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【発達障がい・ASD編】マンガでわかる!部下/同僚と働くときの配慮の仕方

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2023.5.28

こんにちは、パラちゃんねるライターチームです。

ASD(Autism Spectrum Disorder)とは、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれ、近年認知度が急激に高まってきた発達障がいの1つです。

ASD当事者には、社会的なコミュニケーションに困難を抱えやすいと言われていますが、目に見える障がいではないため適切な配慮を受けられなかったり、まわりから誤解されたりと、職場で苦労をしている人も多くいます。

しかし、職場における配慮のポイントを抑えるだけで、双方にとって働きやすい環境を作ることができます!

では実際、ASD特性のある同僚や部下と一緒に働くことになった場合、どんな配慮や対応ができるのでしょうか?

3つのポイントにわけて、解説していきます!

執筆:パラちゃんねる運営事務局

目次
1.ASDとは?
2.マンガでポイントを予習
3.大切なのはコミュニケーション
4.対応①働きやすい環境を作る
5.対応②指示は具体的に
6.対応③パニックになったときのためにセーフティスペースを用意する
7.まとめ

ASDとは?

最近耳にすることも増えてきたASDですが、そもそもどんな意味があるのでしょうか?まずは、ASDやその特性について解説します。

ASD(Autism Spectrum Disorder)とは、発達障がいのうちの1つで、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれています。

ASDは主に「社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない、興味や活動が偏る」などの特性があるとされています(参考:国立精神・神経医療センター)。

具体的には、以下のような特性があります。

● 場の空気を読むことが難しい
● 視線を合わせることを苦痛に感じる
● こだわりや自分のルールを強く持つため人に合わせることが難しい
● 予想外の状況が起こるとパニックになる
● 感覚が過敏または鈍麻(どんま)

それぞれの特性の強さは人によって異なりますが、学校や職場など様々な生活の場面で困難を抱える当事者が多くいます。

特にASD特性のある人は、職場ではコミュニケーションの苦手さによって、「やる気がない、感じが悪い」というイメージを持たれやすく、また特性からくるこだわりの強さなどでも働きづらさを感じるケースが多いようです。

また、見た目にはわかりづらい障がいのため、支援や配慮のニーズも周囲から理解されづらく、ASD特性のある本人と、同僚や上司の双方が働きづらさを抱えてしまう問題もあります。

しかし、ASDに対する正しい理解をもとに、企業側が特性に対して適切で柔軟な配慮を行うことで、当事者も周囲の人も働きやすい環境を作ることができるのです。

ではさっそく、ASD特性のある同僚や部下と一緒に働くときに、どんな配慮や対応ができるのか解説していきます。
 

まずはマンガでポイントを紹介していきます!

マンガでポイントを予習

ASD特性のある同僚や部下と一緒に働くとき、チームのメンバーはいったいどのような配慮や対応ができるのでしょうか?

まずはポイントを、マンガで紹介していきます。      
新しくASD特性のある社員が職場やチームに入ってくる場合にも、ぜひ読み返してみてくださいね!

働きやすい環境をつくる


指示は具体的に!


セーフティスペースをつくる


このマンガで解説したポイントを、このあとさらに詳しく解説をしていきますが、具体的な対応ポイントに移る前に、まずはASD特性をもつ人と一緒に働くことになった際にあらためて抑えておきたいマインドセットをご紹介します。

大切なのはコミュニケーションを取ること

ASD特性のある従業員と一緒に働くことになったとき、「ASD特性のある人にはどんな配慮やサポートが必要なんだろう?」と悩む方も多いと思います。

結論から言うと、「ASDの人にはこの対応をすればOK!」というものは残念ながらありません。

なぜなら、人それぞれ得意や不得意が違うように、ASD特性のある人のなかでもどのような特性が強く現れるかは様々だからです。

特性の種類やその人自身の性格によっても、職場における困りやすいポイントは異なりますし、効果的なサポートも人によって違ってきます。

人によって必要なサポートが違うからこそ、コミュニケーションが大切になってきます。

「ASDだからこういう困りごとを抱えているはずだ」と決めつけてしまうのではなく、まずは「目の前の相手は何に困っているかな?」というように考えられるとよいでしょう。

あらかじめ「困ったことがあったら声をかけてね」などの声がけをしておくことで、ASD特性のある人も、相談しやすい空気を作ることができます。

この記事でご紹介するポイントを読んで、トライアンドエラーを繰り返しながら、その人やその職場に1番しっくりくる対応や配慮を見つけられるきっかけにしていただきたいと思います。

対応①働きやすい環境を作る

ASD特性のある人にとって、そもそも物理的な職場の環境が働きやすいかどうかはとても重要なポイントになってきます。

なぜなら、冒頭でもご説明したとおり様々な種類の感覚過敏のあるASD当事者は非常に多いからです。

聴覚過敏や視覚過敏など、感覚が敏感すぎるという特性のある人も多くいるので、なるべくこのような外部の情報刺激を遮断できる環境を整えることが大切です。

人の動きの多いオフィスや、照明がまぶしくなりがちのオフィスでは、パーテーションや半個室スペースを用意することで、過度な視覚情報を遮断することができます。

パーテーション等の用意が難しい場合には、なるべく壁際や部屋の角に座席を用意できるとよいでしょう。

また、人の話し声や電話のコール音などが多い職場の場合は、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンや耳栓を使うことで、聴覚過敏のある人にとっても働きやすい環境になります。

