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これからは、障害をオープンにして生きていく

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2023.3.18

私はこれまで自分の障害を隠しながら、障害福祉の現場で働いてきた。いわゆるクローズ就労という形だ。今回は、私がクローズ就労からオープン就労に切り替えたい理由を整理してみる。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

私はこれまで自分の障害を隠しながら、障害福祉の現場で働いてきた。いわゆるクローズ就労という形だ。


大学を卒業してから、かれこれ12年ほど一般枠でクローズ就労をしてきたけれど、「そろそろ、自分の障害を開示して働こうかな」と計画している。

今回は、私がクローズ就労からオープン就労に切り替えたい理由を整理してみる。


オープン就労にしたい理由①新しい仕事をしてみたい

前回の転職活動をしていたときは「障害福祉の仕事をしたい!」と強く思っていた。障害福祉の求人は一般枠の方が多い。

でも、今は障害福祉の仕事の中で「こんなことをしてみたい」とか、「自分はこうなりたい」というイメージや希望がびっくりするほど湧かない。何年もこの状態だ。行き止まり、という感じがする。

副業とは言え、ライターや編集の仕事は「まだ、この道は先に続いていそうだな」と思う。

「ライターは障害者雇用枠の求人であるの?」と聞かれれば、詳しくは知らない。よくよく考えると、あまり論理的じゃないので「なんとなく、こっちの道の方がよさそう」という直感かもしれない。インスピレーション。

オープン就労にしたい理由②配慮が必要だから

発達障害の診断をされた後も「私に配慮はそこまで必要ない」と思っていたけれど、そんなことはなかった。私が頼まなくても、周りの人達が配慮をしてくれていただけだ。最近になってそのことを痛感した。

たとえば、私は仕事で車の運転をしたくない。もともと超がつくほどの方向音痴な上に、運転も下手だ。

発達障害と診断されてからは自分の注意力を信じられなくなり、「運転は嫌」という思いがより強くなった。自分の不注意で他の人達を危険にさらすかもと考えると怖い。そんなわけで入社したときから「運転はなるべく避けさせてもらえないでしょうか」とお願いしている。

今の仕事は送迎が必須なので運転をしないのはまあまあ無理がある。他の職員が送迎をしてくれていたので、私は避けられていた。本当にありがたい。

ただ、この春にどうしても車の運転をしなければいけない状況になった。こうなると、私は仕事を続けられなくなってしまう。

私は運転以外にも苦手なことがたくさんある。こんな風に苦手な仕事を振られる度に辞めていては安定的に働けないので、「障害者雇用枠で働こうかな」と思うようになった。

オープン就労にしたい理由③障害受容ができてきた

何年かかけて少しずつ「やっぱり私は発達障害と精神障害があるんだな」ということが腑に落ちてきた。環境が整えばそこまで目立たないけれど、ちょっと無理をするとミスをしたり、体調を崩したりする。どれだけ大事な場面でも無理がきかない。

認めざるを得ない。降参だ。自分が何と戦っていたのかはよくわからないけれど。

その上、「私が障害を隠すことで、一体誰が得をするんだろう?」と疑問になってきた。長い目で見たら、私は無理をして潰れやすくなるし、周囲は事情がわからないと一緒に働きづらいだろう。

会社のことを考えたら、事情を話した上で協力して欲しいとお願いした方がいいと思う。私が自分ひとりで解決できないときでも、周囲の人の協力があれば何とかなることもある。

「障害は自分ひとりで解決できるような課題じゃない」と思うようになってきた。



「これからは、オープン就労にします」と言っても、どうなるかはわからない。

パラちゃんねるカフェの他のライターさんの記事を読んでいると「障害者雇用枠の就労も色々大変そうだなぁ」と思う。障害者雇用枠なら望む配慮が受けられるとも限らなさそうだ。

もしかしたら、全然採用されずにクローズ就労をするかもしれない。オープン就労が続かないかもしれない。まだ、わからないことだらけ。

今後、軌道修正をすることはあるだろうけれど、一旦方向性を決めたのだ。グズグズ言っていても仕方がない。決めた後は腹をくくって、しばらく行動あるのみ。

行動していくうちに別の光景が見えてくるだろう。そのときにまた考えればいい。予想通りに進んだことなんて今までもない。

自分の人生を大きく変えるのはずいぶんと久しぶりだ。新しい航海が始まる前のような気分。慣れた環境を離れるのは心細いし、将来のことを考えると不安でオドオドしてしまう。

それでも、今の私には健康がある。10年前に体調を崩して辞めたときの転職活動とはちがう。これまで働いてきた経験もどこかで活きるだろう。応援してくれる人もいるし、ちょっとは自信もついた。新しい場所でどんな出会いがあるのか楽しみだ。

いつだって、できることは今のベストを尽くすことだけ。隠し事がなくなれば、私はもっと身軽になれる。小心者な私だけれど、こんなときは堂々としていよう。

きっと、5年後の私は「あのとき、勇気を出してよかった」と今の私に感謝するはずだから。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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