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就職活動・転職活動の前に「SWOT」で自己分析しよう!

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2021.4.5

就職・転職活動の前に必ずやらなくてはならないことが「自己分析」です。しかし、自己分析はどこまでやればいいのか終わりは見えず、答えも方程式もありません。そこで今回は自己分析の切り口のひとつ「SWOT」をご紹介します。この4つの問いかけに答えられれば、自己分析もサクサク進みます。障害者の就職活動・転職活動へのお役立ちコラムです。

執筆:佐々木 一成 Kazunari Sasaki

SWOTとはなにか?

SWOTとは、マーケティングの世界で使われるフレームワーク、考え方のひとつで、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」のアルファベットの頭文字を取ったものです。

ここまで横文字が続くと拒否反応を起こす方もいるかもしれません。かくいう私もそうです(笑)。

ただ、就職・転職活動を始める前に行うべき「自己分析」において、このSWOTは役に立ちます。SWOTを意識した4つの問いを自分に向けることで、自己分析が進められるのです。

S:あなたの強みを教えてください

まずは「S」です。これは「あなたの強みはなんですか?」という問いを自分に向けることです。

強みという言葉は分かりやすいようで分かりづらいものです。

これは強みと言えるのか?
他者と比較したときに秀でているのか?
強みって思いつかないのだけど…

そういった心の声を聞くことが多いのではないでしょうか。ただ、強みは「自分で信じているもの」で十分です。他者との比較などは関係ありません。

例えば、こういったことが強みとなります。

・これまでの経験、資格、スキル
・自分の家族や友人、かつての同僚などから褒められたこと、評価されたこと
・(少しだけでもいいので)自信があること

それでも「強みはない」と考えてしまう方がいるかもしれません。しかし、強みは今日からでも作れるものです。

上記の3つは最初からできた方なんていません。日々の積み重ねや努力によって培われたものです。つまり、今日から取り組もうと決めたことが明日には強みになっていることもあるので、心配しなくても問題ありません。

また、ひとつだけ注意するとすれば、強みは「誰かの役に立つこと」という観点が重要です。この自己分析は、就職・転職活動のために行うこと。つまり、会社の一員に加わるために行うことです。

仕事は一人ではできませんし、誰かの課題を解決するために仕事があります。「誰かの役に立つ」ための強みを自分の内面から探してみてください。

W:あなたの障害を教えてください

次は「W」です。これは「あなたの障害を教えてください」という問いを自分に向けることです。

こう書くと「障害=弱み」なのかと思ってしまうかもしれません。ただ、働く上で不便さや困り感を生み出してしまうものであることは事実です。

したがって、自分の障害とどのような配慮やサポートがあると良いのか、伝えられるようにしましょう。


●詳しくは下記のリンクに書いています。

「弱み」という言葉で言えば、苦手なことなどのスキル面、また性格面などから考えてしまうことがあるかもしれませんが、それは弱みではありません。ひとつの特徴です。自分が弱みだと思っているさまざまなことは、案外、周囲から見ると大したことがないことも多いものです。

また、強みは自分で生かすもの、弱みは周囲のサポートでやり繰りするものです。そして、就職・転職前に伝えられることは障害のみです。これはどのような職場環境に就いたとしても関係があるからです。

この問いかけに関しては、障害のみに焦点を当てて考えてみてください。



O:あなたのやりたいことを教えてください

次は「O」です。これは「あなたのやりたいことを教えてください」という問いを自分に向けることです。

SWOTは正しい使い方をするならば、SとWは内部環境、つまり自分自身の強みと弱みのことを指し、OとTは外部環境、つまり外部との比較や状況においての強みと弱みを指します。簡単に言えば、自分で決められることと相手に決められることの違いです。

よって、OとTは「相手が選ぶ理由」であり、それが伝わるように発信しなくてはいけません。

「O」は「あなたのやりたいことが選考を受けている会社で実現できるか、面接官が判断するための根拠」となります。


自分のやりたいことを探すなら…詳しくは下記のリンクに書いています。

「あなたのやりたいこと」と「企業が任せたい仕事・役割」が一致すれば、内定は出ますし、就職後もやりがいを持って働くことができます。

また、企業側にとって「企業が任せたい仕事・役割」は求人票に書いていることですので、一致するかどうかを面接などの選考で見極めているだけなので、「あなたのやりたいこと」が準備されているかどうかが重要です。

自分の強みを生かすことが、あなたのやりたいことにつながっていることが多いかもしれません。また、純粋な気持ちや意欲によってやりたいことが湧いていることもあるでしょう。

「S」の後に「O」に取り組むことをおすすめします。

T:あなたの苦手な職場の雰囲気を教えてください

最後は「T」です。これは「あなたの苦手な職場の雰囲気を教えてください」という問いを自分に向けることです。

自分が気持ちよく働くためには、良好な人間関係と物理的な障壁が取り除かれていることが大切です。物理的な障壁に関しては、障害が関係するテーマなので「W」で解決しています。そこで、「T」では良好な人間関係を考える上で、苦手な職場の雰囲気を考えます。

・このような雰囲気は嫌いだ
・このような関わり方をされると凹む
・このような上司や先輩は苦手だ

嫌なことをとにかく自問自答してください。これがあなたが働く上での「脅威」です。

まだ働いたことがないという方の場合は、学校や仲間うちといったこれまでの人間関係を振り返ってみるといいでしょう。

この「脅威」が取り除かれた職場なのかどうかを確認するのが、面接であり、実習です。

「S」と「T」はとにかく自分の障害に焦点を当てるものです。それ以外のことは何も気にしなくてOKです。

最後に

今回は、自己分析の切り口として「SWOT」をご紹介しましたが、これはマーケティングのフレームワークとして有名なもの、というよりは「SWOT」をベースとした4つの問いかけとなります。あくまで、こういう手法がありますが、試してみませんか?というものです。

「とりあえずやってみる」という精神やスタンスのほうが、自己分析だけでなく、その後の就職・転職活動、そして入社後の活躍につながります。

この文章を読んだ上で、試したくない・嫌だという気持ちが湧いてしまえば無理強いはしませんが、ぜひ一度試していただければと思います。

1985年生まれ。生きづらさを焦点に当てたコラムサイト「プラスハンディキャップ」の編集長。
生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。年間数十校の学校講演、企業セミナーの登壇、障害者雇用コンサルティング、障害者のキャリア支援などを行う。東京2020パラリンピック、シッティングバレーボール日本代表。

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