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「発達に悩む方の応援団、その子らしさを大切に」世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」の支援とは

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2021.7.26

『パラちゃんねるカフェ』がお届けする企業インタビュー。今回は、世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」のみなさんにお話を伺いました。発達障害の当事者や保護者のみなさまは「げんき」の取組みを知る機会に、人事担当者は従業員の周辺環境を知る機会としてぜひ読んでいただければ幸いです。

執筆:世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」

はじめに

世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」は、世田谷区にお住まいの方を対象とした発達障害に関する相談や療育、地域への支援事業等を実施している区の支援機関になります。

今回、お話を伺ったのは副センター長の安川直史さん、支援員の林康治さん、吉田恭子さん、田中良果さんです。

発達障害の認知が徐々に広がりつつある中で、皆さんの生活する地域にどのような支援が存在しているのか、設立から現在までの変遷や相談事例などさまざまなお話を伺いました。

その人らしく生活するための支援

-まずは世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」の概要を教えてください。


世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」は、身体、知的、精神の 3 障害に比べ、その取り組みが遅れている発達障害児への支援を推進するため、世田谷区の中核的な拠点施設として、平成21年4月に開設しました。現在は、令和3年3月に策定された「世田谷区発達障害支援基本方針」に基づき支援しています。



世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」の外観

-具体的な事業内容を教えてください。


相談事業、療育事業、地域支援事業を行っています。相談事業では、日常生活の安定や充実を目指し、幼児から成人に至るまで幅広く発達に係る相談を受けています。療育事業では18歳未満の児童を対象として、児童発達支援及び放課後等デイサービスを提供しています。地域支援事業では地域の保育園・幼稚園や学校など発達障害がある方々の所属先の支援者に対し、研修等によるバックアップ支援をしています。その他、発達障害理解の啓発として、広報誌の配布や講演会の開催なども活動としています。


-東京都の他の区市町村や他県などにも知的に遅れのない発達障害の方の支援に特化したセンターはあるのでしょうか。


障害種別を問わず子どもの相談機関として支援するセンターは他の自治体にも設置されていますが、発達障害に特化したセンターはまだ数多くはないかもしれません。


-今回は、保護者支援に焦点を当てお伺いしたいと思います。現在の相談状況について教えてください。


新規の相談は電話で受け付けており、月に100件程度です。電話での助言や他機関の紹介を行ったり、必要に応じて相談やアセスメントのためにご来所いただいたりしてます。


保護者の相談を受ける様子 ※イメージです。

-コロナ禍において従来と比較して状況の変化はありましたか。


令和2年度の前半の相談件数は減少しました。要因として発達障害に関する問題は集団生活において生じやすいため、1回目の緊急事態宣言で学校が休校になったり、新学期や新学年が少人数で段階的にスタートしたりしたことにより、問題が生じにくかったと考えられます。令和3年4月現在は、例年通りの相談件数になってきています。


-問い合わせはどのような内容が多いですか。


幼児の場合は、「落ち着きがない」「物事の切り替えが上手くできない」などの行動面の問題やコミュニケーションの苦手さから問い合わせに繋がるケースが多いです。


-世田谷区の地域性や特徴はありますか。


世田谷区の発達障害支援では、「発達障害の特性のある区民が、住み慣れた地域で、自分らしい生活を安心して継続できるよう支援する」ことを目標としています。そのため、ご本人の所属する関係機関への障害理解促進のための地域支援にも力を入れている点が特徴と言えます。


-子どもの問題を保護者が感じたとしても、相談に踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。


幼稚園・保育園の先生から言われても、家庭では問題がないと感じていたり、相談に抵抗があったりする保護者もいらっしゃるようです。まずは気軽に相談していただければと思いますが、理解促進に向けた保護者向け講座を定期的に開催したり、年に1度講演会を開催したりしていますので、そちらもご利用いただければ幸いです。


さいごに

-今後のセンターとしての展開を教えてください。


保護者や子どもの不安や困り感はライフステージが変わるごとに刻々と変化していきます。例えば、幼児期では言葉の遅れや癇癪が強いことで保護者が強い不安を感じていた子が、学齢期になると言葉が追いつき、課題が軽減するケースがあります。一方で幼児期まではおとなしくて手がかからなかった子が、学齢期になると授業についていけなかったり、友だちとトラブルを起こすようになったりするケースもあります。また、一度課題が軽減した子でも思春期になると子ども自身が人との違いに悩みだすこともよくあることです。


「げんき」では、園や学校、地域の支援機関との支援のネットワークの中で、各ライフステージにおける子どもの状況に応じて立ち位置を変えながら、保護者や子どもが必要なときにいつでも頼れる場でありたいと考えています。


-現在悩んでる保護者や当事者へ向けたメッセージをください。


私たちは発達の凸凹について悩んでる方々の応援団です。保護者の方のみで悩んだり、考えたりして疲れてしまう前に相談してください。一度ご相談いただくことで解決の糸口が見つかるかもしれません。まずは気軽にお電話ください。


副センター長の安川直史さん、支援員の田中良果さん、吉田恭子さん、林康治さん

取材後記

今回は、障害のある当事者の「働く」から一歩視野を広げてご本人や保護者を支える地域における支援について取材しました。

2012年、文部科学省が全国の公立小中学校に実施した調査では、発達障害児の割合は6.5%(特別支援学校などに通う発達障害児などを除く)とされています。

およそ1クラスに2人程度、発達障害による学習面・行動面の困難さを抱える子どもがいることになります。

もしかしたら同じマンションに住む友人や同僚の家族など身近で悩みを抱える子どもや保護者がいるかもしれません。ふと身の回りに視野を広げ、一緒に生きやすさを考えるきっかけになれば嬉しいです。

世田谷区発達障害相談・療育センター「げんき」は、発達障害に特化した支援機関として、「世田谷区発達障害支援基本方針」に基づき、主に「相談」「療育」「地域支援」の3つの事業に取組む世田谷区の中核的な拠点施設です。

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