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発達障害者だから遅刻するの?時間を守るタイプの発達障害者が思う本音

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2023.2.18

私はADHDとASDを併発している発達障害者です。そんな私ですが、薬を飲む前から時間を守るタイプの発達障害者でした。時間を守ることができるようになったのは長年の経験によるもの。今回は、私がしている時間管理の対処などについてです。

執筆:ゆめみがち

私はADHDとASDを併発している発達障害者です。

ADHDは障害者手帳2級レベル。不注意がひどく数ヶ月前から投薬治療も始まりました。そんな私ですが、薬を飲む前から時間を守るタイプの発達障害者でした。守れるんかい。

でも、遅刻する人の気持ちがめっちゃわかります。過去にはかなりの遅刻をしていました。

時間を守ることができるようになったのは長年の経験によるもの。そして、単純に私は時間管理が苦手な特性がそこまで強くない、これに尽きます。

時間を全く守れなかった過去


小学生のころは毎朝のように遅刻していました。私の小学校では、地域ごとに班を形成し、集団登校しなければならないのですが、私は毎日のようにその集合時間に間に合わず、班全体が学校に遅刻する日もありました。(放っておいていけばいいものの、集団生活の連帯責任っていやだよね)

あまりに遅刻しすぎて、地区児童会では「こいつ遅刻するんですけど、どうにかなりませんか」と吊るし上げられました。

中学生や高校生の頃も、学校に間に合わず親に車で送ってもらうことが多かったです。これは寝不足のせいでもありましたが、ちゃんと起きていても間に合わない、起きて時間通りに行けたとしても教科書全部忘れるとか…それくらいひどかったです。

なぜ、時間を守れないのか

私の場合は、どれくらいの時間でどう動けば間に合うのか、と逆算することが難しく、また、不注意でいろんなトラブルが起きて予定が狂うことも多くあります。お茶をこぼすだとか忘れ物を取りに帰るだとかで30分くらいロスすることも。

そして、いろんなことに興味があったり、空想をしてしまうことも大きな理由です。ついつい「あ、これなんだろう」と見てしまったり、考え事をしてしまう。

「今じゃなくてもええやん」ということを「今見なきゃいけない!」と思い込んでしまうほどのめり込んでしまうのです。

これは夜更かしをしてしまうことにもつながっていて、夜中にやらないといけないことでもないのに「今やりたい」と思うとずっと夜遅くまでついやってしまうことと似ています。

遅れない為にはとにかく1時間前、30分前行動


私の遅刻癖が治るようになったのは、1時間前行動、30分前行動を心がけるようになってからです。

学校や授業の始まる1時間前、電車の時間で間に合わなくても30分前には行く!というようにしたのです。

いつからそうしたかはハッキリ覚えていませんが、遅刻するたびに早め早めに行動するようになり、そのスタイルに落ち着きました。(ちなみに高校は、元々朝早くて起きられないこともあったので通信制に転校しました。通信制はお昼から始まるので助かりました。)

30分や1時間前行動を心がけていると、何かミスをしてもどうにかなるし、時間にゆとりがある分安心して動けるのです。行動している途中に空想しても大丈夫。

こうやって自分で対処できるから、私は発達障害者にしては時間管理がそこまで苦手ではないのかもしれません。

早め行動にはデメリットも

しかし、早めの行動はデメリットもあります。例えば、13時に目的地に着くためには12時に着くようにしておかないとダメなので、何もその間に用事を入れることができません。お昼ご飯が食べられない。

1個1個のスケジュールの間に1時間くらい余裕がないといけないのです。正直ダルい。「時間を有効に使えていないな」と自分自身でも思います。

だからといって、その1時間の間に別の用事を入れてしまうと、その後のスケジュールが一気に崩壊してしまいます。

この対処法は時間にゆとりがあるからこそできるものです。時間にゆとりのない時には通用しないので本当にやばいです。

もちろん私も忙しい日はありますし、きっちりアラームを鳴らしたりすればなんとか対処することはできます。ただ、ぎちぎちに詰まったスケジュールが何日も続いたら流石に対処しきれなくなるだろうなと思います。

