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障害者雇用の面接で聞かれる自分の障害のこと。分かりやすく説明できますか?

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2021.3.2

障害者雇用の面接では、自分の障害について、そしてその配慮項目について説明する機会が多いです。面接相手に分かりやすく説明できればいいのですが「分かりやすく」とはどのくらいのレベル感なのでしょうか。障害者の就職活動・転職活動へのお役立ちコラムです。

執筆:佐々木 一成 Kazunari Sasaki

障害者雇用の面接で聞かれること、それは「自分の障害について」です。

障害者雇用は、言うまでもなく、障害者でなければその権利を行使することはできません。したがって、企業で働く場合は、自分の障害について説明することが求められます。

皆さんは、自分の障害を分かりやすく説明できますか?



言葉を選んで、自分の障害を説明しよう。

「分かりやすく」というのが大切で、自分の障害を説明するときには、相手目線に立つ必要があります。

障害者手帳に記載されていることをそのまま説明するだけでは伝わりませんし、説明で使う言葉にも気をつけなくてはいけません。

面接で聞かれるということは人事担当者が聞くということ。相手も障害について理解があるはずでは?という気持ちが浮かび上がることもあるでしょう。

しかし、初めて話す相手にへりくだって話すことは、社会人として当たり前のことですし、相手に分かりやすく話すことは、相手への気配りです。

自分の言葉で話しているか、相手のことを考えながら言葉を選んでいるか、どちらが就職へ近いかは自明の理ではないでしょうか。

相手に分かりやすく自分の障害を説明する。高校生に説明しても伝わるくらいの簡潔さと言葉選びがちょうど良い基準です。



障害だけでなく、配慮項目も説明しよう。

「障害への配慮不足」が課題点として挙げられる職場がかつては多くありましたが、法改正によって合理的配慮が義務付けられ、また、企業としても、どのような人であっても気持ちよく成果を出せる職場を作ろうという風潮が広がり、障害者が安心して働ける職場が増えています。

そこで、就職活動の面接において「あなたが働きやすくなるために、どのような配慮をすればいいのか」と尋ねられる機会が増えました。

「配慮項目の洗い出し」が面接のタイミングで行われるのです。

つまり、面接に臨むにあたって、自分の障害が原因で起こる困りごとや困り感を把握し、どのような配慮を企業に求めるのかを明確にしておかなくてはなりません。

面接を受ける企業で働いたことはないはずなので、実際に面接で伝える配慮項目は仮説です。仮説で構いません。募集職種や職場環境、仕事で使うであろうツールなどから推測し、自分なりの仮説を組み立てます。

企業側も仮説であることは百も承知なので、面接は言わば、すり合わせの時間です。

内定を出すにあたって、配慮項目を準備できるのか、受け入れられるのかという企業側の都合も調整しなくてはいけないので、仮に人柄や雰囲気、これまでの経験などから内定を出したい人材であっても、内定が出せない企業側の事情もあります。

これは差別や区別ではなく、合理的配慮の「合理的」の部分が叶わなかったということです。

自分の障害を相手に分かりやすく説明できるように、また、配慮項目を整理し伝えられるように、このふたつの準備が障害者雇用の面接対策の必須項目となります。



就職後も障害と配慮項目の説明機会は多い

数回の面接や実習などを挟み、企業で働くことになったとしても、自分の障害や配慮項目を説明する機会がなくなるわけではありません。

障害者雇用で就職した方の愚痴として挙がるのが「自分の障害について職場内で共有されていない」「だから配慮されていない、仕事につまずいてしまう」といったものですが、これは企業側の責任でもあれば、本人側の責任でもあります。

企業側としては、ともに働く同僚に事前情報として障害について共有しておく必要はあるでしょう(就職する側が障害について同僚への共有NGの場合はその限りではありません)。

しかし、就職後にどのような仕事をするか、誰と働くかというのは、時間の経過とともに広がりを見せます。

一緒に働く同僚が増えれば、折にふれて、自分の障害と配慮項目を伝え、働きやすい環境を整えられるように互いに工夫しなくてはいけません。

自分の障害について言いづらいこともあるでしょうが、仕事をする中で大切なのは、お互いが気持ちよく働き、成果を出すことです。ここでも相手目線が求められます。

就職後も、自分の障害と配慮項目を説明する機会は多いもの。そして、配慮項目は仕事内容やキャリアによって変わりゆくものです。

常に自分の障害と向き合いながら、振り返りながら、自分の働きやすさ、そして、ともに働く仲間の働きやすさを考え、仕事の結果につながる振る舞いを心がけましょう。

1985年生まれ。生きづらさを焦点に当てたコラムサイト「プラスハンディキャップ」の編集長。
生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。年間数十校の学校講演、企業セミナーの登壇、障害者雇用コンサルティング、障害者のキャリア支援などを行う。東京2020パラリンピック、シッティングバレーボール日本代表。

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