仕事に関する大切な指示や相談をする場合には、会議スペースなどの静かな場所で行えると、スムーズなコミュニケーションが取りやすくなります。

聴覚過敏や視覚過敏などの特性は、人によって度合いや種類は様々です。

相手の特性や困り事をヒアリングして必要な対応を取ることで、ASD特性のある人にとっても働きやすい環境を整えるようにしてみてください。

対応②指示は具体的に

ASDの特性として、「曖昧な指示を受け取ることが難しい」というものが挙げられます。

たとえば、こんな指示の仕方をしてしまっていませんか?


ー 【BAD事例】

・「だいたいでいいから、会議の前にお茶を用意しておいて」
・「適当にこのあたりを片付けておいてくれる?」


ー 【GOOD事例】

・「会議に参加するのは6人だから、6人分のお茶を用意しておいて」
・「このデスクの文房具を引き出しにしまっておいてくれる?」

ASD特性のある人にとって「だいたい」「適当に」などの具体的ではない指示は「どの程度が適切か」を把握することが難しいケースがあります。

そのため、指示を出した人の想像していた範囲から大幅に外れる仕事をしてしまう場合も…。

数や必要な情報を具体的に伝えることで、ミスコミュニケーションを防ぐことができます。

また指示を出す際には、疑問点がないかもその都度確認できるとよりよいでしょう。

この「曖昧な指示を受け取ることが難しい」という特性は、ASDの特徴としてよく例にあげられますが、ADHDや学習障がいのある人にも当てはまる場合があります。

ADHD特性のある従業員への配慮の仕方を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。


ー 【職場対応のポイント】ADHD特性を持つ部下/同僚と働くときの配慮の仕方を解説!

指示だけに限らず、ASD特性のある人は比喩や文脈に依存した表現などは理解することが難しい場合があります。

「普通はこれくらいで伝わるだろう」という気持ちで言ったことが伝わらずに、ミスコミュニケーションが起きてしまうことがあるのです。

たとえば…

その他にも、ジョークのつもりの一言を文字通りに受け取ってしまい、傷ついてしまったり、関係性が悪化してしまうことも…。

なるべく、社交辞令や冗談、比喩などを避けて、明確な言葉でコミュニケーションをするように意識してみてください。

もしも「意図したことが伝わっていないな」と感じたら、あらためて伝え直すようにすることも大切です。

対応③パニックになったときのためにセーフティスペースを用意する

ASD特性のある人は、様々な理由でパニックになってしまうことがあります。

具体的にパニックがおこりやすい場面としては、

● 予想外のできごとが起きたとき
● 先の見通しが立たないとき
● こだわりやマイルールが遂行できないとき
● 感覚過敏の要因が強い、または重なったとき

これに加えて、そもそも体調がすぐれないときや疲れているときには、パニックが起きやすくなることがあります。

様々な理由でパニックが起きると、強い不安感や混乱が生じてしまうため、業務にも影響を与えてしまいます。

そんなときに、いったん落ち着ける場所=セーフティスペースを用意しておけると安心です。

特別に個室を用意することが難しい場合にも、「パニックになったら使っていない会議室に行く」「人通りの少ない廊下に避難する」などと決めておくことで、いざというときにも落ち着いて対応をすることができます。

また、ASDをはじめ発達障がい当事者は過去に職場や教師から叱責された経験を持つ人が多くいます。

過去の経験から怒られることへの恐怖心が人一倍強く感じてしまうこともあるのです。

特性の有無に関わらず大切なことですが、ミスやトラブルがあった際に、「感情的に怒鳴る」「激しく責め立てる」ということは避けるようにしましょう。

激しく叱責されることによって、パニックが生じてしまうこともありますし、そもそも職場全体の心理的安全性を損なう行為なので、避けられるといいですね。

まとめ

以上、ASD特性のある同僚や部下と一緒に働くことになった場合、どんな配慮や対応ができるのか、ポイントにわけて解説をしてきました。

● ASDとは?
● マンガでポイントを予習
● 大切なのはコミュニケーション
● 対応①働きやすい環境を作る
● 対応②指示は具体的に
● 対応③パニックになったときのためにセーフティスペースを用意する



特性の現れ方や、その度合いは個人によって異なります。

大切なのは、「目の前の相手がなにに困っているか?」をきちんとヒアリングし、それを「努力が足りない/やる気がない」と片付けるのではなく、柔軟に対応をしていくこと。

最初から完璧な対応や配慮を目指すのではなく、ASD特性のある同僚や部下とコミュニケーションを取りながら、双方にとって働きやすい解決策を見つけていけるとよいですね!

ASD特性のある人と一緒に働くことになった場合には、ぜひ参考にしてみてください。

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