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重度障害者でも寝ながら仕事を探せる時代が来た!

〜パラちゃんねるの求人サイトに登録してみた〜①

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2023.2.26

16歳の時に飛び降り自殺を図り頸髄を損傷。以後車いすに。どうやったら仕事が手に入るか、それは学歴がない地方在住の重度身体障害者である私にとって長年悩んできたことだ。通勤やトイレに困難さを抱える中で、どうすれば在宅で無理なく安定した収入を得られるのか。スマホ一台で自宅にいながら仕事を探せる時代がやってきた。

執筆:豆塚 エリ Eri Mametsuka

十数年前のこと。18歳、右も左もわからぬうら若き乙女だった私は、就職しようと不安と期待を胸に初めて行ったハローワークで「車椅子で働ける職場はありません」とバッサリ門前払い、豆腐メンタル崩壊。それから就活とはほぼ無縁の豆塚です。

地方都市で車椅子を利用して生活する重度障害者の私にとってネックだったのが、通勤と職場内のバリアフリー、そしてトイレでした。

私が暮らす街では、公共交通機関が整っておらず、いまだに車椅子非対応のバスが走っています。また、天候の悪い日の移動は車椅子ではなかなか大変です。なんとか職場に辿り着いたとしても、職場の建物に段差が一段でもあればどうしようもありません。重度障害者が一人で快適に利用できるトイレがあるような建物は、数少ないです。それだけハード面でも制限がある中、さらにソフト面の配慮をしてくれる企業を探し当てるのは、もはや無理ゲーとしか思えませんでした。

子供の頃から引っ込み思案、「自分のことは自分でやりなさい」「人様に迷惑をかけてはいけません」」と厳しく言われてきた私は、自らエントリーしながら配慮を求められるほどのつよつよメンタリティは持ち合わせていませんでした。

仕事がパソコン一台で完結するように、簿記やデザインを学び、資格を取得したり、小説の新人賞に応募してみたり、ランサーズやテープ起こしの求人を見たり、障害者職業センター主催の集団面接会で営業してみたり……それなりに努力をし、行動を起こしてみたものの、なかなか食べていけるほどの仕事にはありつけず、苦しんだ時代が長くあります。

コロナ禍以降、リモートワークが普及し、仕事はかなり得やすくなりましたが、結局、自分で会社を立ち上げた方が早くね?という結論に至り、起業をしてしまいました(だからと言って安定的な収入を得られるかといえば、別問題なのですが)。

しかし時代は変わりました。

なんと、スマホ一台あれば、こんな重度障害者でも求職できる求人サイトが爆誕したのです。その名も「パラちゃんねる」。

コラムサイト「パラちゃんねるカフェ」のほうでライターとして活動させていただいていたので、存在は知りつつも、「とはいえ、私みたいな配慮がめちゃくちゃ必要な重度障害者は論外なんじゃない?」と昔の苦い経験からの諦めから、アドレスだけ登録してそのままになっていました。ところが、パラちゃんねるを主宰する株式会社キャリアートの代表・中塚さんの執念とでも言ってもいいほどの「社会をよりよく変えたい」という熱い思いに触れる機会があり、また、中塚さんの大手人材派遣会社での、のべ一万人以上のキャリア支援の経験を持つという経歴を知り、やり手のコンサルタントが大真面目に障害者雇用の課題に取り組んだら一体どうなるのだろう?もしかして私が十数年苦しんで解決しようのなかった就職できない問題もどうにかなっちゃうのでは?とムクムクっと興味が湧いてきました。

ぬくぬくの布団の中でサイトを開くと、早速求人情報が並んでいます。ここにある求人全てが障害者向けであり、自分が対象者に入っているということに、なんだか新鮮さを感じます。

例えば自宅でフィットネスがやりたいと思ってネットで動画を検索すると、そこに並ぶのは健常者向けのものばかりです。その中から、手足も体幹も不自由な人間ができるものを探すのはなかなか骨が折れますし、探しているうちにその選択肢の少なさに段々とやる気が削がれていきます。そういえば30歳を目前にして初めて求人サイトをまともに見たな、と気がつき、いかに自分が、社会人なら当たり前の「働く」ということから疎外されていたかをひしひしと感じました。そりゃ、働く気も失せるわな(普段、自堕落な生活をしている自分を正当化してみる)。みんなこんなふうにゴロゴロしながらイン◯ィードとかで仕事探してたのか。いいのう。

とはいえ、障害は人それぞれ。障害者向けだからといって全てが自分にフィットするとは限りません。

ページを繰ってみると、まずは「身体的なことへの配慮がある仕事」「精神的なことへの配慮がある仕事」「発達特性への配慮がある仕事」などなど、ざっくりとした障害種別で分けられていました。ちなみに「身体的なことへの配慮のある仕事」を開くと339件ヒットしました。全国でこれだけの求人と思うと、あまり多くはないようには感じます。この中から車椅子ユーザー向けの仕事を探すとなると、どのくらい絞られてしまうのだろう……という気持ちがもたげてきました。

ただ、まだまだできたばかりのサイトです。気を長くしていればきっと求人は増えていくことでしょうし、そもそもマッチングが難しいのも大きな事実です。
自分にぴったりの求人を見逃さないためにも、中塚さんがこのサイトの肝だと言っていた「web経歴書」を作り込んでいきたいと思います。

次回の記事では、めちゃくちゃ痒い所に手が届きまくる豆塚一人スタンディングオベーション(立てませんが)「web経歴書」の一部始終を実際に入力しながら紹介していきます。

1993年生まれ。詩人。16歳の時に飛び降り自殺を図り頸髄を損傷。以後車椅子に。障害を負ったことで生きづらさから解放され、今は小さな温泉街で町の人に支えてもらいながら猫と楽しく暮らす。
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