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大人の発達障害の私が働く上でしている工夫。準備、実行、片付け。

2021.4.21

27歳のときに「ADHD(注意欠如多動性障害)」と診断され、いわゆる「大人の発達障害」だとわかった私が、少しずつ自分とうまく付き合うコツをつかみながら見つけた働く上での工夫をご紹介します。今回は、仕事における準備・実行・片付けの工夫です。

執筆:森本 しおり Morimoto Shiori

はじめに

「発達障害の人は片付けが苦手」とよく聞きますが、私は発達障害の人こそ準備や片づけに力を入れた方がいいと思っています。

注意力が散漫になりやすく、集中力も切れやすい発達障害の人ほど、環境を整える必要があるからです。

私は約5年前の27歳のときに「ADHD(注意欠如多動性障害)」と診断されました。

学生時代からいろいろと困っていることはありましたが、社会人になってそれが一気に深刻になり、かつ問題も増えました。パニック障害を発症し、精神科にかかって初めて、自分がいわゆる「大人の発達障害」だとわかりました。

今は、放課後等デイサービスという障害児向けの学童のような場所で非常勤として働きながら、ライターもしています。過去10年で今の仕事は5つ目。働きながら、たくさんの失敗を重ねてきました。

今回は、発達障害の私がしている働く上での工夫を準備、実行、片付けの段階別でご紹介します。

働く上での工夫①準備は入念に。

障害の有無に限らず準備は大切ですが、発達障害の人はより切実です。準備によって、大変さや労力をなるべく分散しておくことができるからです。

たとえば、私は就活の面接なら当日の朝にすることはなるべく少なくします。電車の時間を調べたり、持ち物を用意したりは、前日までに終わらせておきます。ざっくりとした当日のタイムスケジュールも立てておいてから寝ます。

「それができないからADHDなんだ!」という声も聞こえてきそうですが、準備をしないと当日がもっと大変になります。

私は昔、何度も道に迷って遅刻しました。当然、面接に集中もできなかったです。これは悪い例です。準備、大事です。



働く上での工夫②一度に一つずつ取り掛かる。

「発達障害の人はマルチタスクが苦手」と聞いたことがあるかもしれません。私は一つのことでもボーっとして間違えるので、複数のことを同時にはしません。一度に一つずつ取り掛かります。

「一度に一つ」は、考えごとも含みます。何かを実行するときは、余計なことを考えず、目の前のことに集中します。ただでさえ、注意力が散漫で、集中力が切れやすいのです。心配事に使う脳の容量はありません。

気が散る要素はなるべく排除します。机の上に余計なものを置かない、話しかけられたらメモをして後でやる、疑問点はまとめて後で質問するなどです。あちこちにやりかけの仕事があると、把握しきれませんし、抜け漏れや周囲の誤解や混乱のもとです。

働く上での工夫③片付ける。

片付けが苦手な発達障害の方は多いです。仕事は準備、実行、片付けまでがセットです。きちんと終わらせないと次のことを始められません。

昔「ちゃんと片付けてから、次のことに取り掛かれ!」とこっぴどく叱られたことがあります。誰かから声をかけられるとそっちに行って、前に何をしていたか分からなくなって、次々に新しい仕事に手を付けていました。

目の前のことに集中できていなかったからでもありますし、片付ける癖がついていなかったとも言えます。

何か大きな失敗をしたりした場合は、後で振り返りを行います。失敗の原因を追及したり、次回以降、同じ失敗を避けられるかを考えたりする時間を確保します。手を動かす時間と考える時間は別にとった方が効率は上がります。


まとめ

発達障害の私が働く上で気を付けている3つのこと①準備、②実行、③片付けの段階別でご紹介しました。

人にはみんな「キャパシティ」というものがあります。

どんなに頑張ろうとしても、キャパシティ以上のことはできませんし、詰め込みすぎは失敗のもとです。だからこそ、準備や片づけが重要になります。大変さを前後に分散させておけば、実行中は目の前のことに集中できます。

私の書いたことは「発達障害の特別なこと」ではありません。きっと「社会人なら、当たり前のことばかり」でしょう。

それでも、仕事を始めたばかりのころの私は知らずにたくさん失敗してきました。障害特性は変わらなくても、知っていて工夫をできればうまくいくこともあるのではないかなと思います。

1988年生まれ。「何事も一生懸命」なADHD当事者ライター。
就職後1年でパニック障害を発症し、退職。27歳のときに「大人の発達障害」当事者であることが判明。以降、自分とうまく付き合うコツをつかんでいる。プラスハンディキャップなど各種メディアへ寄稿中。

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