PARA CHANNEL Cage

筋ジストロフィーの私が経験した「体調」を大切にして「やりがい」で苦しんだ社会人生活~前編~

1 1

2021.5.21

障がいと夢の間で悩み苦しんだ就職活動を終え、愛知の広告代理店に入社。理想通りの仕事ができ、周囲にも恵まれたにも関わらず、仕事と病気とのバランスをうまくとれず、わずか4年で退職してしまいました。
転職活動、就職、失望、逃亡・・・今回は「やりがい」を全く感じられず働くのが嫌になった、私の中で「暗黒時代」と名付けられている2社目の就労経験の前半をご紹介します。

執筆:高山 あっこ Akko Takayama

「しんどいものになる」と覚悟して臨んだ転職活動

転職活動は、まず障がい者専用の就職サイトに登録し、その運営会社の方と就労条件などについての打ち合わせ。その後いくつか会社を紹介してもらいエントリーシートを提出、通過したら面接を受けるという流れで行いました。

理想の仕事と自分の病気との葛藤に疲れ切っていた私は「絶対コピーライター以外やらない!」という新卒時のガチガチの条件を捨て「地元・内勤・車通勤」という条件以外は特に希望せずに転職活動に臨みました。

新卒の際の就職活動で苦しんだ私は、転職活動もしんどいものになるだろうと覚悟。しかし、就労経験があったのがよかったのか、職種を絞らなかったのが幸いしたのか、受けた会社すべてから内定をもらうことができました。

拍子抜けするほどあっさりと終わった転職活動。いくつかいただいた内定の中から、前職で培ったクリエイティブの経験が生かせそうな「大手企業の企画部補佐」の仕事を選びました。

面接の際、「広告代理店でのクリエイティブの経験を生かして企画など手伝ってほしい」と言われたのが決め手でした。

「思ってたんと違う」の連続だった新しい職場

「今日からここでがんばるぞ!」と張り切り、私なりにおしゃれをして出社した初日、さっそく「思ってたんと違う」事件が起こりました。

前職の感覚から、昼休みになると誰かがランチに誘ってくれるものだと思っていた私。けれど、新しい会社では、待てども待てども誰も誘ってくれませんでした。唯一かけられたのは、「隣にコンビニがありますよ」の一言。かろうじて同じ部署の先輩に連れていってもらいましたが、すごく寂しい昼食になりました。

次の日からも、「思ってたんと違う」は続きました。

まず一番ショックだったのは、企画部のミーティングに全く呼ばれないことでした。「企画してほしい」と言われたのに、企画のミーティングに誘ってもらえず、与えられるのはひたすら事務作業のみ。誰にほめられるわけでも感謝されるわけでもなく、声をかけられるのは、ミスがある時ぐらいでした。

もう1つショックだったのは、楽しく話せる仲間がいないことでした。新しい職場では、正社員と派遣社員の間に確執があるようで、正社員が席にいない時は派遣社員が悪口を言い、派遣社員が席にいないときは正社員が悪口を言うという風景が日常でした。

「お土産は、嫌いな人が離席している間に配る」「落としたお菓子をあげる」。そんなささいな嫌がらせも度々目にしました。どちらの派閥からも仲間と思われない「障がい者雇用」の私は、ミーティングで席を外すような機会もないので、ただ悪口のシャワーを浴び続ける毎日でした。

自分の経験や能力を全く必要とされていない悲しさと、やりがいを感じられない業務、そして誰も心を許せる人がいない状態。

「私らしさ」を重視され、周りに恵まれていたコピーライター時代からの落差に私の心はついていけませんでした。

「こんなはずじゃない、こんなはずじゃない。こんなことのために、前の会社を辞めたんじゃない。」私は入社1ヶ月にして心療内科にかけこみ、あっさり「うつ状態」と判断されました。

ただ、仕事とプライベートをうまく切り分けることで、この状態をなんとか乗り越えていくことができた、その先の2年間は、次回後編でお伝えします。

Co-Co Life 女子部所属。進行性の難病筋ジストロフィーを抱えながら2人の娘を子育て中。コピーライター・フリーライター。地元でママライターとしても活動。現在、どの電動車いすが最適かをお試し中。

このライターが描いた記事

関連記事

障がい者雇用特化型の求人サイト「パラちゃんねる」新規登録受付中!!

マンガで分かる!採用担当者必見、採用前・面接・採用後など場面別のポイント全部解説! ADHD編

マンガで分かる!採用担当者必見、採用前・面接・採用後など場面別のポイント全部解説! 車いす編

マンガで分かる!採用担当者必見、採用前・面接・採用後など場面別のポイント全部解説! ASD編

LINE 公式アカウント友達募集中! ID:parachannel