PARA CHANNEL Cage

他人に感謝できる大切さ。在宅ワークやキャリアパスを実現する株式会社サイバーエージェントウィル 取締役 星野浩輝さんインタビュー

2021.7.12

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする障がい者雇用を進める企業インタビュー。今回は、株式会社サイバーエージェントウィル 取締役の星野浩輝さんにお話を伺いました。障がい者雇用を進めている企業やこれから働こうとしている障がい者の皆さまに、ぜひ読んでいただければ幸いです。

執筆:株式会社サイバーエージェントウィル

障がい者だけで作る、21世紀を代表する特例子会社に

-まずはサイバーエージェントウィルの会社概要を教えてください。


サイバーエージェントウィルは、株式会社サイバーエージェントの特例子会社として2007年10月に特例子会社認定を受けています。サイバーエージェントグループからの業務の委託を受け、東京、大阪、仙台、沖縄に拠点を展開しています。当初11名でスタートした障がい者雇用は、現在112名となっています。


-障がい者雇用のきっかけを教えてください。


インターネットを軸に幅広い事業を展開しているサイバーエージェントは、デスクワークが中心です。そのため肩こりを訴える社員が増え、特別支援学校(旧盲学校)からの紹介でマッサージ師として2名を採用したのが最初です。その後、仙台にオフィスを構えて精神障害のある方の採用をスタートし、ブログの監視などのオフィスサポート業務について取り組み始めました。


-現在働いている障がいのある方々の障がい種別や仕事内容を教えてください。


障がい種別は特に限定しているわけではなく、障がい種別問わず採用しています。現在、在籍している従業員の障がい種別の内訳でいうと、身体障がい者が42名、精神障がい者が67名、知的障がい者が3名です(2021年6月時点)。


仕事内容は、視覚障がいの方を中心としたマッサージルームの運営とオフィスサポート業務です。オフィスサポート業務としては当初はブログの監視業務やインターネットサービスに掲載される広告のリサーチ業務などを行っていましたが、現在は、人事や経理部門など全社にまつわるサポート業務がメインとなっています。具体的には、人事サポートでは従業員5000名の健康診断や産業医面談、福利厚生の一環で提供しているカウンセリング面談などのスケジュール調整や情報登録です。経理サポートでは、経費精算の不備の通知や確認などです。


サイバーエージェントウィルで働く方々の様子


-スケジュール調整業務は臨機応変な対応が求められる印象がありますが、電話応対も含みますか?


やり取りは基本的にはSlack(スラック)やChatwork(チャットワーク)を活用しているため電話のコミュニケーションは発生しません。
ただ、健康診断や面談日間際でのスケジュール再調整が入る場合も多く、10名程度のチームで業務の比重が偏らないようにコントロールしています。


-体調面に不安のある方もいるかと思います。業務の安定的な運営を図るためにジョブコーチや健常者の管理職は何名ほど配置していますでしょうか?


就労移行支援事業所のジョブコーチによる定期面談などの定着支援は活用していますが、弊社は取締役の3名と担当者1名を除き、全て障がい者で構成された会社のため健常者はいません。精神障がいのある方は体調の波があって休んでしまうこともあるため、当初からチーム性を導入しており、互いに補い合うような文化が根付いています。現在では、精神障がい6名、身体障がい3名、視覚障がい1名の方がリーダーとしてチームを運営しています。


-マネジメントのコツはありますか?


やりがいのある目標を立て、評価を明確にし、役割と期待をセットにして仕事を任せるようにしています。面談を通して毎月の目標を決め、進捗を確認していきます。これらもすべてチームリーダーが取り纏めています。また月末の締め会では毎月の成果をもとに表彰を行っており、頑張った人を讃える機会を設けることで社員のモチベーションを高めています。


-在宅勤務の方もいると伺いました。具体的にはどのような方が在宅で働かれていますか。


地方だと通勤手段がないため、車いすで通勤が困難な方など理由はさまざまですが、脳性麻痺、筋ジストロフィーで施設や病院にいながら働いている方もいます。


-施設や病院にいて働くというのはあまり聞いたことがないですね。在宅業務は課題面が多いと伺いますが、いかがでしょうか?


2007年当初から在宅を採用していたこともありますが、在宅に適した業務を集めて、チームも構成しているので、現時点ではあまり課題は感じていません。コミュニケーション面もZoomで解決できますし、在宅メンバーがオフィスサポートチームのリーダーを務めていたりもします。


-採用段階で重視している点はありますか?


採用段階で重視している点はチームで働けること、責任感があること、他人を褒めれることです。弊社の業務は障がい種別問わずチームで働くため、柔軟性が低い、または自己主張が強すぎると摩擦の原因になります。他人を思いやる気持ちがある人は一緒に成長しようという意識も持てる人と考えますので、PCスキルや資格などどれだけ優秀であったとしてもこの観点が持てない方は、残念ながら諦めています。


チームで話し合う様子


-合理的配慮について工夫していることはありますか?


チームで一緒に仕事をするので、チームの業務を阻害したり、不可抗力にならなければ基本的には受け入れています。合理的配慮の内容を決める際には常に役員・チームリーダーと就労移行支援事業所の支援員が同席をして全員で合意をとるようにしています。


-障がい者雇用のあるべき姿として既に体現されていると思いますが、今後の会社の目指す方向性や展望があれば教えてください。


2007年設立当初に考えたビジョンは、「特例子会社といえばウィルにする。」です。有名な特例子会社はたくさんあるが、弊社もそこに並べるように、働いている人が誇れるように、社員の家族などの第三者にも褒められるような会社を目指していきたいと思います。


さいごに

-今後社会に出ていく障がいのある方へメッセージをお願いします。


自分でやれる部分を少しでも作っていって欲しいなと思います。全て一人でやっていくことは難しいかもしませんが、少しでも自分でやっていける部分が増えると将来の自信になるし、力になると思います。まず一つで良いのでやりきったことを作ってくれると嬉しいです。面接の中でも自分でやり遂げた経験がある方は非常に魅力的ですし、その中で支えてくれた周囲に感謝の気持ちが言える方は生き生きとしていると感じます。感謝の気持ちを忘れずに自信を持って欲しいです。

サイバーエージェントウィル 取締役 星野浩輝さん


取材後記

インタビューは終始、驚きの連続となりました。コロナ禍により世間ではようやく在宅・リモートワークの促進が始まり出した中で10年以上前から在宅・リモートワークを取り入れ、障がい者のキャリアパスまで実現させている。

「他人を思いやり、感謝できること」

法定雇用率を目的とした採用ではなく、組織としてビジョンを作り、チームとして互いの働きがいのある環境を創出していくスタイルは、これからの障がい者雇用の見本といえるでしょう。

株式会社サイバーエージェントウィルは「ABEMA」「アメブロ」などのメディア事業で知られる株式会社サイバーエージェントの特例子会社。東京・大阪・仙台・沖縄を拠点にマッサージルームや在宅・リモートワークを活用した人事・経理などのオフィスサポートに従事。現在は112名の身体障がい、精神障がいの方々が活躍している。

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