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SDGsから見る障害者雇用

2021.6.8

最近さまざまな場面で目にすることが増えた「SDGs」。日本語の意味としては「持続可能な開発目標」ですが、コンセプトとして「誰一人取り残さないこと」が挙げられています。SDGsも、実は、障害者雇用に言及・提案しているポイントがあるのです。

執筆:佐々木 一成 Kazunari Sasaki

SDGsとはなにか

最近、いろいろな場面で目にするようになったSDGs。皆さんはその意味や背景を知っていますか。

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称であり、日本語では「持続可能な開発目標」です。

2030年までに国連に加盟するすべての国が達成に向けて取り組むべき目標とされており、17の目標・169のターゲット・232の指標で設定されています。

「より良い地球環境を後世に託す」という意味の目標であり、貧困・環境・エネルギーの分野からジェンダー・教育・福祉といった分野まで網羅され、地球上で「誰ひとり取り残さないこと」を大切にしています。

障害者雇用も、実はSDGsのターゲットのひとつとして掲げられているのです。



働きがいも 経済成長も

SDGsの目標のひとつに「8.働きがいも 経済成長も」があります。

これはキャッチコピーなので、元々の和訳を確認すると「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」という表現となっています。

障害者雇用の観点でいえば「すべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用」がポイントです。

SDGsは大きな17の目標に対し、その具体的な行動指針として169のターゲットを設けていますが、


2030年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を実現し、同一労働同一賃金を達成する。

引用元:目標8を構成する12個のターゲット(8.5)


2020年までに、就労、就学、職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

引用元:目標8を構成する12個のターゲット(8.6)


とあり、障害者雇用が当たり前のものとなり、「障害者として」ではなく「同じ会社で働く仲間として」障害の有無にとらわれず、公平な評価や給与を得ることが目標とされています。

また、就学・就労支援を通じて、社会から取り残されることなく、社会の一員として価値を発揮することが求められています。

現在の日本では、企業にとっては法定雇用率の遵守が大きな理由として障害者雇用が進められていますが、別の視点に立つと、SDGsの達成のために障害者雇用を実現していかなくてはならないということです。

働く(働きたい)障害者にとっては、SDGsの目標自体はとても喜ばしいことではありますが、同一労働同一賃金が目指されているということは、合理的配慮が整えられた職場環境の中で、自分に与えられた役割を果たし、企業に貢献することが求められていることを意味しています。

障害の種類や程度によって、何が求められるかは異なりますし、契約形態や就労形態も違うはずですが、個人的には雇う側からの評価がシビアなものになる社会かもしれないと予感しています。



企業にとってのこれからの障害者雇用

SDGsだけではなく、ESG経営など事業成長と社会貢献を両立させた企業経営が求められるようになりました。CSR活動などの社会貢献活動は特筆すべきことではなく、企業として当たり前にやるべきことになりつつあります。

障害者雇用も法定雇用率を遵守しなければならないといったガバナンス、コンプライアンスのような理由で進める時代は前時代的になるかもしれません。

ダイバーシティ&インクルージョンなどの価値観を取り入れた組織戦略も広がりをみせていますが、なぜ障害者雇用をする必要があるのか、企業の存在意義から見直していく必要があります。

1985年生まれ。生きづらさを焦点に当てたコラムサイト「プラスハンディキャップ」の編集長。
生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。年間数十校の学校講演、企業セミナーの登壇、障害者雇用コンサルティング、障害者のキャリア支援などを行う。パラリンピック種目シッティングバレーボール日本代表候補でもある。

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