がんサバイバー、義足になった私の3年後、5年後、10年後の夢
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2021.6.5
社会人2年目の2020年6月、滑膜肉腫というがんの治療のため左足を切断し、義足になりました。がんサバイバー、そして義足になった私だからこそ、再発などへの不安も抱えつつ、「これからどう生きていきたいか」という自分が叶えたい未来の話を、3年後・5年後・10年後と区切りながら綴ってみました。
執筆:林 力希 Riki Hayashi
はじめに
「明るい未来の話 寒い夜でも君と2人でふざけたダンスを踊ろう いつまでも側にいてくれよ」
「never young beach」さんの「明るい未来」という曲の一節です。
いつかこの曲を自分の結婚式で流せたらな。私の叶えたい未来の1つです。
今回は、これからどう生きていきたいかについて書かせていただきます。
とは言ってもそもそもお前は誰なんだという話なので、自己紹介から。
新卒入社で2019年に損害保険ジャパン株式会社という保険会社に就職し、今年で3年目の24歳です。
長崎県の部署に配属され、新任営業マンとして日々奮闘していた1年目の年度末に、滑膜肉腫というがんが発覚。治療のために長期休養を開始し、社会人2年目の2020年6月、治療のため左足を切断し、義足になりました。
現在は、義足の装着は安定していて、私生活を送る上で、特に問題はなく、がんの治療も、3ヶ月に1度定期検査を受けて経過観察をするのみです。食事制限や薬の服用、入院の必要はありません。
通院先の「がん研有明病院」及び、義足作製施設の「鉄道弘済会義肢装具サポートセンター」があり、家族も暮らしている東京での復帰が望ましいという事情を会社に配慮してもらい、職場復帰は長崎ではなく、2020年の12月から地元の東京の部署で復職しました。
普通の人と同じように働き、日常生活を送っています。
前置きが長くなりましたが、本題である「これからどう生きていきたいか」という自分が叶えたい未来の話をさせていただきます。
3年後になりたい自分
28歳、社会人6年目。
がんの再発がなく、義足での生活も問題なしという未来。まずこれが第一です。
その上で、仕事面では、上司からは頼りにされ、後輩から慕われるような存在になりたいです。社内表彰制度などの賞を受賞するような活躍をすること、昇進して役職を貰うことが目標です。
がんの発覚から命に限りがあることを意識するようになりました。後悔したくないという思いが強くなり英語の学習をはじめました。
330という、鉛筆を転がして選択肢をえらんでもとれるようなTOEICのスコアが、580となり、まあまあマシになりました。3年後には、海外転勤も視野に入れられるような英語力を身につけていたいです。
転勤について触れましたが、全国転勤型で就職をした以上、義足及びがんの病状が安定しているなら、また転勤をしたいです。長崎で仕事をしてみて、たくさんの思い出をつくることができました。色々な場所に住んで、仕事をして、知見を広げたいと考えています。
YouTube、コラム、出張講師……etc
私は義足で働くがんサバイバーです。自分にしか伝えられないことがたくさんあると思います。3年後も発信活動を継続していたいです。
スポーツでいえば、現在は柔道が満足に出来なくなってしまいましたが、下腿義足でもできるスポーツで熱中出来るものを見つけたいと思っています。
どの種目かはわかりませんが、この頃には熱中出来るものがあるといいなと感じます。
そして、できれば…義足、がん、問題を抱える自分を受容してくれる素敵なパートナーがそばにいてくれたらいいなと思います。
5年後になりたい自分
30歳、社会人8年目。
仕事面では、3年後になりたい自分を叶えた上で、次のステップに進みたいと考えます。自分が学んできたことを周りに還元できる人になりたいです。
そして、パパになっていたいです。
たまに親戚の集まりなどで子どもと遊ぶ機会がありますが、子どもは本当にかわいいです。とても幸せを感じます。
義足のこと、がんのこと、抱えている問題はありますが、いつか、自分の子どもと柔道をすることが叶えたい未来のひとつです。
10年後になりたい自分
35歳、社会人13年目。
キャリアイメージとしては、組織の管理を任されるような役職に付いていたいです。自らの経験から戦略を練り、部下に上手に落としこむことが出来るリーダーを目指していきたいです。
私は、本当にまだまだ、だめだめです。3年目になりますが、仕事をしていてもわからないことだらけです。
さらに、障害、がん…という問題を抱えています。そんな自分だからこそできないこと、わからないことに寄り添えるリーダーになることができると思っています。
ダイバーシティ推進の一環で、会社の障害者雇用率をあげるための活動を、今後、社内の障害を持つ方と協力し、実施していく予定です。
障害当事者のリーダーとして、その活動で得た経験を通して、会社のダイバーシティ&インクルージョンに寄与できればと考えています。
立場が変われば責任は重くなりますが、YouTubeのみならず、さまざまなコンテンツでの発信を10年後も継続していたいと考えています。
健康に生きて、いつか皆さまに、「義足パパがこどもと柔道で戦ってみた」をお見せすることができれば、大変喜ばしく思います。