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車いすユーザーの働き方②大学で働く車いすユーザーの1日のスケジュールを公開

2021.4.28

重度の身体障害があると、ひとつひとつの日常動作に時間がかかってしまいます。そのため、障害を抱えながら仕事をするには、時間の使い方が重要になります。今回は、車いすユーザーとして働き始めて4年目の私の仕事がある日の1日のスケジュールと、上手に時間をやりくりするためのアイデアをご紹介します。

執筆:中村 珍晴(ちん) Takaharu Nakamura

はじめに

重度の身体障害があると、ひとつひとつの日常動作に時間がかかります。そのため、障害を抱えながら仕事をするには、時間の使い方が重要になります。

私は働きはじめた頃、効率的に時間を使うことができず、体調を崩したことがありました。それから試行錯誤の末、自分の体に合ったスケジュールを見つけることができました。

今回は、車椅子ユーザーである私の仕事のある日の1日スケジュールと、上手に時間をやりくりするためのアイデアを紹介します。

5:50 起床・身支度

私の体は生活リズムが変わると起立性低血圧を起こしやすくなるため、仕事がある日もない日も起床時間は変えません。

起床後はナイトバルーンのカテーテルを抜いて、車椅子へ移乗し、靴を履きます。起床後から靴を履き終えるまで約20分かかります。健常者の頃は、1分もかからず起床できていたのですが。

また身支度の時間を短縮するために、就寝中も日中もズボンは常にジーンズを履いています。「衛生的に大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、私の体は汗を全くかかないので、蒸れることはありません。

車椅子に移乗したら、シャツを着て、髪をセットし、身支度は完了です。

6:40~7:30 朝活

身支度後は朝活をしています。具体的には、瞑想と執筆、ToDoリストを作成します。

仕事柄、執筆することが多いので、一番頭が冴えている朝に原稿を書くようにしています。朝活で原稿を書く時間は30分程度ですが、毎日継続しているとそれなりの文章量を書くことができます。

また、朝活の最後の10分は、その日にやることをリスト化して、出社後はすぐに作業を始められるようにしています。

7:30 朝食

朝食は、プロテインと乳酸菌飲料のみです。以前は、白米、味噌汁、目玉焼きをがっつり食べていましたが、血糖値が上がると仕事中に眠たくなるため、今はこの2つのみにしています。

ただ休日にはモーニングを食べに行くこともあります。何事もメリハリが大切ですね。

8:20 出社

職場まで車で15分ほどです。以前は自分で運転をしていましたが、一度事故を起こしたことをきっかけに、今は妻に運転をお願いしています。

車いすから助手席への移乗は7、8分かかります。



9:00 仕事開始

職場に着いたら、自分の研究室で仕事を開始します。

午前中に担当の授業がある場合は、配布資料などを準備して、授業の開始10分前には教室へ移動します。

ちなみに私は指が不自由なので、資料の配布は学生にお願いしています。授業はヘロヘロになるくらい体力を消耗しますが、最もやりがいを感じられる時間でもあります。

13:00 昼食

昼食は、弁当、大学の食堂、宅配など様々です。お腹いっぱいまで食べると眠たくなるので、午後の仕事に備えて、基本的に腹八分目以下にしています。

コロナ禍以前は、学生と食事をすることが多く、この時間は仕事中の楽しみのひとつでした。現在はコロナウイルス感染拡大防止のため、研究室にて一人で食べています(寂しい)。

13:45 仕事再開

昼食後は、インスタントコーヒーを片手に仕事再開です。授業がない場合は、事務作業と自分の研究を進めています。

ちなみに職場では、1日に2、3回トイレに行き、カテーテルを使って排尿をします。

17:00 帰宅

帰宅時間は曜日によって異なりますが、入浴の時間に合わせて大学を出ます。

仕事が終わった後は疲労がピークなので、送り迎えをしてくれる妻には感謝してもしきれません。本当にありがとう!

17:30 入浴

入浴はヘルパーさんに介助してもらいながら、約1時間かけて一日の疲れを洗い流します。

19:00 夕食

一日の中で一番リラックスしている時間です。

仕事がある日は、できる限り集中力を下げないようにするために、朝食と昼食はかなり控えめにしています。一方で、夕食は特に制限をすることもなく、食べたいものを食べるようにしています。

それでも、暴飲暴食をすることはほとんどありません。ちなみにお酒を飲むのは週に1,2回程度です。

20:00 自由時間

夕食後は、その時にやりたいと思ったことをしています。スポーツ中継やYouTubeの動画を見ることもありますが、結局仕事をしていることが多いかもしれません。

でも、この仕事は大学の業務ではなく、YouTubeの撮影をしたり、原稿を書いたりしています。



21:50 ベッドイン

22時までには、ベッドに移り就寝準備をするようにしています。具体的には、車いすからベッドに移乗し、床ずれ予防のクッションをセットし、ナイトバルーンのカテーテルを挿入します。所要時間は20分ほどです。

就寝準備が終わった後はKindleで読書をしています。良質な睡眠のために、ベッド上でスマホは操作しません。そのため、スマホをベッド上から手の届かない場所に置いた後に、ベッドに移乗しています。

一応、就寝時にトラブルが発生したときに備えて、音声でスマホを操作できるように設定しています。

22:30 就寝

最低でも7時間は寝ないと翌日の日中に眠たくなるので、遅くても23時までには寝るようにしています。

むしろ、ベッドに移った頃にはクタクタで気がつくと寝落ちしていることもあります。

まとめ

今回は大学で仕事がある日の1日スケジュールを紹介しました。マイルールとして、どんなに忙しくても、睡眠時間は絶対に削らないと決めています。

そのため、このスケジュールは、睡眠時間を削らずに仕事の成果を出すためにはどうすれば良いかを追求した結果です。

ぜひ、みなさんも自分なりのベストなスケジュールを考えてみてください。

1988年生まれ。大学1年生のときにアメリカンフットボールの試合中の事故で首を骨折し車椅子生活となる。その後、アメフトのコーチを6年間経験し、現在は、大学教員としてスポーツ心理学の研究とアスリートのメンタルトレーニングを実践しつつ、YouTubeチャンネル「suisui-Project」で車椅子ユーザーのライフスタイルを発信している。

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