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障害者雇用で企業が求職者を見極めるときに大切にしている「安心感」と「期待感」

2021.4.17

就職・転職活動において、唯一にして最大の目標は「志望企業から内定を勝ち取ること」です。障害者雇用の場合は、数回の面接や実習を経ることが多いですが、企業側に「私でなければダメだ」と思わせる何かがなければ、内定を得ることはできません。その何かとは?障害者の就職活動・転職活動へのお役立ちコラムです。

執筆:佐々木 一成 Kazunari Sasaki

あなたが選ばれる理由は何か。

就職・転職活動において、唯一にして最大の目標は「志望企業から内定を勝ち取ること」です。

障害者雇用の場合は、数回の面接や実習を経て、その結果が明らかになることが多いですが、その過程で企業側に何が伝わると内定を勝ち取ることができるのでしょうか。

求職者の皆さんが志望企業に入りたいと思う理由があるように、企業側にも皆さんを選ぶ理由が必要です。就職・転職活動は恋愛や結婚に例えられることがありますが、企業側に「私でなければダメだ」と思わせる何かが必要です。

その何かとは「安心感」と「期待感」です。障害者雇用の場合、この二つが特に重要です。

「安心感」とは何か。

では「安心感」とは何でしょうか。それは「あなたが安定して働いてくれるという、企業にとっての安心感」です。

障害者には、働く上で障害が原因となって発生する困りごとがあります。その困りごとに対して、可能な範囲で配慮やサポートが必要となります。合理的配慮と呼ばれるものです。

あなたを雇用した場合、
・どのような合理的配慮が必要なのか
・その合理的配慮を実施すれば、長く安定して働くことができるのか
・その合理的配慮を実施すれば、仕事で価値や成果を発揮してくれるのか
といったことが明らかにならなければ、内定を出すことにためらいが生じます。

つまり、面接や実習を通じて、企業の懸念事項であるこの3つをクリアしていくことが大切です。

また、企業にとって大きな気がかりが「勤怠」と「人間関係」です。

コロナ禍以降、さまざまな働き方が増えていますが、職場への出勤・在宅ワークという主に2種類の働き方に対して、定められた勤務時間を守ることができるのか、こなすことができるのか、休みがちにならないのかといったことを企業側は不安に感じます。

この「勤怠への不安」に対しても、「規則正しく働いてくれる人だ」という安心感を抱かせることで内定獲得につながります。

「人間関係」も同様で、配属される部署のメンバーとうまくやっていけそうか、コミュニケーションをとりながら協働できそうかといった点を不安に感じやすいものです。

入社すれば、障害の有無関係なく、周囲への気遣い・気配りが必要なので、「組織人としての振る舞いができる人」だという安心感を抱かせることが大切です。

合理的配慮、勤怠、人間関係という3つのテーマに対する「安心感」を企業側が感じれば、就職・転職活動は滞りなく進められます。

「であれば、大丈夫ですね」という一言をぜひ受け取ってください。



「期待感」とはなにか。

では「期待感」と何でしょうか。それは「あなたが企業にとって価値を提供してくれるという、企業にとっての期待感」です。

先ほどの合理的配慮に対する安心感とは似て非なるもので、これは「あなたのやりたいこと、できることがどれだけ企業のメリットになるか」ということです。

障害者雇用に限らず、企業にとって採用とは、企業の業績を上げるために必要な人材を確保することが本質です。業績を上げるためには、売上を上げる人材、企業活動を円滑に回す人材もいれば、社風や雰囲気を高める人材もいます。

企業が求める人材像に合っているかどうかが重要であり、面接や実習を通じて、伝わらなくては内定を勝ち取ることはできません。

法定雇用率がある・各種助成金などがあるとはいえ、企業にとって人件費はコストです。障害者雇用は福祉活動でもなければ、ボランティアでもありません。

投資対効果に見合った人材を採りたいというのは、どのような企業・どのような雇用形態にとっても共通です。

新卒の場合、また業務経験がなく志望する場合は「できること」が伝えられないかもしれません。しかし、やりたいという想いや熱意があれば十分です。

できないことをできると偽ってもお互いにとってプラスになりません。むしろ、同じ職種であっても企業ごとに仕事は違うので、経験した仕事が就職先では未経験者と変わらないなんてこともザラです。

ここでいう「期待感」は、想いや熱意に対して、です。

「そしたら、この仕事をお願いできそうですね」という一言をぜひ受け取ってください。


就職・転職活動において準備すること

ここまで「安心感」と「期待感」の説明をしてきましたが、この2つの切り口に対して、面接や実習で答えられる準備をしておけば十分です。

合理的配慮、勤怠、人間関係という3つのテーマに対する「安心感」を企業側が感じられるような準備、そして企業側が「期待感」を抱かずにはいられない想いや熱意を伝える準備。

この2つを頭に入れて、就職・転職活動を進めてください。

1985年生まれ。生きづらさを焦点に当てたコラムサイト「プラスハンディキャップ」の編集長。
生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。年間数十校の学校講演、企業セミナーの登壇、障害者雇用コンサルティング、障害者のキャリア支援などを行う。東京2020パラリンピック、シッティングバレーボール日本代表。

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