双極性障害を抱えて働くための薬さがし
アモキサンはやめたけれど…代わりの薬が見つからない!?
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2023.2.8
以前、私が20年ほど飲んできたアモキサン(アモキサピン)という抗うつ剤に、発がん性物質が含まれていることがわかり、2023年2月には製造中止になるということについて書きました。今回は、その後の話です。
抗うつ剤アモキサンの製造中止に思うこと>>
執筆:藤森 桂 Kei Fujimori
***編集部より***
薬の作用・副作用については個人差があります。
服用にあたっては、必ず主治医や医療機関での診察の指示に従ってください。
このコラムは、あくまでもライター個人の経験に基づくお話です。
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私は、双極性障害で、気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)を中心に、現在10種類くらいの薬を服用しています(それにプラスして症状が強い時に飲む頓服)。
アモキサンは三環系と呼ばれる古い抗うつ薬で、双極性障害にはあまり推奨されない薬ではあったのですが、以前うつ病と診断された時にずっと服用していたのと、どうしてもこれしかうつ状態の時気分を上げることが出来なかったのです。
しかし、アモキサンには発がん性物質が含まれることがわかり、製造中止になってしまいました。
今後、双極性障害のうつ状態をなんとかするにあたって、アモキサンが服用できない以上、問題は、代わりの薬をどうするか、ということです。
まずは、主治医の指示で、アモキサンと似た性質を持つ三環系抗うつ剤・トフラニールを1日あたり90mg服用することになりました。
しかし、それから、今までずっとうつです。
私が、自分は双極性障害のラピッドサイクラー(急速交代型)だと思っていたのは、ひょっとしたらアモキサンによる薬物躁転だったのかもしれません。
その問題の解明にはもう少し時間がかかりそうですが、その他にも困った点があります。
めまい、立ちくらみ、口渇などが出て、最初は風邪かと思っていましたが、熱はない。のどが渇いて喋れないこともありました。
しばしばバランスを崩して転び、ひざの調子が悪くなってきました。
そして、一番の困りごとは、ひたすらやる気が出ないこと。
精神科の診療所に行って主治医に相談しました。
「もう、いっそ、仕事が多いこの1カ月だけ最後のアモキサンを……」
「ダメです。それは良くないです」と主治医。
「では、どうすればいいのでしょう」
「新しい薬を加えましょう」
そこで、今回から、トフラニールにトレドミンを加えるようになりました。トレドミンはSNRIと呼ばれる比較的新しい抗うつ剤です。
新しい薬ということで希望を持って服用し始めました。
……書けない。
フリーライターには致命的です。
あがけばあがくほどアイディアが遠のいていく。
文章が出てこない。
次の診察日、「どうですか」といつもの主治医の質問。
「最悪です。締め切りに間に合いませんでした。こんなこと今までなかったのに……」
今まではうつで書けなくても、しばらくすればフラットや軽躁が来て、仕事はなんとか上手くやってきたのですが、アモキサンが無くなっただけで、今までの仕事のやり方が全く通用しなくなってしまったのです。
「そうですか……薬を変えてみましょう」
トレドミンに代わって、デプロメール(フルボキサミンマレイン酸塩)という薬が出ましたが、これもあまり私には合いませんでした。
今はドグマチール(スルピリド)とトフラニール60mgを出されていて、また副作用が出ているけれど、今までよりはかなりマシです。
でもまだフラットにはなっていません。うつうつとキーボードを叩いています。
念のため申し上げると、トフラニールやトレドミンなどで問題なくうつ状態を抑えられていれば、何も心配されることはありません。これは私個人の一つの体験に過ぎません。
■アモキサンの代わりに新たに処方された薬メモ■
・トフラニール(一般名:イミプラミン塩酸塩/アモキサンと似た性質を持つ三環系抗うつ剤)→ずっとうつ状態、めまい、立ちくらみ、口渇など
・トレドミン(一般名:ミルナシプラン塩酸塩/SNRIと呼ばれる比較的新しい抗うつ剤)→全く文章が書けなくなる
・デプロメール(一般名:フルボキサミンマレイン酸塩/SSRIと呼ばれる、三環系より新しく、SNRIより古い薬)→合わない
・ドグマチール(一般名:スルピリド/SSRIと呼ばれる、三環系より新しく、SNRIより古い薬)→副作用はあるが、今までよりはマシ
薬には相性がつきもの。双極性障害だけでなく、多くの精神科の治療のメインは薬物療法になるでしょう。
主治医と協同して、自分の状況を詳しく話し、自分にとってより良い生活を送れるような薬の組み合わせを早く見つけ出したいです。
Text by
Kei Fujimori
藤森 桂
双極性障害II型と双極性障害急速交代型の間で様子見中のフリーライター。障害者手帳2級、厚生年金2級。仕事で社会参加し、障害の中でも人生を楽しみたい。私の唯一の職能であろう、ライターのお仕事は常時募集中。別ペンネームで書籍、電子書籍、雑誌、新聞、WEBなどで活動中。ここでは自分が当事者である、双極性障害のことを中心に発信していきたいです。