは視覚障がいがほしい』とかね。

 それと正直、全体を通して有利/不利になる障がい種別があるな~とも思った。

 松葉づえの人とか、内部障がいの人とか、一見仕事に直接支障がなさそうな障がいを持った学生が有利な気がする。
 で、うちらのように直接仕事に支障がありそうな障がいは少し不利になっちゃうのかなって」

「実はさ」A君は続ける。

「俺あそこで友達になった子たちと連絡取り合ってるんだよね。で、俺が書類面接で落ちたところ、手の不自由な子や内部障がいの子たちがいくつも内定もらってるんだよね。あんまり言いたくないけど、俺の方が偏差値高い大学行ってんのにさ」

A君は有名私立大学に通っている。おそらく書類や面接の対策もそつなくこなしているだろう。

「じゃあ、Aも結構苦戦してるんだ。内定もらえてないんだ?」と言った私。正直、ちょっとホッとしてしまう。

しかし、A君は「いや、内定はもらったよ」と言う。
一瞬仲間意識を持った私は、ちょっと面食らう。

「え、どんなところ?」と聞く私。
「大手のメーカー」
「なんだ、仲間かと思ってたのに~でも、すごいね」と言う私に、A君は「いやでも、それも微妙なんだよね」と話す。

「微妙って?」と言う私に、「その会社、ほとんど面接せずに内定出したんだよ」とA君。

「え、どういうこと?」

「なんか、あんまり話さず、1~2回グループ面接やっただけで、『はい、合格です』って。それってさ、ただ法定雇用率満たすために内定出したってのが見え見えじゃん?」

そこで私は、高校時代に別の友人から聞いたことを思い出した。

法定雇用率を満たすために視覚障がい者を採用したものの、その人を活躍させようという発想がないため、まともな仕事を与えない企業などもあるという噂だ。

私が就活を行った2010年代にはだいぶ少なくなっていたようだが、A君が内定を取った企業も、採用の仕方を考えるとそうなる可能性があるのではないかと私は思った。

「だから内定辞退したんだよね。企業・団体名だけじゃなくて、自分をどう見てるかも大事だね」A君はそう言って、ビールを一気に飲みほした。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

私はA君の話から学び、感じたことが2つありました。

1つは、あまり自分と別の障がい種別の就活生を比べない方が良いということ。

実はこの後、A君も私も企業から内定をもらいます。比較的不利とされる視覚障がいの先輩の多くも内定をもらっています。

そのような過去の実績もたくさんあるので、目が向きがちな障がい種別による「有利/不利」の状況にあまりとらわれない方が良いなと感じます(それと近年では、有利とされてきた障がい種別の当事者だけで法定雇用率を満たすことが難しい時代になってきてもいる現状もあるので)。

それと2つ目が、受験先が法定雇用率を満たそうとすることばかりに目がいっていないか?ちゃんと就活生自身に目が向いているか?を見極める必要があると感じました。

その方法としては、「どれぐらい障がいのことを聞いてくれるか?」「入社後の仕事を具体的に考えてくれていそうか?」「ろくに会話していないのに内定を出していないか?」など、面接の時などによく観察することが大事だと感じました。

しっかりと観察すれば姿勢が必ず見えてくるので、これから就活される方にはぜひ焦らず、注意深く見ていただければな・・・と感じています。

1989年生まれ、東京都青梅市出身。
3歳の時のケガにより弱視に。視力は左0.04、右0。
現在は、テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターとして活動中。
▼執筆媒体
当事者向け旅行サイト「COTRAVEL」
障がい者ライフスタイルメディア「Media116」

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