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発達障害者が忘れ物対策に必要なもの

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2023.3.11

私はADHDとASDを併発している発達障害当事者ですが、たくさんいる発達障害者の中ではそこまでは忘れ物の特性が強くない方だと思います。私は忘れ物をするかどうかは、どれだけ対策できるか、その対策ができる環境下に身を置いているかにかかっていると思います。

執筆:ゆめみがち

「忘れ物は、きちんと確認すれば防げる。確認不足だ。」なんてことを聞いたことがありますが、私には他人を責める発言にしか聞こえません。

確認して完璧に防げるものなら、誰もうっかりミスに悩んでいないはず。注意力散漫や不注意の特性をもつ発達障害者なら特にそうだと思います。

私はADHDとASDを併発している発達障害当事者ですが、たくさんいる発達障害者の中ではそこまでは忘れ物の特性が強くない方だと思います。

しかし、普通の人の中では忘れ物が多い、だらしない人という評価だと思います。

そんな私にとって、忘れ物をするかどうかは、どれだけ対策できるか、その対策ができる環境下に身を置いているかにかかっていると思います。

忘れ物が多かった学生時代

私が忘れ物、無くしものがひどかったのは中学生・高校生の頃でしょうか。

その頃のやらかし一覧は

  • 保険証を無くす
  • 携帯を無くす
  • 自転車の鍵を無くす
  • 自転車が行方不明になる(盗まれたとかではなく)
  • 教科書やノートをちゃんと揃えて持っていけない
  • 体操服を毎回忘れる
  • お店に荷物や買ったものを置き忘れて行く

など、とにかくひどかったものです。

中学生・高校生の頃は、毎日何かしらの忘れ物をして学校に行っていたと言っても過言ではないくらい。自分ではどれだけ気をつけていても教科書とノートを揃えることができないことが多かったのです。

家から学校まで距離があり、眠い中準備をしなきゃいけなく注意力が保てなかったことも一因だと思いますし、「前日に準備しとけよ」という話ですが、ギリギリまで課題をやっていた(このギリギリ感も障害特性だったのかどうなのか…)こともあるでしょう。

「真面目」と言われながら、忘れ物が多い、ちゃんとしてない奴。そんな「訳のわからない」評価でした。

最近の私の忘れ物?

最近でも小さな忘れ物は多いです。

  • 家の鍵を忘れる
  • 買い物袋を忘れる
  • 駐車券を無くす
  • 傘を忘れる
  • 病院や美容院で必要な受付カードが出てこない

発達障害あるあるだとは思うのですが、その頻度は高いと思います。

私自身、「時間のロスになるから忘れ物をしないようにしよう」と気をつけているし、発達障害の診断が出てからは余計に気をつけているのですが、気をつけていても、「小さな忘れ物や失くし物がたくさんでだらしない!」というのは少し悔しいです。

しかし、スマホや財布などの大きな忘れ物は無いので、高望みはやめようと思っています。(まあ、カバンの中から出てこなくて10分以上探すみたいなことはよくありますが。)

推しのライブイベントに必要なチケットを忘れたこともギリギリ無いので、そこは誇りに思っています。チケットをよく読まずに開場時間を勘違いして遅れそうになったことはあるけども!

今、致命的な忘れ物をしないのは「自分は忘れ物失くし物がひどい」ことを前提として対策をするようになったからです。

忘れ物対策その1:忘れてはいけないものの優先順位をつける


例えば、推しのライブイベントでは、スマホと財布と入場チケットがあればよしとしています。他は忘れてもなんとかなるのです。

通常であれば、薬は優先順位が高いと思うのですが、私の場合ADHD用の薬のみ常備薬で、「仕事じゃない時は飲まなくてもいいよ」と言われているので推しイベのときは優先順位低めです。

そのスマホと財布と入場チケットは各々20回ほど持ったかどうか目視で確認すれば良いのです。

その他は「忘れたら買おう」の精神です。推しのイベントに行くときは「忘れたものを買う時間」もスケジュールの中に入れています。その時間がなければもっと充実した推し活ができるのですが、それは仕方ない!です。

インナーや充電器類は必ず忘れるので、推しのイベント会場近くにドンキがあるかどうかも確認しておきます。

忘れ物対策その2:予備のものをカバンの中に入れておく


カバンの中には、あらかじめ予備のものを入れっぱなしにしてあります。

例えば、ティッシュ、ハンカチ、イヤホン、薬などです。アナログ手帳を使っていたときは外用の手帳と家で見る用の手帳と2冊用意していました。(今は全てGoogleカレンダーで管理しているので楽になりました!)

また、私は行く場所によってその都度必要なものをカバンの中に追加することも苦手です。

したがって薬局に行かないときもお薬手帳をカバンの中に入れっぱなしですし、徒歩5分のスーパーに行くにも、重い充電器を入れっぱなしです。いつも荷物はパンッパンです。

忘れ物対策その3:しっかり準備する時間・手間をかける


慌てて準備すると誰でも忘れ物は増えてしまうものだと思います。私は他の人達よりも準備にたっぷり時間を取らなければなりません。

どれくらいかというと、完璧に忘れ物をしないとなると1泊2日の推しイベントのための遠征旅行のための準備で半日、6時間くらい必要です。

いやいや、時間取りすぎ。私もそう思います。

でも、必要なものを全て書き出してリスト化して、いちいち照らし合わせてチェックするのでそれくらい時間がかかります。

だからこそ、私は半分くらい諦めて「忘れてもいいや」の前提で適当につっこんでいます。(それでも1時間くらいはかかるんですけどね)

普通のお出かけでも忘れ物をしないようにすると「リストに書き出し」「照らし合わせ」が必要になります。

忘れ物対策ができない環境では生きられない


主に3つの忘れ物対策を紹介してきましたが、これをやって私はやっと「ちょっと忘れ物が多い人」になることができるレベルです。

これだけやって「絶対に忘れたらいけないものはギリギリ忘れず持ってこられる人」の最低限レベル。自分の特性のためには仕方ないことだと納得しています。

しかし、集団行動だとみんなのペースに合わせなければならないので、この対策などができません。どうしてみんな、そんなにささっと準備して、「忘れてないかな?」といちいち確認しなくても、あまり忘れ物をせずに動けるのか謎です。

また、どんなにマイペースに動けるとしても、忘れてはいけないものが多い環境だと優先順位がつけづらくなるためかなり難しいなと思います。

そういう意味では1日に何コマも授業があり、それぞれ持っていくものがちがう学校は難しかったのだな、と思います。パソコンやiPadで全ての資料をそろえられるようにして欲しかったなと、あの頃を思い出すと感じます。

何事も環境のせいだけにしてはいけませんが、忘れ物がまたひどくなれば「今の環境は自分が対処しきれないくらい見合ってないかも!」と振り返るきっかけにしたいと思っています。

身体性表現障害で8年の無職ひきこもりから、推し活のおかげで社会復帰に成功。しかし会社に就職するもクビになり、直後にADHDとASDスペクトラムが発覚した。現在は自身の発達障害に向き合いながら、推し活の素晴らしさを様々な角度から発信している。

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