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ASDの私が初めて通った就労移行支援事業所で学んだこと

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2023.4.4

私はASDと自立神経失調の当事者で、かつて、就労移行支援事業所で学んでいたことがあります。今回の記事では、就労移行支援事業所に通所していた時期のことをお話します。

執筆:光丘 月乃 t.mitsuoka

こんにちは、光丘月乃です。

私はASDと自立神経失調の当事者で、かつて、就労移行支援事業所で学んでいたことがあります。

それまで一般就労しか知らなかった私にとって、通い始めた頃は戸惑いもありましたが、今になって思えば通ってよかったと心から思っています。当時の経験は今の仕事にも生きています。

今回の記事では、就労移行支援事業所に通所していた時期のことをお話しします。ご参考になれば幸いです。

どんな事業所に通っていた?


私は新卒で介護福祉施設に就職しましたが、自律神経失調症になり退職しました。地元に戻り、就職した会社でも人間関係が主な原因となり、退職。その頃、自分がASDであると診断を受けました。

その後、地元の障がい者支援センターの方からの紹介で就労移行支援事業所を知ったのです。これが今から約9年前のことです。

私の暮らす地域の隣の地域にある小さな就労移行支援事業所で、精神・知的・身体障がいを持つ方がそれぞれ就職に向けて学んでいました。

自分自身が「障がい者」となってから初めて身を置く環境だったので、通う前はさまざまな不安がありました。しかし、見学に行ってみると職員さんが気さくにお話をしてくれて、安心感を覚えました。

一番好きだったのは、農作業体験です。施設の外のプランターで農作物を育てたり、地域の方から借りた畑で作物づくりをしたりしていました。体を動かす仕事の楽しさを味わいながら、みんなで作物を育てることは私にとって貴重な経験でした。本当にやってよかったと思います。

クリスマスやハロウィンの時期には、イベントをやって楽しむこともあり、和気あいあいとした雰囲気の事業所でした。人見知りゆえに最初は戸惑いはあったものの、次第に仲間たちと打ち解けていくのは楽しかったのです。

昔からリーダー格的な存在やワイワイ賑やかな集団は苦手な私が、彼(彼女)らとも協力し合えるようになるとは自分でも思ってもみませんでした。

就労移行支援事業所での1日


朝8時頃に、就労移行支援事業所の送迎車が家の近くまできてくれて、乗せていってくれました。(送迎利用者は私含めて6~7名いました)

事業所に到着した後、朝礼で皆それぞれの一日の目標について発表。朝礼後にラジオ体操をして、一日を気持ちよくスタートさせていました。

カリキュラムによっては、朝礼とラジオ体操の後、すぐに農園に行くこともあり、体を動かすにはちょうどよかったと思います。

農園以外では、グループディスカッション、軽作業、模擬面接など、就職に向けたプログラムが充実していました。就活中の人は、職員さんと面談をしたりハローワークに通ったりすることもありました。

時には、地域で職場体験をして実際の仕事を学びました。地元の人の温かさに触れられて、とても良い経験になりました。特に、結婚式場で裏方の仕事をした経験は、後のホテルの仕事に大いに役立ちました。

カリキュラムはどれも頭や手をフルに使うため、なかなかハードだったのを覚えています。私の通っていた事業所には器用な人が多く、てきぱきと作業したりディスカッションで発言したりする様子が輝いていました。

不器用な私でしたが、事業所での経験でだいぶ鍛えられたかなと思っています。好きな活動(農園やパソコン作業)をしつつ、障がい者雇用に大切なことも学べて、本当に貴重な体験ができました。

通ってみて学んだこと


就労移行支援事業所に通って学んだことはたくさんあります。一般就労では学べなかったことをたくさん学びました。

まず、農作業体験で仲間と協力し合う大切さや作物づくりの難しさを知りました。同時に、自然と触れ合う楽しみを改めて実感しました。

カリキュラムを通じて障がい者雇用について学んでいき、今まで知らなかった世界を知りました。一般就労でしか働いた経験のなかった当時の私にとって、多様な生き方・働き方を知ることは新鮮でした。

そして、障がいのある仲間との出会いも価値のあるものでした。皆、さまざまな苦労をして就労移行支援事業所に通っていました。彼(彼女)らがやりたい仕事をするために日々懸命に活動する姿を見て、「自分も頑張ろう」と思えたのは良い思い出です。

約9ヶ月間という短い期間でしたが、通ってよかったなと思っています。

今に活きていること


現在は、ホテルの裏方のアルバイトをしています。今の仕事をする前も、ホテルの裏方で事務仕事をしたり宴会準備をしたりする仕事をしていました。

バックヤードから職場を支える仕事の大切さは、事業所のカリキュラムや職場体験で学びました。そのおかげで、バックヤードの仕事の大切さと充実感を知り、卒業して数年たった今も生きていると思っています。

多様な生き方を知る姿勢を身につけられたことも、事業所での経験が生きていると思っています。世の中にはいろいろな人がいて、その人達が働くことで今の私たちの生活が成り立っています。その事実をもっと伝えていくことが、私がライターをする理由の一つです。

それ以外でも、「読んでよかった」「これやってみよう」と読者に思ってもらえる記事を一つでも多く発信していきたいと考えています。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

福島県に住む30代のWebライター(2022年3月中旬~)。アルバイトをしつつライター活動をしている。スキルアップを目指して、幅広いジャンルで執筆中。趣味は読書、スポーツジム通い、動物観察、散歩など。

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