仕事と推し活以外はガッツリ遅れる

仕事は緊張感を持っているので待ち合わせや開始の1時間以上前に準備ができているし、きっちりアラームを鳴らすから遅れたことはありません。

zoom会議は1時間前からは入れないので、zoom会議開始10分前のアラームを聞いてzoomを開き、5分前になるまでデジタル時計を見つめているのです。

推し活でも、イベント開場時間の1時間前には現場にいます。ちなみに、これでも遅くなった方です。以前は早朝に着いて入り待ちと勘違いされたことがあったので早く着きすぎることはやめました。

しかし、その上記2つ以外は結構遅れます。


大変申し訳ないけれど病院関係や美容院など、「予約時間に行っても時間通りに呼ばれることはないからなあ」という予定は「ギリギリに着いても大丈夫だな」と思ってしまい、よく遅れてしまいます。

あと、市役所の福祉課の相談員さんとの待ち合わせも遅れがちです。「遅れても全然大丈夫ですからね」と気を遣ってくれているのですが、「まあ、そう言ってたしな」と思ってしまいます。

決して舐めているわけではないのですが、仕事や推し活のような緊張感を持続させるのが難しく、「遅れても良い」理由や安心感があると一気に緊張が解かれて遅刻魔になってしまうというわけです。

時間を守れてもクビになるときはクビになります

私は以前、発達障害がわかる前に勤めていた会社でも、1回も遅刻をしたことがありませんでした。

その会社へは車通勤でしたが、通勤経路は渋滞が多くそれこそ到着時間が読めないので、30分前〜1時間前には事務所の駐車場に着くように動いていました。

渋滞やトラブルが重なりギリギリになることもよくあったので、自分でもグッジョブだったなと思います。

しかし、私はその会社をクビになりました。話す態度などで「上司を舐めている」「話が通じない」と言われてしまいました。

もちろんそんなつもりは一切なく、一生懸命やっていたのですが、発達障害によりコミュニケーション能力が無く、険悪なムードにもなりました。

時間を守っていても相手を怒らせるくらいのことをしてしまった自分。そして会社をクビになったことは1年前のことですが未だにトラウマにもなっています。

一生懸命に時間を守っていてもダメな時はダメなものです。時間を守ることは当たり前だが故に、そこにかなりの神経を使うため「時間を守ることに使っているこの膨大な労力をもうちょっと他のことに活かせないか?」とちょっと思うこともあります。

遅刻しないことは基本というけれども


「日本人においては遅刻をしないことが基本です!」ということをよく耳にします。

私自身は時間を守ることは、対処すればどうにかなるレベルなのでそれに合わせてはいますが、どんなに対処してもある程度遅刻してしまう特性の人はたくさんいると思います。

それは言ってしまえば「仕方がないこと」だと思います。この日本でそれを言うか、努力をしろ、と叱られそうですが。どんなに努力をしてもできるようにならないことはあります。同じ発達障害でも何が苦手かは人によってちがうのです。

私は私で会話能力がかなり低く、ミスをしやすい特性が強いため、ここは対処しても一定以上はマシにならないだろうなと感じています。

まだまだ訓練している途中ですが、やはり自分でも青ざめるほどのミスや失言が多いです。そんな私は会話を助けてもらえる環境、そこまで会話に重きを置かなくて良い職場環境、ミスをしてもカバーができる環境を探した方がいいと思うのです。

遅刻癖のある時間管理を特に苦手とする人は、遅刻をしても許される環境作り、またはキャラ作りのようなことも大切ではと思っています。

周りに迷惑をかけないようにするために、あえて集合時間より1〜2時間早く伝えてください!とお願いするとか。

「仕方ない」は責任放棄に聞こえるかもしれませんが「私が遅れることは基本」「私が出来ないことは基本」その前提で行動していくことの方が、良い時だってあるのではないでしょうか。

身体性表現障害で8年の無職ひきこもりから、推し活のおかげで社会復帰に成功。しかし会社に就職するもクビになり、直後にADHDとASDスペクトラムが発覚した。現在は自身の発達障害に向き合いながら、推し活の素晴らしさを様々な角度から発信している。

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