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就労移行支援事業所を利用しての就活体験記

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2021.4.14

尊敬してやまない友人Aさんの言葉で、就労移行支援事業所に通うようになり5ヶ月が経った頃から、再び企業に応募するようになりました。事業所の雰囲気にも慣れ、支援員とも信頼関係ができてきます。今回は、就労移行支援事業所を利用しての就職活動について、書類作成、面接対策、そして障害者採用に特徴的な実習に分けて書いていきます。

執筆:長谷 ゆう Yu Hase

応募書類の作成サポート

就労移行支援事業所のプログラムでは、自己分析や企業研究、応募書類の作成方法を学ぶことができます。就職活動の順序としては、履歴書、職務経歴書を作成する時間が最初です。

大手の事業所では、履歴書と職務経歴書のフォーマットが用意されており、それを使うことができます。履歴書フォーマットには障害の詳細や通所状況を書く欄があります。また、一度も働いた経験のない人は「自己紹介書」を作ることもできます。

働いた経験のある私も「そのくらい知っている」ではなく、「新たにアップデートされている内容があるかもしれない」と思って、時間のある限りプログラムで学び直すようにしました。

面接対策

次は面接対策です。

事業所で、支援員と一緒に面接(オンライン面接含む)の練習をすることもできます。支援員は細かいチェック項目の入ったフィードバックを返してくれます。

障害者採用の面接では、支援員の同席が認められたり、支援員の同席を求められる場合があります。

私は一度、信頼できる支援員に面接同席してもらいました。事前に支援員と打ち合わせして、支援員が面接でどのように関わるかを決めて臨みました。

ここでは、普段から支援員との信頼関係ができていればうまくいきます。支援員との信頼関係のおかげでうまくやりとりできた面接はとても良い思い出になりました。

また、面接後に支援員からフィードバックがもらえるのも良い点です。


実習

障害者の採用では、面接だけでなく、実際の仕事の場面に近い体験をする実習で見極める企業が増えています。

実習を通して、働く側は職場の雰囲気を確認し、企業側は応募者がどのくらい仕事ができるのかを確認する。これによって双方のミスマッチを減らせるということです。

私も翻訳や事務の実習に参加しました。実習はコロナ禍によりオンラインで行われました。

数日間で、社内アナウンス・アンケート集計表・プレゼン資料の翻訳、大量のメールをいかに優先順位を付けて処理するか、グループディスカッション、プレゼンテーションなどを行うという内容でした。参加して良かったと思っています。

実習は準備するのに時間と労力がかかるでしょうが、良い採用方法だと思います。


二人三脚での就職活動


就労移行支援事業所を利用した就職活動では、支援員から「企業に応募する前に、事前に支援員に共有してくださいね」と言われることがあります。

私は最初のうちは支援員と足並みを揃えるのに手間がかかり、1ヶ月に1社しか応募できない状況でした。ですが、慣れてくると共有もスムーズになり、応募するペースも速くできるようになりました。

いまでは、「支援員の協力がなければ、ここまで来れることはなかった」と感謝しています。


手段が増える世の中に

「大手の就労移行支援事業所がついていれば安心して採用できる」という企業が増えてきました。正しくはしごをかけてくれる事業所であれば、少々遠回りになっても利用した方がいいのではないでしょうか。

また、就労移行支援事業所を利用したからといって、必ず障害者求人に応募しなければならないことはありません。

障害者求人には自分の希望職種が少ない、自分の住んでいる地域には障害者求人が少ない、などの事情もあり、一般求人を選択して応募することもできますし、就職する人もいます。最近では、障害をオープンにした上で、応募が受け入れられる一般求人も増えてきました。

私としては「障害をオープンにし、理解を得られる方が、ベストを出せる」という考えで、一般求人・障害者求人、どちらで応募する場合でも発達障害をオープンにする方向です。この方向があるべき形だと信じています。

実習についてもご紹介しましたが、面接だけでは伝えられない自分を企業に伝えられる機会が増えています。精神・発達障害者は、以前に比べて採用頻度が高まり、ミスマッチの減少や職場への定着にもつながりやすくなりました。

さらに、今回は深く立ち入りませんが、SNS就活も注目されていますし、私自身も活用している一人です。SNSと就労移行支援事業所を併用して、企業とコンタクトを取り、チャンスをつかむ人も出てくる状況になればと思います。

これからも、障害者にとって良い就職、定着(活躍)に向けた手段が一層増えていけばと思いますし、私自身も様々な手段を駆使して、就活を進めていきたいと考えています。

1981年生まれ。発達障害や障害者雇用やダイバーシティの知見を活かして取材・執筆・翻訳を行う。「Business Insider Japan」「NewSphere」「Co-Co Life☆女子部」「COTRAVEL」などで執筆。リンクトイン日本版2020「最も人を惹きつけるクリエイター10人」。

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